第12話 [vsグランドスケープゴート③]

 おそらく……あいつも次の攻撃で仕留めようとしているだろう。

 だが、あの魔力全部を使い稲妻を放たれたらとても操作しきれない。


 だったらどうするか?


 答えは「自分のものにする」だ。


『グァァァァァァァァ!!!!』

「やっぱりだな……全部使い切ってきやがった……。だったら俺も少しは本気出させてもらおうか……!」

『ガァァァァァ!!!』


 さっきの何倍、いや何百倍もの威力の稲妻が放たれ、俺の元へ一直線に来る。


「【念動力サイコキネシス】! ぐ……うぐぐぐ、やっぱ無理ぃ……!」


 やはり操作は無理。受け止めるだけで精一杯。

 ならば……


「稲妻を体へ取り込む……うまいこと自分に取り込む! 痛い……!!」


 俺は操作しきれない紅の稲妻を体へ取り込んだ。


 人間は微弱だが筋肉などを動かす時に電流を流している。それに接続させるという無理難題な話だが、俺の右目は電流の流れが見える。

 つまりうまく接続できれば脳で考えたことが自由自在に雷を操ることができる。


 このゲームは、現実でできることはなんだってできる。それプラス、現実ののことだってできる最新ゲーム。

 なら、できるはずだ。


「……ちょっとキツイ……。けど、コツは掴んだ……。これで……っはぁ。やっとか……」


 そこには紅に光る血管のようなものを全身に張り巡らせ、髪が所々紅に染まっていて、稲妻を帯びている自分の姿があった。


「まったく……面倒なことさせるなよ……。俺は面倒事が嫌いなんだよ……」

『グ!? グァァァァ!』

「お前のとっておきの一撃だったようだが……残念だったな。稲妻 はもう俺のものだ」


 俺は片手を銃の形にして、山羊に標準を合わせる。

 この間にも体力がどんどん減っているが関係ない。

 全て出し切る。


「俺の睡眠を邪魔した罰を、喰らえ……!」

『グゥゥゥ……ガァァァァァ!!!』


 叫んで必死に止めようとしているが、止まらない。止められない。


 指先から放たれた雷撃は、刹那のうちにこの空間を通り過ぎていった。


『ガァッ……ァァ……』


 山羊の腹に風穴を……それも巨大の穴を開けた。

 そして直後。


『ガァァァァァ…………』


 山羊が爆発した。

 巨大な故に血しぶきがまた派手に飾っている。


「あぁ……ようやく終わったか……」

《ワールドアナウンス:始まりの草原の裏ボスがクレハさんにより討伐されました!》

《グランドスケープゴートを討伐。レベルアップしました》

《レベルアップにより、【大罪:怠惰の極致】から、スキル【模倣コピー】が解放されました。初回特典により、【紅稲妻】を模倣。スキル【紅稲妻】を獲得しました》

《称号:【裏ボスキラー】を獲得》

《スキルのレベルアップにより【念動力サイコキネシス】と【浮遊フロート】を融合した【重力操作グラビティ】を獲得》

「…………寝よ」


 地上に降りた俺は、たった一言そう呟いた。


「zzz……」


 勝利の祝い眠をするのであった。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


面白かったら是非高評価を!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る