第8話 かたるがたる
人間には、他人の持っている感情や思考。そういったものを完全に理解する能力は無い。
そうしたことにギリギリ手をかけるのが、人間全体の傾向を掴むという行為であるが、全体の傾向と個人が異なることなどよくある話である。
もし貴方が、今までに誰かの考えていることが手に取るように分かった、という経験があったなら、それはただの偶然に過ぎなく、誰かの気持ちがわかるなどと思いあがるのはよした方がいい。
何せ、答え合わせができないのだ。
言語表現も難しい人の考えを、明確なものに対してであったならともかく、それを読み取ること、さらに言えば理解することなど。
できやしないのだ。
理解した気になっているのだ。
それは絶対に相容れない領分。他人の心は、絶対に理解でき得ない。
だからこそ、断定はよした方がいいだろう。
人の心。感情、思考といったものに対して、知り得もしないのに断定するのはやめた方がいい。
わかった気になられて、わからないくせに断定されて。
見透かせないくせに、見透かした気になって悦に入られる程、不快なものもそうそう無い。無論、私の事だけれど。
貴方らも、そうであろう?
……なんて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます