音声ログ2 タコ地獄絵図編

ようこそエージェント。


このデータは、第629惑星で入手した、ガル星人の音声ログになります。再生しますか?


はい


それでは再生を開始します。



『現在、我が軍が優位に進展中』


『了解。超大型多脚戦車、"カブトムシ"の整備状況は?』


『完了済み』


『了解。不測の事態まで待機。なるべく戦線への投入は控える』


『了解』


『報告。敵司令部と推測される地点に、揚陸艇多数が大気圏を突破して到着予定。一個大隊相当』


『了解。予備兵力の前線投入の準備開始』


『了解』


『我が軍、敵の前線を突破中。依然優位』


『了解』



『こちらに接近中の敵ヘリコプター補足。数1』


『了解。対空ミサイル発射』


『了解。対空ミサイル準備。発射』


『発射』


『迎撃されました。方法不明』


『もう一度発射せよ』


『了解。発射』


『理解不能。再度迎撃されました。敵新兵器の可能性あり』


『敵、頭上を通過します。投下物1!』


『爆弾!?総員伏せよ!』


『全く。長々と挨拶を受けるなんて御免だ』



『我が軍、突出部隊からの連絡途絶』


『了解。戦線の再構築を優先』


『了解』


『予備兵力を投入。同時に、特殊部隊によるハラスメント攻撃開始。戦線構築までの時間稼ぎでいい』


『了解』



『ボギル!?隊長!ボギル行方不明!』


『全周囲警戒!副長合流せよ!副長?副長応答せよ!』


『ボギル!?ボギル何処だ!?』


『1階班!行方不明者多数!2階へ突入せよ!1階班?1階班応答せよ!』


『ボぎゅ!?』


『て!?』


『しまった。ハサミのままだった』



『特殊部隊連絡途絶。我が軍、前線突破されつつあり』


『了解。"カブトムシ"投入。目標、敵機甲部隊』


『了解。超大型多脚戦車投入。目標、敵機甲部隊』



『こちらカブトムシ。敵機甲部隊攻撃中。圧倒的優位』


『了解。攻撃続行』


『了解。訂正、気密処理に問題発生』


『了解。作戦続行の可否を判断せよ』


『いいおもちゃだ。この前は、ステルス揚陸艇だけしか技術部に送れなかったからな。これを送ったら、向こうも喜んでくれるだろう』


『パイロット?貴官、所属と階級を明らかにせよ』


『人類連合軍、特務大尉』



『超大型多脚戦車、我が軍を攻撃中。奪取されたものと推測』


『理解不能』


『同意』


『同意』


『周囲の多脚戦車を使い、カブトムシを破壊せよ』


『了解』



『目標、超大型戦車!主砲発射!』


『発射!』


『失敗!着弾無し!』


『我が隊、着弾無し!』


『理解不能!再度主砲発射!』


『発射!』


『着弾無し!理解不能!』


『敵!回避行動を確認!』


『理解不能!カブトムシに、回避プログラム未搭載!』


『照準システム異状なし!』


『理解不能!』


『センサーに感!我が車両照準される!』


『かい!?』



『隊長!タコの超大型戦車がこっちに!』


『多分特務だ。というか絶対特務だ』


『どうすんすかね?やっぱあれでタコの基地を吹っ飛ばすのかな?』


『いや、司令部から、タコの基地を押さえるように言われている。情報のすり合わせをしたいとかなんとか』


『うへえ』


『うっわ。近くで見たらすんげ。どんだけアホみたいな戦車作ってんだよ』


『特務!ご苦労様です!』


『やっぱ特務だった…』


『げえ!?上から飛んだ!?』


『ちょ!?特務!?』


『問題ない。戦況は?』


『え?あっ!はっ!我が軍が圧倒しております!我が隊は基地の制圧を命じられております!』


『うっそだろ…100メートルはあるぞ…』


『分かった。俺も同行する』


『はっ!ありがとうございます!』


『それと、足元に転がっているそのタコ、生きてるぞ』


『はっ!?』



『第4中隊連絡途絶!』


『機甲部隊連絡途絶!』


『戦線崩壊!我が軍潰走中!』


『敵部隊!当基地に侵入!』


『基地防衛隊から救援要請多数!』



『バギガ、ルガウ。敵突入と同時に、攻撃開始』


『了解』


『了解』


『クリア!』


『クリア!』


『…敵接近中』


『と、特務?』


『壁を?』


『伍長!中をクリアリングしろ!』


『はっ!これは!?タコが死んでいます!まさか壁から!?』


『特務!?また第六感なんですか!?それとも透視できるんですか!?特務!?』


『やっぱ人間じゃねえわ…』


『帰ったら掲示板やろっと…』



『基地司令!防衛隊全滅!敵部隊目前!』


『扉を封鎖!急げ!』


『ぎゃ!?』


『ごっ!?』


『ぎゃああ!?』


『嫌だ!?』


『クリア!』


『クリア!』


『何で一人机の下にいるんだ?』


『ひいいいい!?』


『おい。お前に番号はあるか?9番みたいなやつだ』


『"死の使い"!?"悪魔"!?"怪物"!?"化け物"!?"いてはならない者"!?"許されざる者"!?』


『質問に答えろ』


『理解不能!なぜ我々を殺す!?我々は"唯一正しき者"!宇宙の支配者!ぴぎゃ!?』


『なぜ?何故だって?お前達に、子を殺された親の悲しみが分かるか?親を殺された子の嘆きは?夫を、妻を殺された者の怒りは?子と孫を殺された老いた者達の絶望は?分かっていないだろう?分かっていないから俺はお前達を殺すのだ。そして、もうそんな事をお前達にさせないために、我々軍人は死にに行くのだ。そうだろう戦友諸君』


『『『『『『『サーイエッサー!』』』』』』』


『お前達が唯一正しいというのならば、俺が一を零にする。例え宇宙の果てに逃げようがだ。必ずだ。必ず』

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