第14話 中国における合弁契約書の作成例をご紹介

前回までは「中国進出の検討編」として中国に進出するためのナレッジを共有してきました。


今回からは中国進出の実務編ということで実際の契約で雛形に使える契約書を掲載しておきましたので参考にしてみてください。


業種によって変更する部分もあるかと思いますが、そこは中国系の弁護士やコンサルタントに相談するなりは必要かと思います。


私の方までお気軽にTwitterの方にお問い合わせいただいても適切なアドバイザーを紹介できると思います。


そこではご査収ください。


〇〇(業種)(地域)有限公司 合弁契約


前言

中華人民共和国(以下、「中国」という。)広東●●(業種)(地域)有限公司(以下、「●●」という。)及び日本国〇〇株式会社(以下「〇〇」という。●●及び〇〇を併せて「合弁当事者」という。)は、互恵平等の原則に則って友好的な協議を行い、「会社法」、「中外合資経営企業法」、「中外合資経営企業法実施条例」及びその関連法規に基づき、■■■に、共同出資により中外合資経営企業である〇〇(業種)(地域)有限公司(以下「合弁会社」という。)を設立することを合意し、以下の合弁契約(以下「本契約」という。)を締結する。


第一章 総則


第1条(合弁当事者)


合弁当事者は、次の通りである。


1.中国側当事者

(1)企業名称   :広東●●(業種)(地域)有限公司

(2)登録地   :中国広東市省広州市

(3)法定住所地 :

(4)法定代表者 :●●(職務:董事長、国籍:中国)


2.日本側当事者


(1)企業名称 :〇〇株式会社

(2)登録地 :日本国東京都

(3)法定住所地 :

(4)法定代表者 :●●(職務:代表取締役社長、国籍:日本国)


第2条(合弁会社の設立)

1.合弁当事者は、■■■において、共同の出資により、合弁会社を設立することに合意する。

2.設立する合弁会社の名称及び法定住所地は、次の通りとする。


(1) 企業名称

合弁会社の名称は、次の通りとする。

①中国語 :〇〇(業種)(地域)有限公司

②日本語 :〇〇(業種)(地域)有限公司

③英語 :〇〇(業種)(地域) Co.,LTD.


(2) 法定住所地 合弁会社の法定住所地は、中国■■■とする。



第3条(法人資格)


合弁会社の設立日(合弁会社が法人資格を取得する日)は、登記主管部門が営業許可証を発行した日とする。合弁会社は中国の企業法人であり、中国の法律、法規の管轄と保護を受ける。合弁会社は中国の法律、法規を遵守する。



第4条(組織形式)


1. 合弁会社の組織形式は、有限責任公司とする。

2.合弁当事者は、本契約において各自が払込を引き受けた出資額を合弁会社に払い込む義務のみを負い、合弁会社の債務について一切の責任を負わない。合弁会社の債務は、合弁会社がその全資産をもって責任を負う。

3.合弁当事者は、中国の法律、法規に別途の規定がない限り、実際に支払った出資額を基準とする出資比率(以下「実際の出資比率」という。)に従って利益の配当を受け、その他の出資者としての権利を行使する。

4.合弁会社は、合弁当事者のいかなる債務も承継しない。



第5条(経営自主権、財産権の自由使用)


1.合弁会社は、中国の法律、法規の範囲内において、その経営活動について自主性及び独立性を有する。いかなる機関及び個人も、中国の法律、法規に基づく場合を除き、合弁会社の経営活動に干渉してはならない。

2.合弁会社に出資として払い込まれた資金及び合弁会社が適法に取得した資産について、合弁会社は第三者の如何なる干渉も受けず自由に占有し、使用し、収益し又は処分することができる。



第二章 合弁の目的、合弁会社の経営範囲


第6条(合弁会社の設立目的)


経済合作と技術交流を通じて、〇〇が有する▲▲の生産開発技術及び国外における販売ネットワークを活用し、中国に必要な先進技術及び経営管理方式を導入し、また●●が中国において有する▲▲の製造基盤及び国内における販売ネットワークを活用して、合弁当事者が共同で中国において優れた▲▲の製造および販売拠点を建設し、国内外市場において競争力のある製品を生産及び販売し、中国の▲▲事業の発展に貢献していく。また、合弁当事者は、常に経済収益性を向上させることにより、合理的利益を享受できるようにする。


第7条(合弁会社の経営範囲)


