第51話 [この世界は怠惰を許さないらしい]
『ありがとう……! 世界樹の加護を持ちし救世主様……!』
野菜の魔物を倒した後、襲われていたデッサン人形から感謝の握手をされている。
「いや……ハイ。どーいたしまして……」
なぜ裏のストーリーを攻略中のことがバレているんだ……? やめてくれ……責任という名のプレス装置で潰されそうだ……。
顔色が悪くなる感覚がした。
「紅羽くん、律ちゃんから『作戦会議のためリアルで会おう』だって」
「え……今から? もうそろそろ夜だぞ……」
「えっと……わ、私ももしよかったら、紅羽くんと一緒にご飯食べたいな……とか……」
「?」
なぜかもじもじして顔を赤くしながらそんなことを言ってくる色葉。家が近いんだし、いつでも食べに来ていいんだけどな……。
「まぁ……そんじゃあ一回寝てから戻ろうかなぁ」
「えぇ!? よ、夜中になっちゃうよ!!」
「うぅん……一睡だけ〜……。頼むよ、色葉」
「え、っと……えぇ〜……。じゃ、じゃあ一回だけなら……」
「(……もらったな)」
色葉を上手いこと懐柔できそうだなと思ったその時。
《INA:一回ゲームやめて戻ってきてくれる?》
「姉ぇ……」
姉ちゃんからのお呼び出しで強制終了となってしまった。
「……姉ちゃんに呼ばれた……」
「あー……、じゃあやめなきゃだね」
「はぁ……俺の睡眠時間が……」
渋々ゲームをやめることにした。
色葉はどうやら一緒に晩飯を食いたいらしいが、どうするんだろうか。……まぁ、任せればいいか……。
###
「あ、紅羽お帰り。お母さんからなんか連絡来てない?」
「んー……?」
姉ちゃんからそう言われたので、スマホを確認してみる。
スマホには姉ちゃんのいう通り、母さんからの連絡が来ていた。
ー母さんー
母さん:今日仕事で一貫みたいなやつで食事行くから晩御飯だいじょぶって姉に伝達頼む。
可愛い子と食べてくるぜ〜☆
18:45
母さんはメールとかだとキャラが変わるな。まぁ話すより楽だからいつもより饒舌になれるんだよなぁ。
俺の場合はそれすらもめんどくさいけど……。
「んー……。仕事で……可愛い子、食べるってさ……」
「ふーん、そっか……ってどゆこと!!?」
「ふわぁあ……夜ご飯どうするか決まったら起こして〜……」
「ちょ、ちょっとぉお!?!?」
その後メールの内容を見せたら、ファミレスにでもみんなと行こうとなった。
……数十分後。
「よっ、紅羽!」
「紅羽兄、ご飯行くよ〜♪」
「えっと、こんばんは」
家に先ほどの三人がやってきた。
みんなは夜ご飯みんなで食べることを許してくれたのだろうか……?
「……優流」
「……なんだよ紅羽。その物欲しそうな瞳はなんだ」
「俺をおんぶしてくれたら、ポテトをくれてやる」
「いや、自分で歩けよ」
「横暴な……」
「横暴じゃねぇだろ!?」
夜は家でダラダラするものだろう? なんでわざわざ出歩かないといけないんだ……。
思わずため息が溢れでる。
「紅羽〜、ちょっとテレビ消してくれる?」
「はいはい……」
テレビのリモコンが一番近い俺は渋々手に取り、テレビを消そうとした。
『えー現在、銀行を強盗したと思われる集団は逃走中です。車で逃走しているらしく、高速道路での確認もされたとのことです。銃を所持しているので気をつけ――』
――ブツンッ
「…………」
俺の中で芽生えた嫌な予感が、また当たりそうな気がした。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そういえばだけど、紅羽姉のゲーム名変更してます。INA(アイナ)です。
次回、新キャラ登場ッッ!!
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