第2話 本当のプロローグ



 朝、異様な身体の熱さで目が覚める。

 な、なんだ……これは……。

 頭が、痛すぎる。

 腰も、かなり痛い。ってか、骨が折れてる!?

 痛すぎる。痛過ぎて声も出ない。


「ギッ……ガ……」


 ヤバイ。これ、死ぬのでは?いや、これまでに何度も思ったけども。インフルの時や風邪の時。酷い頭痛やあわや交通事故の時。

 俺、死にかけすぎじゃね?

 あ、なんか少しずつ楽になってきたような……。


「いや、一気に回復しすぎだろ……は?」


 声が……高い。

 おい。この高さ、俺が普段使っているのよりも少し高いぞ……。

 ベッドから立ち上がり、身体を確認しようとする。

 うん。足元が見えん。

 慌てて、クローゼットの扉の裏側についた姿鏡を見る。

 そこには……


「ネコじゃねぇか……」


 ネコ……と言っても、俺が言ったのは猫ではなく音虎だ。

 そう。紙鳶音虎のケモミミなし状態になっている。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 俺は、人生で一番大きな叫び声を上げた。甲高い声で。




「姉貴ー、姉貴ー。どこだー?」


 現在、家の中で唯一の女性である、姉貴を探す。


「んー?」

「あ、姉貴」


 姉貴の部屋から、姉貴の顔が覗く。


「んー」


 姉貴が『こっちこい』ってジェスチャーをする。

 俺はそれに素直に従って、姉貴の部屋に入る。


「ん〜」


 部屋に入ると、姉貴が俺の身体全身を見る。


「ん!」


 そして、サムズアップして来た。

 何がしたいんだよ……。


「姉貴。助けてくれ」

「ん!用件は?」

「なんで俺、女になってんだ?俺は一体誰になったんだ?何に気をつければいい?そして、なんで姉貴はそんなに嬉しそうなんだ?」


 矢継ぎ早に姉貴に質問をする。けど、姉貴はどこふく風かのように、俺の周りを回るばかり。


「んーとね。まず、私が女にした!!」

「はぁ!?」

「正確には、私が願った!!」


 何言ってるかもう分からん……。


「次に、その姿は完璧に音虎だよ」


 だよなぁ………。


「気をつけることは口調と女の子であると言う自覚を持つこと!!最後は可愛いから!!」

「死に晒せやボケェ!!!」

「ツンデレサイコー!!!!」

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