【毒使い】だっていいじゃない 毒は薬にもなるんだからさ~パーティーを追放された少女は王女だった!?次々と覚醒する能力で幸せを目指します~

千葉 都

第1話 私、追放?(前編)

「おーい、ミーア。クエストの完了報告やっといて。先行ってるから早くしろよ」

「はーい」


私はミーア。ここベルンハルドで冒険者しています。

あ、ベルンハルドってこの街の名前ね。ヘンネルベリ王国っていうこの国の地方の街なの。

地方の街って言っても結構大きいのよ、この国で10番目ぐらいかな。


で、さっき声をかけてくれたのが私がいるパーティー『金色の月光』のリーダーのローデヴェイク、みんなローデって呼んでる。

『金色の月光』はベルンハルドではそこそこ強いパーティーになってきたんだ。もうすぐAランクになれそうな感じ。

Sランクのパーティーっていうのもあるけれど、あれは特別。国に1つあるかないかって程だし。メッチャ強いんだけどね。だからAランクっていうのは実質トップクラスなんだ。



「クエストの完了報告に来ましたー!」

「ご苦労様。こっち来てね」


ここは冒険者ギルド。いつもクエストとかでお世話になっているとこ。冒険者になったり、パーティー作ったり、クエストを受け付けてくれたり、その他冒険者のためにいろんなことしてくれる。私もここで冒険者になったの。


「ミーアちゃん、はい。今回のクエストの報酬ね」

「ありがとうございまーす」

「あっ、ちょっと待って。えーと、今回のクエストで……」

「……?」

「そうそう、『金色の月光』はAランク昇格試験受けられるようになったわよ」

「わかりました、みんなに話しておきます」

「次の試験は7日後ね。その次は1カ月先だから。あと、Aランクの試験は王都で行われるから注意してね。王都まで馬車で3日はかかるからね」



私はパーティーメンバーが常宿にしている『小鳥の止まり木』に急いだ。1階の食堂で今日の打ち上げが待っている。


「遅くなってごめんね。今日の報告終わったよ」

「こっちこっち、待ってたわよ」



奥のテーブルで手を振っているのはメンバーのカチェリーナ。みんなはカッチェって呼んでる。女の子なんだけど騎士なんだ。戦いになると盾と槍で私たちを守ってくれるの、すごくかっこいいんだから。普段はとっても優しいしね。背は高くてスレンダー、本人はちょっと気にしてるみたい。時々セリーヌを突いてる。


リーダーのローデヴェイクは男の子。魔法使いで、火の魔法と土の魔法が得意なの。風の魔法も少し使えるみたい。魔法も強くて、頼れるリーダーって感じ。


ディートヘルムは剣士の男の子。ちょっと言葉は乱暴だけどイケメン、でも自覚してないみたい。カッチェが好きみたいなんだけどヘタレだから進まない。ディートって呼ばれてる。剣の腕は確かみたい。カッチェが護ってディートが倒していく。ホントいいコンビね。


もう一人、セリーヌは女の子の魔法使い。回復魔法が得意で、メンバーが怪我したら治してくれる。あと、支援魔法も得意みたい。強敵と戦うとき防御力上昇や攻撃力上昇、スピードアップの魔法をかけてる。あと、水魔法で攻撃することもあるんだよ。で、このセリーヌちゃん、とってもかわいい女の子なの。出るとこはちゃんと出てるし、引っ込むところは引っ込んでる。羨ましい…。他のパーティーの男の人からもしょっちゅう声かけられてるみたい。面倒臭そうにして、全部断ってるみたいけどね。冒険者の恰好しないで可愛い服着たら、どこかのお嬢様みたいなんだから。それこそ貴族のお館で働けるよ。


これが私たち『金色の月光』のパーティーメンバー。え?私はどうしたって?

わたしはミーア、女の子、みんなよりちょっと年下、以上。え?ダメ?

