帰り道のトリケラトプス
一矢射的
上
よく晴れた日の午後、学校からの帰り道。
僕の行く先を
うっわ。
うつ伏せの
両側はブロック
トカゲとサイを
うわ、こっちに気付いたみたい。
僕の
人の
テレビで流れるようなイメージ
トリケラトプスが
でも、コイツの
とても澄んで優しい目をしていたんだ。
近付いて恐竜の
人間とは逆だ。下から上へ閉じたぞ……まぶた。
他ならぬボク自身が信じられないんだから。
なんで大昔に
辺りを見回しても
うーん、夢を見ているのかな? それともどこかの
こんな時、
あっ、博士兄弟ってのは僕の
弟のシンジもふさぎ込んで元気がないんだ。
だからこそ、僕はこうして一人ぼっちの帰宅を
ちなみに僕のあだ名は「メガネ」
何の
でも今はオマケが本体なしで困難に出くわしてる。
つまりは、僕が自分で何とかするしかないってことだ。
「あのね、そこを通らないと家に帰れないんだけど?」
「ブフゥ~」
「君がまったく動かないと約束してくれるなら、ちょいと大きな体を乗り越えていくんだけどさ。
「ンゴォ~」
返事は鼻息だけか。
通知表に「人の話を聞かない」って書かれるタイプだな、コイツは。
「もういいよ、ふん。僕は遠回りして帰るから。君はそこで好きなだけ寝てるがいいや」
とうとう僕の方が根負けする。
さりとて、この最短ルートを
あの大通り、トラックがスピードを出してすぐ
小学生男子たるもの誰もがそうであるように、タカシ君は恐竜が大好きなんだ。
意識が戻らない程の
そんな事を考えながら恐竜に背を向け、歩き出したその時だ。
トリケラトプスの奴、のっそりと起き上がったじゃないか。
ドスン、ドスン。
足音だけで地面が
あの優しい目は
僕は
「こらこら、ついてきたらダメだよ」
ドスン、ドスン。
「ウチじゃお前なんか飼えないんだから。」
ドシン、ドシン。
もう、何を言っても聞きやしない!
そもそも飼うってなんだよ。子猫じゃあるまいし。
次第に腹が立ってきた。本当に何なんだよ? こいつ!
ジュラ紀から現代にタイムスリップしてきたとでも?
それともまさか、これが恐竜の幽霊なのかな?
僕の頭には、一月ほど前に聞いた
あれを聞いたのは確か学校で、時刻は
僕らを
「先生、
ゴメン、理解不能だよね。ちゃんと順を追って話すよ。
ことの
僕ら三人が
うん、そう。八雲先生はちょっと変わっている所があってね。もう四十過ぎの男性教師で頭なんかハゲているのに、
「戦時中に亡くなった人の霊が今でも出るなら、恐竜の霊だって、きっと今でもどこかに居ますよね? そんなに大昔の霊は出ないっていうのなら、先生がおっしゃる日本兵の霊も話が古すぎませんか?」
「君ィ、あのね、恐竜が滅んだのは六千六百万年前の話。第二次大戦はたかだか六十五年前だよ? 君らにはそれが同じ過去に感じるのかい? はぁ、これがジェネレーションギャップという奴か」
ため息をつく八雲先生にタカシ君は
「でもでも、大昔なのは変わらないでしょ?」
「はいはい。でもね、幽霊や妖怪っていうのは、人の強い感情を嗅ぎつけて現れるものなんだ。恐怖とか、
「ぼじょー?」
「ええと、会いたいと思う気持ち……かな?」
「へえー、会いたいと強く念じれば、恐竜の霊とも会えるんですね! へへへ、良いこと聞いちゃったなぁ」
これにはさしもの八雲先生もタジタジだ。
僕は
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