第157話 ルナトーク奪還3
艦首に搭載した副砲の重力加速砲は、砲身に重力魔法の魔法陣が連続で展開されており、そこを通過する毎に砲弾が加速するという仕組みだ。
つまり砲身の長さがその加速速度に影響する。
標準の重力加速砲は砲弾の直系が10cmで砲身が6mあった。
所謂60口径というやつだ。
その6mで加速できる速度など重力加速度で計算したらたかが知れている、なのでそんな高速で砲弾を撃ち出せるわけがないという意見がある。
だが、その重力が1Gだと誰が言った。
陸上戦艦が加速する仕組み、重力勾配も1Gなどということはない。
エネルギーさえ無限に供給出来れば、ブラックホールと同等の光でさえ脱出出来ない超重力も実現可能なのだ。
さすがにそこまではやっていないが、砲弾に音速を越えさせるなどわけないまでの重力は発生出来るのだ。
ちなみに、その砲身の重力で陸上戦艦がひっくり返るということもない。
重力制御機関は何のためにあるというのだ。
そんな究極兵器、重力加速砲は機銃としても搭載している。
小さな弾を高速で連射するのが、その存在意義だ。
これは実は対人兵器だ。
人に対して直径10cmの砲弾などオーバーキルも甚だしいために設置したものだった。
まさか、それが対空兵器になるとは思っていなかったのが真相だ。
高加速の弾丸は直線軌道で敵航空機へと吸い込まれる。
連射された弾丸が、そのまま敵航空機にミシン目をつけていく。
敵航空機はそのままミシン目から両断され墜落していった。
「何かおかしくないか?」
俺は敵航空機の異変に気付いた。
敵航空機は
ASMにより、見えない位置からミサイル攻撃されていたら、果たして迎撃出来ただろうか?
おそらく重力加速砲ならば問題なかっただろう。
だが、ASMの飽和攻撃を受けていたら危なかったかもしれなかった。
「敵もミサイルは貴重ということか。
いや、それより敵航空機の機動がおかしいぞ」
よくよく観察すれば、敵航空機は飛んでいるのがやっとのようだった。
重力加速砲に撃たれて慌てて回避し、そのまま地上に突っ込む機体も見受けられた。
「どうやら、奴らはまだ航空機をまともに飛ばせないらしい」
それは僥倖だった。
まともな訓練を積む前に出撃して来たのだろう。
航空攻撃が陸上戦艦にとって弱点となると、北の帝国も気付いたのだ。
なので起死回生の一手として出撃させたのだろう。
まさか北の帝国も、こちらに対空兵器があるとは思っていなかったということか。
「航空機の数は有限だろう。全て叩き落してしまえ!」
魔導レーターと連動した重力加速砲は航空機に対して強力無比だった。
鴨撃ちが如く、簡単に敵航空機を撃ち落とすことが出来てしまった。
「ミサイルです!」
敵航空機がついにASMを撃ち放った。
しかし、それは無誘導で明後日の方向の地面に着弾した。
「まさか、ミサイルの誘導システムを入れられない?」
北の帝国にはミサイルを運用する技術がないようだ。
そのため航空機で接近して直接ミサイルを撃ち込む必要があったのだろう。
せっかくの誘導ミサイルが台無しだった。
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