『殺したガールと他殺志願者』ラジオSSまとめ

MF文庫J編集部

#0 予行演習


浦見「今夜も始まりました。DJ浦見の【ムカつくあいつをぶっ殺さNIGHT】』

淀川「タイトル怖っ」

浦見「早速お便り紹介していきます。まずはラジオネーム【執行猶予希望】さんから』

淀川「そんな奴のお便りを読むな」

浦見「DJ浦見さん。裁判の時は色々とお世話になりました」

淀川「何があったんだよ」

浦見「結局、控訴は棄却されてしまいましたが、気にしないで下さい」

淀川「気にするわ」

浦見「そんな斉藤直彦受刑し……【執行猶予希望】さんからのリクエスト」

淀川「フルネーム言っちゃったよ。しかも実刑判決受けてるし」

浦見「刑務作業が楽しくなるようなパーティーチューンを聞かせて下さい」

淀川「刑務作業中にパーティーチューンを聞くな」

浦見「という訳で、この曲いってみましょう。【THE BLUE HEARTS】の名曲、『首吊り台から』」

淀川「縁起でもねぇ事言うな」

浦見「という訳で執行猶予希望さんには、番組オリジナル電気椅子をプレゼントします」

淀川「色んな死刑方法を提案するな」

浦見「続いてのお便りは、ラジオネーム【盗撮野郎Aチーム】さんから」

淀川「だからお便りを選べって」

浦見「浦見さん久し振りです。シャバの空気には慣れましたか?」

淀川「お前も入ってたの?」

浦見「辛い事や苦しい事があったら、いつでも戻って来てください」

淀川「いや戻っちゃ駄目だろ」

浦見「僕はいつまでも待っていますよ」

淀川「お前は早く出てこい」

浦見「さて、本題です。隣部屋に収容されている斉藤直彦のいびきがうるさくて、全然眠れません。オススメのヒーリングミュージックをお願いします」

淀川「さっきの奴もだけど、受刑者が贅沢言うな」

浦見「そういう事ならこの曲。【THE BLUE HEARTS】で『首吊り台から』」

淀川「パーティーチューン兼ヒーリングミュージック? つうか、永眠させる気?」

浦見「盗撮野郎Aチームさんには、番組オリジナル北枕をプレゼントします」

淀川「北枕になるかどうかは使う人次第だろ」

浦見「続いてのお便り。ラジオネーム【囚人番号六七〇九番】さんから」

淀川「このラジオ受刑者しか聞いてないの?」

浦見「実は僕、脱獄を考えています」

淀川「絶対言っちゃ駄目だろ」

浦見「北口と西口、どっちから逃げるのがベストでしょうか?」

淀川「外の人間に聞くな」

浦見「囚人番号六七〇九番。忘れたんですか? その刑務所に、出口はありませんよ」

淀川「怖っ 出所させる気ないじゃん。

……ていうか、お前よく出てこれたな。どうやって逃げたんだよ」

浦見「囚人番号六七〇九番三には、番組オリジナル脱獄キットをプレゼントします」

淀川「止めろ 番組総出で脱獄させようとするな」

浦見「続きまして、ラジオネーム【週刊看守】さんから」

淀川「看守も聞いてるの? 止めろよ」

浦見「よう、DJ浦見。久し振りだな。独房の住人、通称DJと呼ばれたお前が、まさかラジオパーソナリティーになるとはな」

淀川「DJってそこから来てたの?」

浦見「実は俺、衝突事故を起こしてしまったんだ。で、衝突した車の運転手が入院する事になって、慰謝料を請求されてる。額は五〇〇万。必ず返すから、貸してくれないか?」

淀川「ラジオでオレオレ詐欺?」

浦見「週刊看守さんには、番組オリジナル紙幣を差し上げます」

淀川「勝手に作るな。また捕まるぞ」

浦見「という訳で、今週はここまで。以上、DJ浦見の【死体を早く埋めNIGHT】でした』

淀川「こいつ、放送中にムカつく奴をぶっ殺しやがった」

浦見「この放送は、警視庁の提供でお送りしました」

淀川「こんな番組に提供しねぇよ」

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