虎っこになって配信生活

紙鳶音虎

プロローグ



 世界には、娯楽が溢れている。


『こんばんは〜狗姫の時間だよ〜。今日は雑談の後に、ゲームプレイをしていくよ〜』


 漫画やアニメ、ゲーム、パチンコ&スロット、イラスト、小説などなど、多岐にわたる。


『それでは〜マシュマロを〜読んで〜、食べていきたいと思います〜』


 そして、その娯楽の発信は、日本がトップに躍り出ている。


『ほぅほぅ。【姉貴はまだか?】ですか。てか、この姉貴って誰のことですかね〜?』


 その娯楽は、動画投稿サイトYoutubeによって、急加速した。


『あ、音虎のことですね〜。音虎は〜、今日は乱入してきそうにないですね〜。乱入してきたら、一緒にするんですが……』


 アニメは英訳付きなどによって、海外の人が気軽に見れるようになり、そして、実況者という新しい職業も現れた。


『はい。それじゃ〜、マシュマロを食べるのは終わり〜』


 そして、技術レベルが上がるにつれ、その動画投稿サイトYoutubeの動画は多種多様になった。

 ゲーム実況に、レビュー投稿。SSに漫画。多種多様だ。


『狗姫のゲームプレイ、視聴者さんのみんなは見てくれるよね〜?』


 新しい実況者として、世に新しく現れたのは、ヴァーチャル実況者だ。


『はい!ヘッショ!!』


 世間で言う、Vtuberが現れたのだ。

 しかし、今はまだそこまで認知されていない。


『ワ〜オ……』


 なお、Vtuberには、バビ肉という概念が存在している。

 正確にはヴァーチャルで美少女の身体を受肉する、だ。


『はい!はい!!はいはいはい!!!』


 さて、そろそろ行こうか……。


『そこだぁぁぁぁぁぁ!!!』

「姉貴うっっっっっるさい!!!」


 2018年の4月。俺、三木屋秋羅(みきやあきら)の日常において、Vtuberは身近な存在だ。


「あ……ね、音虎……」

「姉貴。今、何時だと思う?」

「え、えーっと……45時?」

「夜の9時だよ!!はぁ……姉貴、もう少しボリュームを下げてな」

「はーい。……あ、死んでる」

「なら、その死んだ分はこっちが挽回してあげるから。ほら、貸して」


 コントローラーを手に取り、FPSをプレイする。

 敵は……1人は頭だけ出してるな。


「ワンキル」

「は、速い」


 次の敵は……あ、突撃してきてる。


「ツーキル」

「またヘッショ!?」


 3人目は壁の向こう側。ってか、ここの壁、そして、この銃なら壁越しにキルできるんだよな。


「スリーキル」

「壁抜け……」


 ま、運が良かったってことで。

 普段だと、普通に負けるからな……。


「はい、姉貴。これで挽回しただろ」

「え、あ、うん」


 そういえば、配信の途中だったよな。

 コメント欄は……


[すげぇぇぇぇ]


 運だぞ?

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