狂気の文体練習
凪常サツキ
文章の素因数分解
「ありがとうございました」
光分散を幾度となく繰り返すおおよその窒素層は、貪欲な広がりを芸術点に加算していた。掌にもたれたヒマワリへ、とめどなくせわしない光線が極采を装う。
一人前に影よ集え。波形よ聾せ。胸にエナジーを唱える私は憩いの直線上のゴールを意味付ける点Pなのだから。感覚のフィルターが、有象無象を検閲する。さながら真横の自浄マトン。
「せん、落としましたよ」
「あ、私のです。ありがとうございます、すいません」
ばらけた手足で拾う。ハンカチからバックミュージックまで、エゴの処理が入る。ここでは表情にATPは担当させない手前のせいで、この顔がどんな色かは知らない。ただただ三年前の記憶に心が踊らされた。
無理問答には、二足歩行の哺乳類とかけ、四足歩行に二足歩行、最古一三〇〇万年の名残が未だ手を振らす。
業務モノクロ組織員の話したひと時の私語は、社会性動物も夢見た我らが発明品に感謝を贈る。二枚舌はまだいいが、無口からは生ける屍にもならぬ。
万の脚ゆく黒き道に、語りの目的花咲いた。音声言語の産む虚言の、卵に寄り添うロマンスたち。
消えかかる男が足を止めれば、往くべき分岐が分岐しつつある。濾された血は布に任せよ。補充はオアシスに。そして、彼の赤い男はガラパゴスの旅立ちでもしたのだろうか?
一層大きな流動体に、津波が空から降り出した。鉄に先んじる円陣の二声、正しく波浪注意報と見た。旅路の終着昨日か明日か、光の波長に啓示を感じるのと、浮かび消える帯の虜であるのは同条件下では同等である。
知らぬ間に踏み入れた3Dなる二次元による影は一千人前で、羞恥の雨が痛い。コースターに洗顔フォームを立てないで。ナンセンスな筆箱の中のコスメティック。自傷意識を鎮めたくば、表皮の放射熱こそ大吉だ。
果てには、固定された核エネルギーが、意外にも仮定に声掛け自責を促す。アポカリプスは創造なれど、魂を透過するほど猛々しい。よりて、その核からまた創造される万物は子。放射には繊維のシェルターが厚すぎた。
過去につながる時空間があったなら、そこに黒ユリの花束を投げこもう。だって、三年間もの乱数予測は意味ありげだが、分岐を辿るために踵の軌跡に半円えがかせるなど、あまりに意味をなさない単調作業すぎる。小さき世界ストアに助けを求めようとするほどに、一次感情の抑圧するいかりはそれ相応以上に圧力を増して蓋を飛ばそうと――
点Pはついに役目を終えるかもしれないと思うと、自然、楕円体座標面に載せられたリキッド・セリサイト=エトセトラに目を皿にする。自己相似を嫌というほど繰り返すメデュラたちも、編み込まれた繊維たちも影を排除せよ。いざ行かん。
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