合弁会社の経営範囲は、次の通りとする。 各種の◇◇、△△、★★の製造、研究、販売及びアフターサービス


第三章 投資総額及び登録資本


第8条(投資総額)

合弁会社の投資総額は、8,000万米ドルとする。



第9条(登録資本)


1.合弁会社の登録資本は、3,000万米ドルとし、投資総額の3分の1とする。

2.合弁各当事者が払込を認めた出資額及び本契約に基づく出資比率は、次の通りとする。

(1)●● :出資額 600万米ドルとする。 出資比率20%

(2)〇〇 :出資額2,400万米ドルとする。 出資比率80%



第10条(出資方式)


合弁当事者は、前条第2項に定める出資を次の方式により行う。 1.山河の出資方式 現物出資 600万米ドル

内訳(下記①②③の詳細は付属書類1に掲げる「現物出資目録一覧」参照。評価額について、付属書類2に掲げる「資産評価報告書」参照)


①適法に払下げを受けた国有土地使用権(以下「本件土地使用権」という。)300万米ドル

②本件①の土地使用権の対象地上の工場建物及びその他の付属建物(以下「本件建物」という。)200万米ドル

③生産設備及びその他の付属設備(以下「本件設備」という。)100万米ドル

2. 〇〇の出資方式 現金2,400万米ドル

3.

第11条(出資の履行期限等)

1. 合弁当事者の出資の履行期限 合弁当事者の出資の履行期限は、合弁会社の設立日から6ヵ月以内に一括とする。


2013 年改正「会社法」により、出資期限は廃止されましたが、合弁契約及び定款において出資期限を定めること自 体は現行法上も可能であり、かつ出資の履行を促すという観点から有益であると考えられます。


「会社法」

第 28 条 株主は、会社定款所定の各自が払込みを引き受けた出資額を期限どおりに満額で払い込まなければならな い。株主は、貨幣をもって出資する場合には、貨幣出資を有限責任会社が銀行に開設した口座に満額で預け入れ なければならない。非貨幣財産をもって出資する場合には、法によりその財産権の移転手続をしなければならない。 株主は、前項の規定どおりに出資を払い込まない場合には、会社に対し満額で払い込むべきほか、更に既に出 資を期限どおりに満額で払い込んでいる株主に対し違約責任を負わなければならない。


2.現物出資に関する●●の義務

●●は出資期限までに、本件土地使用権及び本件建物を合弁会社が利用可能な状態で引き渡し、かつ、合弁会社が当該財産の合法的かつ有効な権利者となったことを示す管轄権を有する不動産主管部門の発行する合弁会社名義の不動産権利証を合弁会社に取得させなければならない。



3. 現金出資に関する〇〇の義務


〇〇は現金出資を米ドルにて履行しなければならない。


第12条(出資検査、出資証明書の交付、出資金の目的外使用禁止)


1.合弁会社は、前2条に基づく出資が行われた日から30日以内に、登録会計士に委託して出資検査を行わせるものとする。

2.前項の出資検査により出資完了が確認され、登録会計士から合弁会社に出資検査報告書者が提出されたときは、合弁会社は、出資検査報告書の提出日から10日以内に、合弁会社に対して、出資証明書を交付する。



第13条(登録資本の増加及び減少)


合弁会社は、本契約及び中国の法律、法規に基づき、登録資本の増加及び減少を行うことができる。この場合、合弁当事者は原則として第9条第2項に規定する出資比率が維持されるように配慮する。



第14条(出資持分の譲渡)


合弁当事者は、本契約及び中国の法律、法規に基づき、出資持分の全部又は一部を他の合弁当事者又は第三者に譲渡することができる。



第15条(出資持分譲渡と権利義務の承継)


前条に従い出資持分譲渡がなされた場合、譲受人は本契約の拘束を受けるものとし、本契約に定める合弁当事者としての全ての権利を有し、全ての義務を負う。



第16条(出資持分譲渡以外の原因による出資持分の変更)


1.合弁当事者の合併、分割又はその他の出資持分譲渡以外の事由により出資持分の変更があった場合、出資持分の承継人は、中国の法律、法規に従い、出資持分の変更手続きをとらなければならない。これらの手続きが完了するまで、承継人は合弁会社に対して、承継人たる地位を対抗できない。

2.前条の規定は、前項の承継人に準用する。


2013 年改正「会社法」により、出資払込後に求められていた出資検査が不要となりましたが、義務でなくなったというだけであり、出資検査を行うことは問題がありません。



