第112話 ユグドラシルの枝
クルゴンにエルフの村の外の事を話す
「……そうですか、外界ではそんな問題が……」
「ああ、そのうちこのエルフの村にも影響が出るだろう。何より、マナを一番必要とするのがユグドラシルだ。このまま魔界と繋がってしまえばここの結界が壊れ、さっきお主が言っていたように外界の薄いマナと混じりあってユグドラシルは枯れるだろう」
「分かりました。それをユグドラシルは感じていてあなた方を呼び込んだのかもしれませんね」
エリザのインチキだと言い出せず、視線を逸らす。クルゴンはそれを何ととらえたのかは分からぬが、こくりと頷いて立ち上がる
「それではついてきてください。ユグドラシルの元へを向かいましょう」
ユグドラシルは村の中心にあった。というよりも、ユグドラシルを中心として村を囲むように築いたと言うべきだろうか。ユグドラシル自体は破壊不能だと知っているからか、ユグドラシルを守るというよりはユグドラシルからの恩恵を逃すまいとしているかのようだ。実際、葉や枝がどこへ落ちるか分からないので、ユグドラシルの周りをすべて囲ってしまうのが一番の得策なのだろう。普通にソナーのような魔法を唱えれば分かりそうなものだが、ユグドラシルは特殊なので魔法の探知なんかは出来ない
「ば、ばかな!」
ユグドラシルに着くなり、クルゴンは大声を出す。そしてすぐにユグドラシルに向かってひざをつき、額を地面につける
「どうしたのだ?」
クルゴンの奇妙な行動に尋ねずにはいられなかった
「……あなたには見えませんか? ユグドラシルの化身のお姿が」
「……見えぬな」
クルゴンの言う場所を見るが、何も見えない。もしかしたら、エルフにしか見えぬのか、はたまたユグドラシルの意志なのか
「なるほど。そうでしたか。分かりました、すぐにお渡しします」
はたからみると、クルゴンの独り言にしか見えないが、話し終わるとクルゴンは上を向いた。すると、一枚の葉がひらひらと落ちてきた
「ユグドラシルよりあなたに渡してほしいと」
クルゴンからユグドラシルの葉を受け取る。すると、今まで見えなかったユグドラシルの化身とやらの姿が見えるようになった。どう見ても10歳くらいの少女にしか見えぬが、その圧倒的な存在感はただの少女ではないと分かるのに十分だった
「初めまして。あなたに私の一部を所持する事を認めます」
「ほう。それならば我にユグドラシルの枝を分け与えてくれると?」
「はい。ただし、それには条件があります」
「申してみろ。我に出来ぬことは無い」
「それは――」
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