おれのクラスには超絶完璧美少女が存在しますが、彼女はおれから離れると死んじゃいます
あすか
彼女は
おれのクラスには超絶完璧美少女がいる。
文武両道、才色兼備。
そんな言葉を似合う人物である。
モデル並みのスタイルに学年一位の秀才。
いや、もはや、これは天才なのかもしれない。
まるで漫画に出てくるキャラクターがそのまま現実に出てきたような、むしろ、これは漫画じゃね?って思ってしまうくらいの完璧美少女。
もちろん、そんな人物だから、引く手数多は当たり前。しかし、彼女は誰にも媚びない。
惹かれない。
その理由は単純だった。
「はぁ、疲れた……」
ため息を吐きながら、おれ、
昼休み後の体育はマジで疲れるよな。
腹一杯の後に運動とか、絶対体に悪い気がする。そして、身体を動かすと無性に眠たくなる。このまま、昼寝っていう授業を設けてほしいくらいだ。
「ゆうくーん!おかえり!!」
おれがそんなバカなことを考えていると、突然、誰かが抱きついてきた。
いや、もう誰かは分かりきっている。
おれに抱きついてくるなんて、あいつくらいしかいない。
その柔らかい肌がおれの身体に密着する。
「ああ、今の優君、少し汗の匂いするね……それもまた芳しい……」
言いながら、くんかくんかとおれの胸に顔を当ててくる。
まさに変態のセリフだったな、今の。
しかし、ものの見事にクラス全体がスルーしている。こんなのは日常茶飯事だからだ。
こんなので、突っ込んでいたらキリがない。
最も、この光景を初めて見たクラスの連中は最初こそ、驚いていた……というか、ドン引きしていたが、人間の慣れとは怖いものである。
まるで、人間が息をするのは当たり前と言ったように、誰もなんの疑問も持たなくなってくるのである。
「たった一時限、離れてただけなのに、相変わらず大げさだな」
言いながら、身体から引っ剥がす。
「私にとっては永遠に長かったよ……いっそのこと、抜け出して混じってやろうかと何度思ったことか……」
こいつの場合、有言実行する可能性が高いから、怖い。
「でも、良かった、また会えて……私の元に帰ってきてくれて……」
目元に浮かぶ涙をそっと拭い去る。
演技でもなんでもなく、自然と出てくる涙だから、すごいよな。
「まるで戦争にでも赴いてたような言い草だな。とりあえず、席に戻ろうぜ、もうすぐ授業が始まる」
「はーい。また後で嗅がせてね……じゅるり……」
舌舐めずりをするな、お前は犬か。
心の中でツッコミながら、おれはようやく自分の席に着いた。
今、おれに抱きついて、くんかくんか、すーはーすーはーしてたのは、おれの幼馴染みの
誰もが振り返るほどの美貌と天才と言えるほどの頭脳を持った超絶完璧美少女。
抜群のスタイルとさらっと長い黒髪。
そのスタイルの良さは、同性である女性ですら、惹かれるほど。
モデルにならないかと、数多の事務所からスカウトが来るほどである。
そんな彼女だが、致命的な弱点がある。
それは、極度のおれ依存なのである。
幼馴染みだから、接してきた時間が他の連中より、長いのは分かる。だとしても、どうしてこうなったのか、分からない。
少しでも、おれから離れると極度のおれ不足になるし、離れている時間が長いほど、穂花の才能は枯れていく。
水を与えられない花が萎むように、また穂花もそうなるのだ。
事実、おれが家族旅行で3日ほど家を離れていると、次に会った時の穂花は痩せ細っていた。
いつもの明るい、変態混じりの笑顔はなく、小学生すら解ける算数を解けず、文字も書けず、それはもうひどかった。
おれが家族旅行に行っている間、穂花はずっと部屋に篭っていたらしく、穂花の両親に長期間離れるのはやめてくれと懇願されるほどだった。
こんな感じで穂花はおれから離れることはできないのだ。
やはり、この世に完璧な人間など存在しないのだろうか。
そんなどこかの哲学者のようなことを思ってしまう。
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