第17条(出資持分等に対する担保権設定禁止)


合弁当事者は、出席董事の全員一致による董事会決議によらずに、自己の出資持分又は出資した財産について、抵当権、質権、中国の法律、法規に照らし適法と認められるその他の担保権、使用権等を設定してはならない。 第四章 資金調達及び債務保証



第18条


合弁会社が必要とする資金調達は、合弁会社が自ら実施し、合弁当事者は合弁会社に対する貸付又は保証の提供を行わない。合弁当事者がやむを得ず、貸付又は保証の提供を行う場合は、第9条第2項の出資比率に基づき、平等な負担をする。


第四章 合弁当事者の責任



第19条(●●の責任)


●●は、次の事項について責任を負う。

(1) 合弁会社の設立準備及び設立直後に必要な各種手続きの処理

(2)合弁会社が必要とする電気、ガス、水道等のインフラを最適条件で享受できるようにすること

(3)合弁会社に設立直後に赴任してくる〇〇派遣の総経理、副総経理及びその他の高級管理職員の労働ビザ、就業証の取得手続きの処理及び住居等の手配

(4)政府との折衝等

(5)その他、合弁会社が委託する事項



第20条(〇〇の責任)


〇〇は、次の事項について責任を負う。

(1)合弁会社の生産設備の配備案の提供

(2)合弁会社の国内外での設備機器、原材料等の調達についての協力

(3)半導体等に関する技術者採用に関する協力

(4)その他、合弁会社が委託した事項の処理



第六章 技術導入及び商標使用許諾


第21条(技術導入及び商標使用許諾)


合弁当事者は、設立直後の最初の董事会に自ら派遣する董事を出席させ、合弁会社及び〇〇を当事者とする付属書類3に掲げる「技術ライセンス契約」及び付属書類4に掲げる「商標ライセンス契約」の締結について、賛成の表決をさせなければならない。



第22条(●●の技術及び商標の利用制限)


●●は、前条の契約に基づき合弁会社がライセンスを受ける技術を自ら実施し、●●の子会社、関連会社及びその他の第三者に実施させてはならない。また、●●は、前条の契約に基づき合弁会社がライセンスを受ける商標と同一または類似の商標を自ら登録申請し、使用し、●●の子会社、関連会社及びその他の第三者に同様の行為をさせてはならない。



第五章 董事会


第23条(董事会)


1.董事会は、合弁会社の最高意思決定機関である。

2.董事会は、合弁会社の設立日に成立する。



第24条(董事会の構成)


董事会は董事5名で構成し、1名は●●が任命し、4名は〇〇が任命する。董事長は〇〇の任命する董事から〇〇が選任し、副董事長は●●の任命する董事とする。



第25条(董事長の職責)


1.董事長は、合弁会社の法定代表者である。

2.董事長が一時的にその職責を履行できない場合、副董事長が董事長の職務を代行する。



第26条(総経理等との兼任)


董事は、合弁会社の総経理、副総経理又は高級管理職員を兼任することができる。



第27条(董事の任期)


1.合弁会社の董事の任期は3年とする。董事は再任することができる。再任回数に制限を設けない。

2.合弁当事者は、自ら任命派遣する董事を、その任期中、事由の如何を問わず、いつでも解任又は交替し、後任の董事を任命して派遣することができる。



第28条(董事の報酬及び董事会の費用負担)


1.董事は、合弁会社から名目の如何を問わず、一切の報酬を受けない。但し、董事が総経理、副総経理又は高級管理職員を兼任する場合、その地位に基づく報酬を受領することを妨げない。

2.董事が董事会に出席するのに必要な実費は、董事を派遣する合弁当事者が各々負担する。

3.董事会の開催に要するその他の費用は、合弁会社が負担する。



第29条(董事会の開催)


1.董事長は、毎年の会計年度終了の日の翌日から起算して3ヵ月以内に董事会の定例会議を1回招集し、議長としてこれを主宰する。

2.3分の1以上の董事の提案がある場合、董事長は臨時董事会の開催を招集する。

3.董事会の開催場所は、原則として合弁会社の法定住所地とする。

第30条(定足数と代理出席)

1.董事会は、3分の2以上の董事が出席することにより有効となる。

2.董事が都合により董事会に出席できない場合、当該董事は、委任状を交付し、代理人を指定して代理出席させ、討論に参加し、表決を行わせることができる。



第31条(董事会の全員一致決議事項)


