第20話 水道を引く?
今日の俺の作業はお馴染みの畑の管理。
人も増えたし、作物を増産するために畑を拡張する。
この畑用の土地の範囲は昨日一部塀を拡張することで安全を確保してある。
次に生活水を井戸を掘って屋敷内に水道として引く。
今は俺が生活魔法の【ウォーター】で
そしてその水を張って大浴場を完成させるのだ。
畑の拡張は慣れたもんでサクッと魔法で終わらせた。
今後の拡張性も考えて塀と空堀は昨日大幅に広げてある。
この中の土地を必要な都度畑に変えていく予定だ。
畑にする前は一応そのまんま森なので、そこに住む獣まで取り込んでしまっているかと思われる。
なので、今ある塀と空堀はそのまま維持して、畑化して安全を確保したところから取り払っていく感じにする。
今ある畑は便宜上最初の畑の大きさを一面として三面分ある。
畑の他に果樹園が一面分。牧場が二面分だ。
牧場の面積が増えたのは、牧場担当のターニャの要望によるものだ。
仕事が楽すぎるから家畜を増やせというご
そこで羊と牛と鶏を倍以上に増やすことにした。
さらに、牛を追うために馬が欲しいというので馬も召喚した。
牧場に馬が三頭増えた。この馬がどうやら魔物らしいというのは彼女たちには内緒だ。
合計牛十頭、羊三十匹、馬三頭、鶏五十羽になった。
あ、それとワイバーンが二頭。
元々居た偵察に使ったワイバーンとニルが意気投合して、ワイバーンがニルの乗騎になったのだ。
体格の小さなニルには、あのワイバーンは丁度良い大きさだった。
そしてその姿を見たサラーナもワイバーンを欲しがった。
さすが放牧民、動物に乗るのはお手の物でサラーナもワイバーンを乗騎にした。
こっちは最初から乗騎として召喚したので、俺とサラーナの二人で乗れるほど大きい。
その流れでニルがワイバーンの世話係に任命されたわけだ。
最初の畑の区画は屋敷と時間停止貯蔵庫だけになった。
取り入れた作物は俺のインベントリか時間停止貯蔵庫へ入れて保管する。
忘れていたが、旧従業員のゴーレムの二体も、今まで通りの仕事は継続で、追加で塀の警備を仕事に加えた。
これは俺がやっていた仕事なので、少し楽が出来るようになった。
いや、他にもやることが多くて楽じゃないんだけどね。
「
サラーナが俺のあまりの出鱈目ぶりに驚きの声をあげる。
いつのまにか、呼び方が
これはサラーナが自称俺の嫁だからだそうだ。
既成事実? 姫が男と同衾したなら結婚は当然?
嵌められた感が半端ない。
テヘっとされたが、それがあざと可愛い。
「ここではそうだが、
「さすがです。
サラーナの目に♡が浮かぶ。
また惚れられてしまったようだ。
この男の力量に愛情を示すという慣習は何かに操作されてるわけじゃないよね?
隷属魔法の魔法式にあった性奴隷の記述が気になる。
本気で惚れていてくれないと、少々後ろめたい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
午後からいよいよ水道工事。
井戸を掘り、水を屋敷の屋根にあるタンクに揚水して屋敷内に水道を供給する。
これで行こうと思ったのだが、ポンプを作るならその動力に魔導具が必要になる。
それには燃料石と制御の魔宝石を必要とするが、それより安価な水の属性石で、水を出す魔道具が作れるんじゃないかと思い至った。
水の属性石なら【浄化】の魔道具を作ったばかりだ。
つまり水道の蛇口に水の属性石を使えばそのまま水が出るはずなのだ。
蛇口を捻るのではなく、起動の魔力を少し流すだけで水が出るようになる。
水の属性石はただの石から錬金術でサクッと作れてしまうのは昨日経験済み。
さらに火の属性石も簡単に作れた。水の属性石と火の属性石をある程度の数作る。
水の属性石を使って上水道を作る。
蛇口に水の属性石を嵌め、その属性石に魔力を流すことで水が出て来る仕組みだ。
上水道の配管がいらないので便利だ。
これをキッチンと洗面台、風呂、トイレの水回りに取り付けていく。
水道管なんていらんかったんやorz。
そして風呂には火の属性石も取り付け、お湯を沸かせるようにする。
キッチンの竈も火の属性石でコンロにする。
生活の水準がぐんと上がった気がする。
「よし風呂の試運転だ! サラーナ、やってみろ」
俺はずっと横にいて役に立っていなかったサラーナに風呂を入れるよう指示した。
「
「よし、起動魔力だけだからサラーナでも十分使えるな?」
水が溜まったら次は湯沸かしだ。
「
「よしよし、頃合いだな。入るぞ」
俺は湯の温度を手で確かめて風呂に入ろうと服を脱ぎ始めた。
「はい」
え? サラーナさんなんで頬を赤く染めてるの?
ちょっと! 脱ぎ始めたってことは一緒に入る気?
鈍感系主人公の俺としては、サラーナに背中を向けて人生初混浴を堪能することになった。
これが幸せなスローライフか。(違う)
プチがやきもちを焼いて風呂に飛び込んできた。
良し洗ってやろう。あ、石鹸を買い忘れたな。
いや、シャンプーぐらい生産の極と錬金術で作れるか。
そう思って魔力を込めるとシャンプーがボトルごと出て来た。
あの手押しポンプが付いているボトルだ。
もう材料が(インベントリや手元に)あれば何でも作れるな。
プチをシャンプーで洗いながら、シャワーで濯ごうと思って、シャワーを作っていなかったことを思い出した。
壁に掛け金を設置し、そこにホースの付いていないシャワーヘッドを設置した。
これは火と水の複合属性石により、単体でお湯が出るシャワーヘッドだ。
風呂は水の属性石で水を入れて火の属性石で温めていたが、こっちは一度にお湯を出せるので、こちらの方が性能が良さそうだ。
温度は適温にしてあるが、魔力の流し方によって設定温度を上下出来る仕組みにした。
シャワーヘッドを使ってプチのシャンプーも綺麗に濯ぐことが出来た。
プチが小さな体で柴ドリルを行う。
チワワだから本来ならチワワドリルだけど、その動作の総称として柴ドリルで良いよね?
柴ドリルじゃないと通じないかもしれないからね。
これで体の水分が70%は落ちると言うから驚きだ。
それにしても、なにげに高性能な魔道具を作ってしまったぞ。
これは後で風呂に湯を張る蛇口の差し替えと、洗面やキッチンにも別個に取り付けようと密かに思う俺だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます