第2部
充弐 藤
「熟女じゃなかった」
「……」
「妖しげな雰囲気の色気で男女老若を虜にすると思ってたけど違った」
「……」
「大人になりたての女性」
「……」
「天真爛漫さをちょっと覗かせつつも落ち着かせようとする初々しさ」
「……」
「一粒口に含むと口中に曳かない甘味が広がってすぐに消える金平糖」
「……」
「夜になると連れていかれる」
「……」
「おいで~。おいで~」
「……なぁ」
「このはななんだ?」
「……謎解きだったのか」
「答えは起きたあと」
「っおい!俺の花の創せ……ったく自由奔放なところ、は、変わるわけがない、か。しかし、幼さが増したな。言動も表情も」
白く、柔らかい刃の形をした植物の中。
目を開けたかと思えば、しかし起き上がることなく意味不明な言葉を淡々と紡ぎ、また目を閉じる。
そうして十秒も経たずに夢の中に旅立った舞子に、いつになったらまともに起きるのかと愚痴を零しつつ、生きている時には決して目にしなかったその、あどけない表情を見つめる。
「…恩返しはいつになるのやら」
頬に手を添えようとしたが留めて拳を作り、嘲笑を向ける。
熱で今にも溶けそうだった、などと考えた自分にだ。
藤:花言葉 あなたを歓迎します 至福の時 恋に夢中 恋に酔う
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