第61話 ［虚ろなる地下茎］
取り敢えず全員でゲームにログインし、第2ステージの王国にある広場のような場所に集合した。
「なんか増えてんだが……どうゆうこったァ!!!」
「いいじゃん多い方が楽でk……すぐ攻略できるし」
「主殿の言う通りだっ!!」
イラは開口一番に俺に向かって怒鳴り散らかしていた。こいつの器はおちょこより小さいんだろう。
「紅羽が言ってた助っ人ってあの3位のやつだったのかよ……」
「ず〜っと怒な人なんだぁ」
「それで？ こっからどうやって進めていくの？」
姉ちゃんがそう言い、俺はいらに視線を向けるが、『俺はそっから知らねェ』と突き放してくる。
もしやここから自力で探せと……？ あーやばい……目眩だし、頭痛が痛い（？）。こりゃ寝ろと天が言ってるね。
『ふぉふぉふぉ！ 救世主とその仲間たちよ、よくぞ集まってくれた！』
「うわっ……出た」
『なんじゃその嫌なものを見たような反応はっ!?』
俺に世界樹を救え……？ とかなんとか言う面倒ごとを押し付けてきた、おじさんらしきデッサン人形が地面から生えてきた。
「んだテメェ！ いきなり出やがって……燃やすぞゴラァ!!!」
「待て毬栗！ 此奴は珍味かもしれぬ。某が取り敢えず喰うっ！」
『や、やめろーーっ！ ワシを燃やしたり喰おうとするんじゃあない！』
このまま食ったりしてもらえればなかったことにできたりしないかなと思ったが、更なる面倒ごとの波動を感じ取ったからやめさせた。
『そうじゃな、簡単に説明をするとしよう。
我らが姫の呪い、それはこの中心に位置している
「あ、あのおっきぃ木のことかな？」
『うむ、桃髪の言う通りじゃ。かの大黒樹は他の
百聞は一見にしかず。早速向かうぞ』
移動すんのか……今の話だけで睡魔ゲージがギュインギュイン溜まってるんだが……。
「ほら、行くぞ紅羽」
「優流……俺を置いて先に行け……」
「オメーがいなきゃ始まんねぇだろ！」
「うー……
「承知致すっ！」
桜丸におぶられ、目的地まで向かうことになった。
……道中、腹をぐーぐー鳴らしながら俺の匂いを堪能する桜丸はキモかった。
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『ここがその場所じゃ！』
〜虚ろなる地下茎・入り口〜
「何が虚ろなんだ……？」
「いちいち突っ込まなくていいだろうがよォ!!」
着いた場所は、地下につながる大きな穴だった。壁面には蔦が張っており、そこからおりれるようになっているみたいだった。
『この先は瘴気が蔓延しておる。呪われたこのワシが行くと、本当の本当に木偶人形になってしまう。
だからどうか……頼む、救世主たちよ』
「よ〜し！ 早速行くわよ！」
「うへ〜……姉ちゃん張り切りすぎ……」
みんなで蔦を伝いながら（無意識のダジャレだ）下に降りること数秒、ようやく下に到着する。
ちなみに俺は桜丸におんぶされながら下に降りた。
「な、なんだかドアがあるよ！」
この空間は随分真新しい気がするが、蔦や苔などの植物で古びて見える。寝るにはちょっと不気味だから、睡眠スポットには入れない。
特に何かあると言うわけではなく、扉が四つあるだけだった。
「なるほどな。ここで二手ならぬ四手に別れて攻略しろってことだな!?」
「優流にしてはなかなか頭の回転が早いな……」
「どーゆーことだ紅羽ー!?」
うるさい優流をみんなは無視し、くじ引きで誰と組むかを決めることになった。
一組目:
二組目:
三組目:
四組目:イラ
まぁ……あの憤怒野郎と組もうもんならだいぶ酷なものな気がするし、これが一番いい結果なのかな……。
俺は姉ちゃんに全任せ……。
「あんたにもちゃ〜んと戦ってもらうからね？ クレハ〜……？」
「思考が読めるのか……まずい……」
「何がまずいの？ 言ってみてちょうだい」
「……ふん……どうせわかってるくせに……」
「ふふっ、そうね」
さて……とっとと終わらせて惰眠を貪ろう……。
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
次回は銀水姉弟ペアの戦闘。その次は色葉律ペア、そん次はすぐさくペア、最後にイラの戦闘と、四つに分ける予定です。
あと四月から大学始まるんで投稿頻度が下がるかもしれぬ。
みんなの応援があったら頑張れるよ〜！
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