第35話外伝~ホムラ~

ワタクシは、叔父様の私室で思い出していました。


団長と出会ったのは、ワタクシが14歳で冒険者登録をして、しばらく経ってからでした。


ワタクシは貴族であることを隠し、活動をしていました。


幸い、誰も聞いて来なかったので、問題はありませんでした。


当時のワタクシは才能があったので、15歳にして火炎魔法を使いこなせていました。


優秀なワタクシは、どこのパーティでも重宝され、みるみるランクが上がっていきました。


そして自分と同じような年齢の、綺麗な顔立ちの男の子と出会いました。


その人も優秀だと噂になっていたので、最初はライバルだわ!と勝手に思っていました。


そしてことあるごとに、ワタクシはユウマに絡んでいったのです。


そういえば、当時は名前で呼んでいましたね。


ユウマがランク上げれば、追いかけるように上げて。


ワタクシに色目を使わない男性は珍しく、とても楽しかった記憶があります。


そして16になる頃、ある変化が訪れましたわ。


ワタクシは元々整った容姿の自覚はありましたが、この頃から胸やお尻がさらに大きくなってきたのです。


そしてさらに男性から口説かれたり、ごく稀に夜這いをかけようとする男性も現れる次第。


まあ、夜這いをかけようとした男性は、いつのまにか消えていたのですけど。何故でしょう?


そしてワタクシは、ユウマにいつものように話しかけるのを躊躇ってしまいました。


ユウマからも、そうゆう風に見られたらどうしよう?と。


するとユウマの方から、話しかけて来てくれました。


どうした?最近絡んでこないが、なんか変な物でも食ったか?と。


もうワタクシは、嬉しくて嬉しくて。


いつも通りの口調と、態度で話しかけてきてくれて。


でも不思議なことに、そういう風に見てこないユウマに、何故が腹が立ったのを覚えています。


さらにユウマは、パーティメンバーでもないワタクシを、他の冒険者から庇ってくれたりしてくれました。


もちろん、ワタクシが悪い時はしっかりと叱ってもくれました。


もしかしたら、もうこの時好きになっていたのかもしれないですね。


そしてワタクシは、ユウマが作ったパーティーに入りたいと思いつつも、ライバルでもあったので言えませんでした。


さらにシノブという、ワタクシとは違う可愛らしい女の子が新しく加入し、ワタクシのほうが先に会ったのにとか、勝手に嫉妬したりしていました。


そして、同時に羨ましいなと。素直な子で、ユウマに全力でアタックしていましたね。


ワタクシにも、普通に接してくれて嬉しかった記憶があります。


大体女性の方は、嫉妬するか避けるかだったので。


ワタクシは、身分のことは抜きにしても内弁慶で素直じゃなく、いつも高圧的な態度をとってしまう。


そしてパーティを次々と渡り歩き、いつしかクラッシャーという不名誉なあだ名がつけられていました。


たしかに、ワタクシにも悪いところはありました。


でも何も、全部ワタクシの所為にして追い出さなくても。


そしてそんな風に過ごしているうちに、一年と少し経ちました。


あれはワタクシが17歳の誕生日を迎えて、半年ほど経ったある日のことでした。


ユウマが突然パーティメンバーに入らないか?と誘ってきたのです。


ワタクシはおそらくどうして?という顔をしていたのでしょう。


お前みたいなクラッシャー扱えるのはうちくらいだから引き取ってやると。


ワタクシは、その不器用な優しさに心をうたれました。


おそらく、普通にワタクシのことが心配だからとか言われたら、素直じゃないワタクシは意地をはり断ってしまっていたでしょう。


そしてワタクシは仕方ありませんね、そこまで言うなら入ってあげますわと言いました。


我ながら、なんと可愛げのないことでしょう。


すると、ユウマは苦笑して言いました。


じゃあ、よろしく頼むな。お前に非がない限り、俺はお前の味方だ。


もう、さすがに意地っ張りなワタクシも認めました。


ああ、完全に恋していると。


そこからは、ユウマは実際に色々な場面で助けてくれました。


戦闘面ではもちろん、プライベートでもしつこい男性などから助けてくれました。


そして、いつも苦笑して言うのです。たく、しょーがねえなと。


ワタクシは、それが好きでした。


そこからは、楽しすぎてとても早く過ぎました。


そしてワタクシには、期限が迫ってきていました。


ワタクシは、このまま黙って消えようと考えていました。


この楽しかった思い出を胸に、貴族の義務を果たそうと。


そして、ここから怒涛の展開でした。


ユウマが男爵になりました。


ワタクシは叔父様とお爺様に、自分の気持ちを伝えました。


ところがびっくり。とっくに、知っていたと言うのです。


どうやら、影ながら見守っていたそうです。


よくよく考えたら当たり前のことなのですが、同時のワタクシは自分だけの力で生きていると思っていました。


そしてワタクシは、叔父様とお爺様にお礼を伝えました。


ここまで、我儘なワタクシを見守ってくださってありがとうございますと。


そしてその後、ユウマ戦功により準子爵になることが決まりました。


ワタクシは決めました。告白をすると。


その日を迎えたワタクシは、叔父様の私室でソワソワしていました。


どうしよう?もう来てしまう。


ユウマはワタクシが貴族だと知ったらどんな顔をするかしら?告白は受けてもらえるかしら?


そして王城に、ユウマが到着との通達がきました。


ワタクシは席につき、冷静にその時を待ちました。


そして、ユウマが部屋の前まできました。


さて、どうなることかしら?











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