次に掲げる事項については、董事会に出席した全董事(委任状による代理人を含む)が一致した場合に限り、決議することができる。


(1)合弁会社の定款の改正

(2)合弁会社の登録資本の増加及び減少

(3)合弁会社の生産停止及び解散

(4)合弁当事者の出資持分の譲渡

(5)合弁会社の合併、分割及び組織形態の変更


第32条(董事会の過半数決議事項)

前条に規定する以外の事項で、日常経営管理事項に属しない重要事項は、董事会に出席した全董事の過半数をもって決議する。


第33条(通信表決及び持回り決議)

董事会決議は、通信表決及び持回り決議によっても行うことができる。その手続きは、別途董事会が制定する規則で定める。


第34条(董事会議事録及び董事会決議決意書)

董事会が開催されたときは、議事録を作成する。董事会決議があったときは、決議書を作成する。議事録及び決議書は、中国語及び日本語で作成する。



第六章 経営管理機構


第35条(経営管理機構)


1.合弁会社は、董事会の下に経営管理機構を設置し、合弁会社の日常経営管理業務を行わせる。

2.経営管理機構は、〇〇が推薦し、董事会が任命する総経理1名、副総経理2名及び●●が推薦し、董事会が任命する副総経理1名から構成される。会計担当副総経理は、〇〇が推薦する副総経理から選任する。

3.総経理及び副総経理の任期は2年とする。総経理及び副総経理は再任することができる。再任回数には制限を設けない。



第36条(総経理、副総経理の職務権限)


1.合弁会社は総経理責任制を採用する。総経理は、董事会の指導、監督のもとで、合弁会社の日常経営管理を統括し、董事会が決定した各事項を執行し、また董事会の決定を要しない事項については自ら決定し、合弁会社の業務を執行する。

2.副総経理は、総経理の業務を補佐しなければならない。



第37条(善管注意義務、兼業及び競業の禁止)


1.総経理及び副総経理は、合弁会社の定款その他の規則を遵守し、忠実に職務を行い、合弁会社の利益を守らなければならない。

2.総経理及び副総経理は、合弁会社における地位及び職権を利用して自己の利益を図ってはならない。

3.総経理及び副総経理は、董事会決議により事前の承認を得た場合を除き、自己又は他の企業法人その他の経済組織のために合弁会社と同一又は類似の営業を行う等、合弁会社の利益を損ない、又は損なう可能性のある一切の活動をしてはならない。



第38条(総経理及び副総経理の解任等)


総経理、副総経理が、本契約、別途合弁会社と締結する労働契約及び中国の法律、法規に違反した場合、その職務に堪えない場合、又は重大な職務懈怠行為のある場合には、董事会の決議を経て解任できる。



第七章 監事 第39条(監事)


合弁会社は、2名の監事を設け、●●から1名、〇〇から1名を任命するものとする。



第40条(監事の任期)


監事の任期は3年とし、任期満了後は再任されることができる。



第41条(監事の職務権限)


監事は以下の職権を行使する。

(1)合弁会社の財務を検査すること

(2)董事、高級管理職員の職務執行行為を監督し、法律、行政法規、合弁会社の定款又は董事会決議に違反した董事、高級管理職員に対する解任決議案を提出すること

(3)董事、高級管理職員の行為が合弁会社の利益を害する場合、董事、高級管理職員に対し是正を求めること

(4)臨時董事会の招集を提案し、董事会が本契約及び合弁会社の定款に従い董事会の召集及び主宰の職責を履行しない場合、自ら董事会を招集し主宰すること

(5)董事会に提案を提出すること

(6)会社法第151条の規定に従い、董事又は高級管理職員に対し訴訟を提起すること

(7)合弁会社の定款に定めるその他の職権



第八章 原材料購入及び製品販売方式


第42条(原材料購入及び製品販売方式)


1.合弁会社の製品に使用する原材料は、価格が合理的で、品質が良好で、かつ、納期が厳格に遵守されることが確実に期待できる国内外の原材料供給先から、総経理が時々に最も競争力のあるものを選択して購入する。

2.製品について、合弁会社は自ら販売することもできるし、販売代理店を通じて販売することもできる。

販売方式の詳細は、総経理が決定する。



第十一章 労務管理、労働者の福利待遇等


第43条(労務管理、福利待遇等)


