28缶目 おやすみロマンス


桜から僕の知ってる桜の匂いはしない

逢魔が時に香れば魔除け

麻酔が効いてきたね

あなたの呼ぶ声で蘇生して

こんな街に何しに来たの

酒しかないけどいいのかい

割けた皮膚に咲いた百合

遺言胸中(脳裏に秘め事)

右も左もなくしてくれた優しさ

霞む鈴蘭に捧げる杯の氷は飴細工

非文学的な生を見せて

忌まれることになれないで

言われたことはないけれど

書かれてはあるかもしれない

おやすみロマンス

叶うならば、またどこかで



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