第3話

僕は学校に着いても依然あの女性が気になっていた。グラウンドには朝部活に励む声が聞こえている。いつもは何の為にやっているのだろうとか、自習の耳障りとしか思わなかった。しかし今日はそんな騒音も耳に入らないほどであった。ソワソワと落ち着きがなかった。

幸い今日は朝早く来ていたため教室には僕以外誰もいなかった。


結局ほとんど手が着けられないまま1限が始まってしまった。

もやもやする頭を何とかして働かせて授業を受ける。


「ではここの問題を宗也この問題の答えを書いてくれ。」


勿論まともに授業を受けていたハズも無く

内心ビクッとしながら黒板へ向かう。

いつもはこんな問題直ぐに解いてしまうのだが、焦って黒板に書き殴ってしまった。

そそくさと席に戻った。


すると案の定解答は間違っていたようで周りからはクスクスと笑う声や不思議そうに此方を見る目があった。


「宗!あれ違くないか」


悠人が笑いながら指摘してきた。

彼は波賀悠人。

彼はクラスで1、2を争うムードメーカーで

僕にとって普通に絡みにくい人。

頭はそんなに良くないけどいつもテンションが高く典型的なクラスの人気者だと思う。


「宗也が間違えるなんて珍しいな。直しにくるか?」


急いで黒板に向かった。

この時だけは彼女のことは頭になかった。


結局この日は授業に集中なんて出来なかった。




帰りのホームルームが終わった後今日は長めに自習室に居ることにした。


今日の帰りは遅くなりそうだ。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る