従業員の採用、解雇、賃金、賃金、社会保険、福利待遇、賞罰等の労務管理に関する事項は、合弁会社に適用される中国の法律、法規に基づき、董事会で規則制度を制定し、総経理が執行する。



第44条(従業員の採用)


合弁会社の従業員は公募により採用する。

第十二章 財務及び税務



第45条(納税等)


合弁会社は、中国の法律、法規にもとづき各種の税金を納付し、かつ、中外合資経営企業に認められた優遇制度を享受する。



第46条(会計年度)


合弁会社の会計年度は、毎年1月1日から12月31日までとする。第1会計年度は、合弁会社の設立の日から、その年の12月31日までとする。



第47条(財務・会計規則)


合弁会社は、中国の法律、法規に基づき、董事会で財務・会計規則を定める。



第48条(監査の実施)


合弁会社は、中国の法律、法規に基づき、登録会計士に委任し、毎会計年度の監査を実施させ、その結果を董事会に報告しなければならない。

第十三章 配当及び欠損の処理



第49条(三項基金の積み立て)


1.合弁会社は、中国の法律、法規により、税を納付した後の利益から準備基金、企業発展基金及び従業員奨励福利基金を積み立てる。利益のない年度においては、基金を積立てない。準備基金及び企業発展基金の控除率は税引き後利益の10%とする。その他の積立て率は、董事会が合弁会社の実際の経営状況に基づき決定する。

2.準備基金及び企業発展基金は、その積立金の総額が、合弁会社の登録資本の50%に達したときは、以後、積立をしないことができる。



第50条(利益配当)


合弁会社は、合弁当事者に対して、所得税等の租税及び前条による三項基金を控除した後の利益を限度として実際の出資比率に従って配当する。但し、董事会決議により、その一部又は全部を次年度繰越金とし、又は内部留保することができる。



第51条(欠損の填補前の配当禁止)


合弁会社は、前会計年度の欠損及び累積欠損填補前に利益を配当してはならない。



第十四章 保険


第52条(保険)


合弁会社が保険を付する必要がある場合、中国で営業を許可されている保険会社に対して付保する。



第十五章 合弁期間


第53条(合弁期間及びその延長)


1.合弁期間は、合弁会社設立の日から30年とする。

2.合弁当事者は、合意及び董事会の決議「外商投資企業による期間延長申請に関係する問題に関する商務部の意見」により合弁期間を延長することができる。合弁期間を延長する場合には、中国の法律、規定に従い、必要に応じて、合弁期間満了の180日前までに審査認可機関に対して、期間延長の認可申請等、必要な手続きを行わなければならない。



第十六章 契約の解除、解約


第54条(合意解除)


合弁当事者の全員が書面により本契約を終了させる旨を合意したときは、本契約は終了する。



第55条(本契約の解除事由)


1. 合弁当事者は、次の各号の一に該当する事由が発生したときは、他の合弁当事者に対して書面で通知することにより、本契約を解除することができる。


(1)他の合弁当事者が出資義務(登録資本の増加の場合を含む)の履行を遅滞し、合弁当事者が30日以内に出資義務を履行するよう催告したにもかかわらず、なお履行しないとき。

(2)他の合弁当事者が出資義務以外の本契約上の義務を履行せず、合理的な期間を定めて催告をしたにもかかわらず、当該期間内に義務を履行しなかったとき。但し、守秘義務違反については、当該催告を要せず、当該義務違反のみで足りる。

(3)他の合弁当事者に破産、解散、政府行政機関から営業許可の取消又は停止処分を受けた事実、又はその他のこれらに類する事情が生じたとき。


2. 前項の場合において、解除権を有する合弁当事者は解除をし、又は解除をすることなく、本契約に違反した合弁当事者に対して、損害賠償を請求することができる。


「外商投資企業による期間延長申請に関係する問題に関する商務部の意見」(2004 年 11 月 11 日発布。商法函 [2004]71 号)第 3 条は、合弁期間の延長申請は、投資家全体の一致した同意のほかに、董事会の同意決議が必要であると規定しています。



第十七章 合弁会社の解散及び清算


第56条(合弁会社の解散)


合弁会社は、合弁期間が満了したときに解散する。但し、第53条第2項の規定により合弁期間の延長手続きを行い、必要に応じその認可を得たときはこの限りではない。



第57条(解散決議)


