第47話 [運が良いのか、悪いのか]
約束した時間になると、俺の元に優流と律と色葉がやってきた。
「んじゃ行こうぜ! 新ステ!」
「紅羽兄ぃ行こ〜♪」
「ワクワクするね!」
意気込む三人とは裏腹に、超めんどくさいと内心思っている。
「……優流」
「ん? どうした紅羽」
「これで引っ張ってくれ」
渡したのは、俺が乗っているクッションに括り付けられた綱だ。
「……おもちゃのワンちゃんを散歩してるみたいになっちまうぜ……。それともお前にそんな願望が……っ!!?」
「え……今養ってくれるって言った?」
「言ってねぇ……。なんでちょっとテンション上がってんだ」
「なぁんだ……」
「こいつ、男女見境ねぇのか……」
養ってくれるならば男だろうが女だろうが関係ないね。
まぁ優流は……なかなか面倒見が良いし理解がまあまああるしな……。いい嫁ぎ先だ。
「なんか……紅羽くんが変なこと考えてる気がします」
「じゃあ私が紅羽にいをリードする〜」
「よろしく頼んだ……律……」
意気揚々と俺を引っ張る律を見た後、あのボスだったウサギを倒した先の森へと足を踏み入れる。
木漏れ日や鳥の囀りで俺の眠気は臨界点まで達し、瞼は降ろされた。
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「ふゎ……今どこぐらい……? …………あれ、みんな……?」
ふと目が覚めたのでみんなに確認を取ろうとしたのだが、ここにいるのは俺一人だけだった。
「……とうとう俺に嫌気がさして置いていった……のか……」
珍しく悲嘆に暮れていると、通知音が俺の耳に届く。
《ごめん紅羽兄! いつのまにか手綱が切れちゃってたの……。木に引っかかったのかも》
《お前はどこにいるんだ? 俺ら全員バラバラになっちまったぞ!?》
《紅羽くん助けて〜〜!! 動物さんたちのモフモフでダメになりそう!!》
どうやら俺たち全員は離れ離れになってしまっているらしい。置いていかれてなかったということだけ確認できてよかった。
……色葉は助けを求めてるが、まぁ……楽しんでるようだし大丈夫だろう。
「んー……どうしよう。ちょっとしたら動こ。その間はぁ……あ、そうだ。振り分けしとくか」
最近レベルが上がってたのにステータスポイントを振り分けてなかった。
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クレハ(種族:人間?)Lv.22→43
体力/53
魔力/85
攻撃力/27
防御力/24
速さ /21
幸運/50
[スキル]
◾︎基本スキル
New!
【気配察知】
【魔王覇気】
【育成】
【強靭化】
【錬金術】
【トラップ作成】
◾︎魔法スキル
New!
【ファイアーボールLv.4】
【ファイアーウォールLv.2】
【ウィンドカッターLv.5】
【ウィンドバリアLv.6】
【プチエクスプロージョンLv.6】
【ライトニングボールLv.4】
[称号]
New!
【器】
【始まりの森の死神】
【魔王】
【バトロワ2位獲得者】
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「…………? 人間(?)って、何……。俺は人間じゃないのか? ……まぁいっか」
細かいことは気にしない。
バトロワの景品としてもらった経験値瓶とやらも使ってレベルを上げた後、ステータスの振り分けを行なった。
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クレハ(種族:人間?)Lv.50
体力/53→94
魔力/85→108
攻撃力/27→42
防御力/24→46
速さ /21→40
幸運/50→110
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「レベルか50までいってしまった……。しかも運と魔力100超え……ふっ」
こんなにも幸運ならば、さぞかし不運なことは全く起こらなくなるんだろうな……。
そんなことを内心思いつつ、微動だにしない口角が少し上がった感覚がした。
だが、現実世界もこの仮想世界も、いつだって俺が思うように事が進まないものだ。
《――特殊区域に侵入。使用中のスキルが解除されます》
「え――」
突然、謎の浮遊感に襲われる。
いつのまにか俺は木々に隠れていた大穴の上を浮遊していたらしい。そしてなぜかスキルが解除され、落下中だ。
「はぁぁ……。どうしてこんな目に……!」
運レベルは……上げない方がいいのかもしれない。
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レベルの上がりが早い?
たゃ〜、レベル999までありますし、そこからさらに「999+○○」みたいになるから大丈夫なのだ。
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