ギルド結成!②
「えっと、私も今朝知ったんだけど、昨日倒したワールドボスのレベルが、実はこれまで討伐された中で二番目に高かったらしいの」
「私たち、一気に有名人です~」
「もしかして、ワールドボスを討伐すると、討伐したメンバーの情報が公開されるのか?」
「肯定、顔写真付きで町中の掲示板に張り出される」
何だかんだいって、この世界のプレイヤーが最も関心を示すのは、誰がどの強敵を倒したかというゲームの攻略部分だ。
とりわけ、世界に一体しか存在しないワールドボスの討伐は注目度が高かった。
高レベルのワールドボスが討伐されただけでもお祭り騒ぎとなる。
しかも、そこに記載されていたのは、たった四人の無名冒険者たち。
噂にならない方がおかしいくらいのビッグニュースだった。
「内容はギルドへの勧誘が多かったね」
町の掲示板に張り出された情報には、プレイヤーの名前やギルドの所属の有無なども記載されていたそうだ。
二番目にレベルの高いワールドボスを討伐した四人がギルドに所属していないとなれば、勧誘があるのは当然の成り行きだった。
どこのギルドも、身内だけでワールドボスを討伐して、報酬を独り占めして、それで装備を整えて、さらに強いワールドボスを討伐して、知名度を高めて、どんどんと組織を大きくしていきたと考えているからだ。
「そこで提案なんだけど、もし良かったら、私たち四人でギルドを作らない?」
「構わない」
栞は即答だった。
「だそうで」
「終生君もそれでいいの?」
穂波の目には、俺が栞の意見に流されているように映ってしまったのかも知れなかった。
「これからもこの四人で冒険しようってことなら、俺も構わないぞ」
「そういってくれると嬉しいな」
「ありがとうございます~!」
穂波と天音はぱっと向日葵のような笑顔を咲かせた。
「それじゃあ、ギルド名はどうしよっか」
「かっこいい名前がいいよな、救世の騎士団とかどうだ?」
「あはは……」
「ほぇ?」
「失笑」
何故だか、みんなの反応がいまいちのような気がした。
栞に至っては、料理に
「おい、そんな目で睨むなよ、変な性癖に目覚めたら責任取ってくれるんだよな? それじゃあ、栞は何かいい案があるのか?」
「……白いパラソル」
「ん? それがギルド名か?」
「こういうのは苦手」
栞はぷいっとそっぽを向いた。
「いちごパフェはどうでしょう~」
「それ天音ちゃんの好きなものだよね」
「自分の好きな物の名前にした方が、すぐに好きになれると思うんです~!」
天音にしては珍しく、自分の意見を力説した。
確かに一理あるが、いちごパフェはやめてもらおう。
「それじゃあ、私が好きなものは天音ちゃんだから天音ちゃんって名前にするー!」
穂波は天音をぎゅーっと抱きしめた。
「はわわわわわ~」
「それで、穂波は何かいい案はないのか?」
まさか本当に天音の名前をギルド名にはしないはずだ。
「そうだねー、生き残り隊とかどう? 隊は部隊の隊ね」
「親父ギャグかよ」
「面白いです~」
「却下」
「みんな真面目に考えてくれよ。というか、俺のやつが一番ましじゃないか?」
「うーん。救世も、騎士団もちょっと重たいかな」
「もっと軽い感じか」
穂波と天音はもっと気楽なギルドをご所望のようだ
そりゃ、俺と栞が全プレイヤーの命運を担っているなんて知らないからな。
「軽い~、軽い~、軽いといえばふわふわ~、ふわふわといえばマシュマロです~」
天音が珍妙な歌を口ずさんだ。
「あ、マシュマロパラソルっていうのはどうかな」
「栞の、白いの部分をマシュマロに変えたわけか」
「そうそう」
「異存ない」
「かわいいです~」
「ま、三人が気に入ってるならそれにするか」
こうして、俺たち四人はギルド『マシュマロパラソル』を組むことになった。
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