1.合弁会社は、次の各号の一に該当する事由が発生したときは、解散する。

(1)合弁会社の累積赤字が登録資本の100%に達したとき。

(2)登録会計士による監査等により、債務超過が判明したとき。

(3)不可抗力その他の事由により合弁会社の経営を継続することが困難となったとき。

(4)中国の法律、法規の変更、政府行政機関の命令等により、合弁会社が適正な利益を得て経営を継続することが困難になったと認められるとき。

(5)合弁契約が第54条、第55条第1項により解除されたとき。

(6)中国の法律、法規が規定するその他の解散事由が生じたとき。

2.合弁会社は、前項の事由が生じた後、直ちに董事会を開催する。合弁当事者は、董事会に自ら派遣する董事を出席させ、かつ、別途合弁当事者が合弁会社の存続を書面合意しない限り、解散に賛成する表決をさせなければならない。

第58条(合弁会社の清算)

合弁会社の清算手続きは、中国の法律、法規に基づき行う。



第十八章 準拠法


第59条(準拠法)


本契約の締結、効力の発生、解釈、履行に関しては、中国の法律、法規の適用を受ける。



第十九章 守秘義務


第60条(守秘義務)


合弁当事者は、本契約の締結及び履行を通じて知り、又は知り得た秘密について、本契約の有効期間中及び本契約の有効期間満了後も、事由の如何を問わず、第三者に開示・漏洩してはならない。



第二十章 紛争の解決


第61条(紛争の協議解決)


本契約の解釈、履行その他本契約に関係のある、又は合弁会社に関係して、合弁当事者間に発生した一切の紛争については、合弁当事者が相互理解の精神に基づき友好的な協議を通じて解決を図るものとする。



第62条(仲裁の合意)


1.前条の友好的協議による解決が困難である場合、合弁当事者は、合弁当事者間の全ての紛争を仲裁により解決しなければならない。

2.前項の仲裁は、北京に本部を有する「中国国際経済貿易仲裁委員会」(仲裁地及び開廷地を上海とする。)において同委員会の規則に従って行われる。仲裁の裁定は終局的であり、合弁当事者を均しく拘束する。仲裁費用は、仲裁機関により裁定されない限り敗訴した合弁当事者が負担する。



第二十一章 附則


第63条(最終合意条項)


本契約は、合弁会社設立に関する合弁当事者の最終的かつ完全な合意書であり、本契約締結前になされた合弁当事者間の合弁意向書、フィージビリティ・スタディ及びその他の合意書に優先する。



第64条(条文の見出し) 本契約の各条項に付された見出しは便宜のために付されたものであり、合弁当事者の権利義務又は本契約の解釈に影響を及ぼさないものとする。



第65条(本契約の発効) 本契約の発効につき審査認可機関の審査認可が必要な場合は、審査認可機関の認可取得の日に効力を生じ、審査認可が不要な場合は、契約締結の日に本契約は発効する。



第66条(使用言語) 本契約書は、中国語及び日本語を以て作成し、中国語版及び日本語版の契約書は同等の効力を有する。中国語版と日本語版に不一致がある場合、日本語版を基準とする。



第67条(本契約の改正) 本契約の改正は、すべての合弁当事者が署名した日本語及び中国語で作成された書面によって行われるものとする。改正については、関係する認可機関の認可が必要となる場合、認可があった日に改正の効力が生じる。



第68条(権利非放棄条項) 合弁当事者が本契約に基づく権利を行使しなかった場合にも、これをもって権利放棄とはみなさない。



第69条(存続条項) 本契約が終了した場合にも、本契約の終了後も性質上、存続が予定されるその他の条項の効力は、なお存続する。



第70条(通知) 合弁会社及び合弁当事者間並びに合弁当事者相互間の通知は、電話又は電子メールによることを妨げないが、合弁当事者の権利義務にかかわる重要事項については書留郵便による。



本契約は、201 年 月 日、中国■■■において、合弁当事者の法定代表者又は法定代表者が書面により授権した代表者により署名、押印されたものである。



中国●●有限公司

代表者:

日本国〇〇株式会社

代表者:







以上となります。


いかがだったでしょうか?日本と違って海外で契約書は特に重要です。


日本では書いていない部分は慣習的に捉えてシンプルにしがちですし、どうとでも解釈できるように簡潔に書きがちですが、海外では記載事項が全てです。


海外担当者は契約内容をしっかり理解した上で進めましょう。


では次回は契約を進める上での疑問など、これまでお問い合わせいただいた内容を元に解説させていただきたいと思います。

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