×××

メルトア

なんのことやら


鏡は嫌いだ。見たくないものまで写してしまうから。久しい場所での朝はどことなく不愉快で、どうにも落ち着かない。嗚呼、昨日サボった後処理を今更に悔やむ。気持ち悪いし面倒だ。


相手は未だ眠りこけている。当たり前だ、昨日は夢中だったから。おかげで腰が痛い。こっちの体調も考えろよと。恨み言は悲しいかな、相手の寝耳には水が届かない。


思えば、随分早い時間に目が覚めてしまった。土曜なのだから、もっと寝ていても良かったのにな。いやしかし。あのまま寝ていたら起きた頃には相手も起きるだろう。それは面倒だ。


こちゃこちゃと文句を垂れながら後処理を済ませて服を着て、荷物を持って部屋を出た。ルームキーを受付に返したら、ほんの少し変な顔をされたが。ま、バレてないだろう。朝陽を浴びに扉の外に滑り込んだ。


途端に暴力的な眩しさが目を襲う。ずっと閉鎖的な空間にいたんだからそりゃそうだ。大きくため息を吐いて、帰路に着く。


災難な一日だった。まさかアイツに見つかるなんて。だが、脅されたりとかいうのじゃなくて助かった。僕はそういうのが得意じゃない。


帰れば兄が迎えてくれるだろう。朝帰りなんてませてんなぁ、と笑いながら。まぁ間違ってないので反論はしない。日常だ。



え?警察が通り過ぎた?


気の所為ですよ。

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