第4話 戦闘開始




 冒険者一行とグラムが戦っている部屋。

 そこの近くまで来た。

「〈スラッシュ〉!!」

『〈ファイアーブレス〉!!』

 部屋の中を覗くと、身体から血を流しているグラムの姿が見えた。

 初めて出会った意思疎通の可能な生物。こんな私にも、優しく話しかけてくれた、あのグラムさん。

 そんな、グラムさんを傷つけているのは、あの冒険者達。

 勝手に入ってきて、荒らして。

 許せない。許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない。

 部屋の中に、入る。

「っ!リアちゃん!」

『創造主!』

 私は、静かに右腕を天高く伸ばす。無法な侵入者を、滅ぼすために。

「リ、リアちゃん?」

『まさか……』

「よくも、我が住処を荒らし、あまつさえ、住民を滅ぼそうとするなど、言語道断。万死に値する。〈天罰〉!!」

 右手の指先から伸びる雷が、冒険者の一人に当たり、身体を一瞬で灰にする。

 あと、3人。

「リアちゃん……君は」

「私はリアリリス。このダンジョンを作った魔族だ」

「魔族……」

「そんな……リアちゃん……」

「そんなこんなもない。私は魔族だ」

 最初からそうだった。

 何もかもを押し付けられ、流されていく。

 せっかくそれを断ち切ったのに、また、私は流されていた。

 だから、私の手で終わらせる。

「〈ブラックダウン〉」

 周囲一帯を闇で覆う。

 あとは、本能が赴くままに……………コロス。

 右、攻撃魔法。避ける。左、弓矢。投げ返す。正面、バスターソード。噛み砕く。

「〈ダークインパクト〉」

 衝撃波を起こし、人間を壁に押し付けようとした。

 うん。そうなっただけならよかった。

 私も一緒に壁に押し付けられてしまった。

 なぜ、私はいつもヘマをするんだ……。

 でも、相手は死んだからもういいや。

「グラムさん、すみませんでした」

『いや、気にしなくていい』

 荒れた大広間。そして、遠くから匂う死体の匂い。

 はぁ。掃除もしなければいけないのか……。

 ん?待てよ?

「〈召喚:ヴェノムスライム〉」

 召喚魔法って存在してもおかしくないはず……。

「……………」

 無いのかよ。あってくれよ。神様転生ということみたいなんだからさ。

 はぁ……。

「グラムさん。アレ、食べます?」

『流石に人間は食べない。不味いからな』

 余計に処理に困った……。

 ダンジョンだから、放置でいいか。

 いや、我が家に死体があるのは……。

 ダンジョンを家にするのを諦めるか。

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