来る
『外縁部における通信障害の続報です。障害はさらに拡大し、追加で8つの星と連絡が途絶しました。政府は異常事態として正規艦隊の派遣を決定。強力な通信施設が建設されている惑星メンヴァを拠点として調査を行う予定との事です』
◆
『いくらなんでもおかしいぞ。これは自然現象なんかじゃない』
『妨害電波については調査してる。だけどいくら精査しても結論は出てる。辺境じゃどんなに頑張ってもこのレベルの装置は無理だ。それこそ情報部が全力で対処しても分からないくらいなんだぞ』
『……相手が人類じゃなかったら?』
『……そんなまさか』
◆
【我々サードニュースペーパーが入手した極秘情報では、やはり外縁部で起こった通信障害は独立派の妨害工作であり、凄まじい勢いで独立の思想は広がっている様だ。政府は察知できていないが、現に辺境の惑星メルでも民兵組織が結成されたようで、武器の調達と訓練が活発に行われている。外縁部からも離れた田舎の惑星だが、小麦の産地としても有名なここを独立派が入手したなら、食糧の供給も安定し始めるだろう。早急に政府は独立派に対して手を打たなければならない。関係者によると、辺境の溜まりに溜まった不満が爆発した形であり、単なる武力制圧では火種は残ったままだと指摘していた】
◆
『続いてのニュースです。マール大学に併設されていた軍の施設ですが、凄まじい突貫工事で既に完成は目前となっているようです。いかに軍がワープ技術に注目しているかが分かるというものですが、現地では施設の安全基準を不安視する声も上がっています』
◆
『メンヴァ!?聞こえるか!?現在我々は未知の勢力から攻撃を受けている!センターに伝えてくれ!敵は圧倒的戦力を保持している大艦隊!総数不明!!今すぐ増援を!メンヴァから避難しろ!くりかえ!?』
◆
『総数不明の大艦隊とはどういうことだ!?』
『通信は出来んのか!?』
『一体そんな戦力をどうやって作ったのだ!』
『メンヴァの通信施設なら、敵の妨害を受けない事が分かったのだ!各地に今すぐ設置しなければ!』
『簡易でも突貫でもいい!とにかく作れ!』
◆
『あー。レポート終わんねえ』
『これは卒業できませんねえ』
『言ってろ』
◆
名無しの兵站部さん
ちょっと!急に忙しくなったんだけど!
名無しの兵站部さん
誰かが暇とか言ったから……
名無しの兵站部さん
あ?
名無しの兵站部さん
すんません!
◆
『本日のニュースです。旅行シーズンも終わりに近づき、再びセンター宇宙港は大勢の賑わいとなりました』
◆
≪ああああああ。学校だ……≫
≪週休7日制希望……≫
≪ねー≫
◆
『今度は大丈夫なのかね?』
『はい大統領。正規の艦隊5個を投入しておりますので、反乱軍を必ず打倒します』
『よろしい。では会見に行ってくる』
◆
『本日のトップニュースです。大統領は演説で、一連の通信障害は外縁部独立派の攻撃であり、5個艦隊を投入して反乱を鎮圧すると宣言しました』
◆
『ワイバーンがもっと早く完成していればいいお披露目だったんだが』
『いくらなんでもセンターから辺境は遠すぎる。それこそワープが無ければ無理だ』
『まあな。どのくらいで鎮圧できると思う?』
『年内には終わるだろう』
『そうだな』
◆
名無しの兵士さん
あーあ。外縁部か。
名無しの兵士さん
遠い。遠くない?
名無しの兵士さん
遠い
名無しの兵士さん
下手すりゃ冷凍マグロ状態で出荷されるところだった。
名無しの兵士さん
というか正規艦隊っても、辺境所属の田舎艦隊だよな?
名無しの兵士さん
しー
名無しの兵士さん
それでも田舎者相手なら余裕だろ。
名無しの兵士さん
確かに
名無しの兵士さん
ガハハ!
◆
『緊急速報です!外縁部に出撃した艦隊が壊滅!惑星メンヴァと周囲の植民星も壊滅したことが分かりました!』
◆
『情報統制はどうなっているんだ!』
『強力な通信機をあちこちに建てたんだ!前線の情報なんて筒抜けになってるに決まってるだろうが!』
『そんな事より被害は!?』
『情報を持ち帰るように命令された快速船が数隻だけだ!』
『数隻!?5個艦隊もあったんだぞ!』
『陸戦は!?』
『そっちも壊滅だ!いくつかデータを送って来ているが、情報部が解析している!』
『メンヴァの脱出は!?』
『確認されていません!』
『馬鹿な!』
『情報部の画像の解析終わりました!』
『見せろ!な、なんだこいつらは!?手足が6つ!?』
◆
『続いてのニュースです。最後のマニュアル車の製造が終了し、マニュアル車の歴史に一旦の終止符が打たれることになりました。一部の好事家の間では落胆の声が相次いでいますが、同車は年々売り上げが落ちており、採算が取れなくなったことが原因のようです』
◆
『大統領の緊急会見が行われました!それによると外縁部での攻撃は、独立派ではなく、全くの異星人による攻撃で、軍の動員と軍事態勢への移行。それと並行して、対話の方法を模索するとの事です』
◆
『ミサイルの運送先間違ってるわよ!』
『ええ!?』
『レーションが足りません!』
『あの糞マズいのも詰め込んどきなさい!』
『あれっすか!?』
『無いもんはしょうがないでしょ!』
◆
≪宇宙人だって!≫
≪なんかタコみたいだったよね≫
≪タコは8本なんだけどw≫
≪確かにw≫
◆
≪政府は謎の異星人を、ガル星人と呼称することを正式に決定。対話を試みていますが、派遣された無人機は全て撃墜されている様で、目途は全く立っていないようです≫
◆
『最近運動不足を感じていませんか?当ジムでは最新のエクササイズマシンは勿論、プールにサウナ、各種会員特典も盛りだくさん!』
◆
『奴等の目的は何なのだ!?』
『ズアッダ星とウェストルック星も通信途絶!』
『陸戦隊からの情報ではやはり捕虜を捕っていないようです!』
『皆殺しにしているのか!』
『防衛ラインの構築は!?』
『間に合っていません!』
『カロットに付近の艦全てを集めろ!なんとしてでも止めなければ!』
◆
【我々サードニュースペーパーが入手した極秘情報によると、政府がガル星人と呼ぶ存在は全くの嘘で、外縁部の辺境に敗れた事実が伝われば面目が無いと、未知の宇宙人の科学力に圧倒されたというストーリーを作り、世間に言い訳しているようだ。現にメル星の独立派の行動はますます活発になり、至る所に野戦陣地が構築され、何処から入手したのか対空砲まである始末だ。まだ辺境との勢力範囲は遠いままだが、独立派がメルに到着する頃には、正規兵も真っ青な星に仕上がっているだろう。そんな星と独立派が合流すれば、ますます手が付けられなくなるだろう。だがいい情報もある。どうやらメル星の大部分の市民は、彼等の行動を訝しく思っており、賛同は得られていない様だ】
◆
『宇宙クルージング?いやいや、原点に戻りましょう。青い海に青い空。輝く豪華客船での海の旅。どうか皆さんも体験してみて下さい』
◆
『いやあ、昨日の試合は凄かったですね!』
『本当ですよ!まさか残り1秒でのゴール!しびれましたね!』
◆
《緊急速報:カロット星宙域での防衛に失敗。艦隊は壊滅。指定されている星系の住人に強制避難命令が発令されました。指定された星系の方は、すぐさま宇宙港に移動してください》
◆
ー宇宙人は存在しない。いても我々より劣っていなければならないー
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