トラップ 救出

仲仁へび(旧:離久)

01



 俺は今、作戦行動中だ。


 多くの人間が寝静まった頃に、俺は動き出した。

 本来ならこの俺も、他の人間達と同様寝ているはずの時間。

 だが、悠長に眠っている場合ではない。

 重要な作戦が控えていたからな。

 だから寝所にはカモフラージュを忘れずにおこなっておいた。


 人質を救出するためには、慎重に行動しなければならない。

 俺は今、多大な緊張を味わいながら、隠密行動を強いられていた。

 物音ひとつが致命的な失敗に繋がってしまう。

 声どころか、足音すらたてられない。


 敵は強大で、待ち受ける罠はやっかいなものばかりだった。

 俺は、なんてものを敵にまわしてしまったんだろう。


 しかし、しかたがない。

 正義を貫くという事はそういう事なのだ。

 どこかで必ず、他者と軋轢を生んでしまう。


 正義の形は千差万別。

 俺にとっての正義が、奴にとっての正義ではなかった。

 悲しいがそういう事なのだろう。


 俺は、争い続けなければならない人類の悲哀を、この身に感じ取っていた。


 最新の注意を払って進んだ後に、ついにその場所へと辿り着いた。

 目の前の一枚の扉。

 この先は、使う事を忘れ去られた者達が眠る墓場だ。

 ここに、捕らわれの存在があるはずだった。


 きっと、俺の到来を待ちわびているに違いない。

 目標達成が近づいてきた事をかみしめ、俺はつい気を緩めてしまった。


 よく調べもせず扉を開ける。


――その瞬間、俺の頭に大きな金ダライが落ちてきて、派手な音を立てた。


 その瞬間、奴らがどたどたと大きな足音を立てて、この場に現れた。


「こらっ、としや! また倉庫に忍び込んでっ! ゲーム返すのはテストが終わってからって言ったでしょ!」


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トラップ 救出 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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