では改めまして、ミーアです。女の子です。パーティーの支援をしてます。って私、戦えないんです。だからクエストの下調べや移動の時の探索、野外での食事の準備とか、まあ諸々の雑用係です、はい。見た目ですか?えーと、可愛くないし、チンチクリンだし、ペッタンコだし……そんなとこです、ほっといて下さい。



この世界にはジョブっていうがあるんです。10歳になる年のお祭りで神様がみんなにくれるんです。ローデとセリーヌは魔法使い、ディートは剣士、カッチェは騎士でした。みんな戦えるジョブです。私は毒使いだったんです。知りませんでした、そんなジョブがあるなんてこと。私が生まれた村の人も誰も知りませんでした。色々やって分かったことは、毒が使える、毒を作れる、私には毒が効かない、毒から薬が作れる、こんなとこです。

パーティーのみんなは私のジョブのこと知ってます。パーティーのメンバーだからね。私の作った薬や毒も使ってます。


私のジョブってちょっとアレじゃないですか。このまんまじゃ村でも生活できないし街で仕事見つけるのも大変そう、ましてそのまま冒険者になったらあっという間にこの世界からバイバイしちゃいそうだったんで、だから私頑張りました。ジョブのほかにスキルっていうのもあるの。まあその特技みたいなものね。


私が使える毒関係の技は、毒が使える、毒を作れる、毒が効かない、毒から薬が作れるっていうのだけど、毒が使えるっていうのはジョブによるものね。毒を作れるっていうのは【創毒】っていうスキル、毒が効かないっていうのは【毒耐性】っていうスキル(今はもう【毒無効】ってスキルになっちゃったけど)、毒から薬が作れるっていうのは【創薬(毒)】ってスキルなの(これも今は【創薬】ってスキルになっちゃいました)。


そんなちょっと尖がった私のジョブやスキルなんで、冒険者として使えそうなスキルを身に付けようって頑張りました。そして苦節ン年?(…ンカ月だったかな?)で身に付けたのが【気配察知】っていうスキル。何かがいるって分かるだけなんだけどね。人間か獣か魔物かも分かんない。敵か味方カも分かんない。害意があるかも分かんない。そんなスキルだったんだけど、鍛えに鍛えて【探索】【魔力探索】【追跡】ができるようになったの。


あとはお料理ね。私って毒を使いこなすことができるから、材料の中にある毒を抜くこともできるのね。だからヤバそうなキノコなんかも美味しく頂けるんだ。毒キノコって美味しいんだよ(個人の主観によるものです。良い子はマネしないでね)。

それに私って一応女の子じゃないですか、だから大きくなって好きな人が出来たら、その人にお料理食べてもらいたいなって(キャァ!)思って、いろいろいっぱい作ったんです。そうしたら【料理】ってスキルが身に付いて、そしたらお料理もすごく美味しくなったの。


あっ、私の話長かった?反省してます。



「お待たせ。これね、今日のクエストの報酬。結構あったよ」

「おっ、そうか」

「あとね私たちのパーティー、Aランクの試験受けられるようになったって。次の試験は7日後だって。試験は王都でやるんだって。王都だよ王都、早く行ってみたいな」

「…………そ、そうなんだ」


あれっ?みんな嬉しくないのかなぁ。急に静かになっちゃった。


「ディート、あれ取ってきてくれるかな」

「……分かった」


「あれっ?嬉しくないの?Aクラスだよ。みんなの力が認められたんだよ」

「そりゃあ嬉しいさ。なあ」

「そうよね。私たちだって冒険者なんだから、Aクラスっていえば大きな目標だからね」


みんな嬉しそうじゃない。沈んだ目で俯いてるし、私が目をやると不自然に泳ぐんだもの。



「みんな、ちょっと座ってくれ。大事な話があるんだ」

ディートが戻ってきたタイミングでローデが話し始めた。


「ミーア、悪いけどこのパーティーから卒業してくれないか」

「えっ!」



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