一風変わった異世界召喚シリーズ

@keios

第1話 正しい異世界勇者召喚のすすめ

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「正しい婚約破棄 ざまぁもちょっとあるよ」

の後日談でもあるんですが、見てなくても

全く問題ないです。


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彼は、ついうっかりトラックに轢かれそうになった子猫を助けようと飛び出しそして子猫を助けることはできたがトラックに轢かれそうになっていた。そしてバカなことだと思ったが轢かれる瞬間。


「転生トラックだったらなぁ?」


そのとき光が見えたと思ったら、彼の目の前の風景が変わった。そこは薄暗い部屋で数人の男たちがいた。


「XXXXXX」

「XXXXXX」

「XXXXXX」


彼らが話している言葉がわからない。

そのうち彼らのうちの一人が先端に何か宝石のようなものをつけた杖を向けて叫んだ。

「XXXXXX」


その言葉を境に彼らの言葉がわかるようになった。


「勇者候補殿わかりますか?」


「え、ええわかります。もしかして異世界勇者召喚ですか!やった〜チートですね。」


「すいません勇者候補殿、まずはお名前をお教え願えますか?」


「俺ですか、剛田武です。それで俺は魔王を倒せばいいんですよね。チーレムの夢が叶うなんて最高だ!!」


「魔王を倒すのは確かにそうですが、それ以外はおっしゃられてることの意味がわかりません。今から説明させてもらってもよろしいですか?」


「どうぞどうぞ!チーレムができるんならなんだって。」


「まず、いきなりお呼びだてして申し訳ありません。今あなたがいるのはあなたと住んでいた世界とは違う世界です。そして今いるこの国の名前はシマノ王国と言います。」


「ええ異世界召喚ですよね?」


「まずそこまでご理解いただけているなら次に行きます。この王国は現在魔物の大侵攻を受けております。これは通常100年周期で起こる事態なので、それであればなんとかなったのですが、今回はその周期を外れなおかつ、神からのお告げにより、魔物たちを統括する魔王が生まれていることがわかっております。」


「うんうん魔王討伐だよね」


「そして魔王は、邪神により異世界より送り込まれた邪悪なる魂をその体に納めた非常に強大な敵であり、すでに邪神の助力により魔王の手により火の神が封神されるという緊急事態となっております。」


「え?その魔王ってこの世界の神様を倒してるの?」


「はい、上位世界の魂を持つ魔王は、この世界のものでは完全に倒すことができず、最終的に神ですらも負けてしまったのです。」


「なるほど、それで俺を召喚して、倒させようと。」


「召喚してと言うのはちょっと違いますが、概ねその通りです。」


「召喚じゃない?」


「ええ今は、召喚の前の仮召喚の段階です。」


彼の体は透けていた。

「え、俺の体は?」


「本召喚してしまうと、この召喚に伴う勇者様への褒章などの条件の協議ができず、なおかつ勇者様にも元の世界での生活があると思いますので、一度意識だけの仮召喚を行い。その後星辰が揃った日に、この世界の星々の力を使い本召喚を行うのです。」


「えっとそれって一度元の世界に戻ってそれから召喚されるってこと?」


「はいそうです。仮召喚なら意識をこちらにつないでいるだけなので、元の世界に戻れますが本召喚では2度と戻れません。大昔に行なった召喚では、そこをちゃんとしていなかったが故に、望郷の念に囚われた勇者様が逆に災害となってしまったことがありますので。」


「なるほど、それでこの世界に来る場合、どのような特典があるの?」


「特典?こちらでご提供可能なものであればできる限りご提供いたします。」


「例えばハーレムとか作れるの?」


「ハーレムですか?一応この国では最大5人まで妻を持つことが許されております。」


「美少女とかを集めてもらえる?」


「ええ、そういうことであれば、勇者が結婚相手を募集しているとの告知を出してお見合いパーティーを開かせていただきます。」


「お見合いパーティ?強制で集めるとかできないの?」


「我が国は法治国家ですので、国民にそういうこと強要はできません。ただ勇者の妻候補の募集とあらば国中から女性が集まると思いますので問題はないかと。」


「まあ勇者の妻候補だから強制するまでもなく集まるというのはわかった。次は金だ、いくらもらえる?」


「お金ですか?基本的に魔王を倒すために必要とされる費用は全て経費で落とされます。さらに公爵家に支払っている貴族年金と同額を毎年支払わさせていただく予定です。」


「それはどのぐらいになるんだ?」


「そうですね、わかりやすく例えるなら一般庶民の1000人程度が一年暮らせる程度のお金を毎年支給するということになります。細かい条件についてはこれから協議させていただけると…」


「なるほどちょっと少ない気もするが一番重要なこと聞きたいんだけど、俺にはどんな力が授かってるの?」


「力ですか?力ということであれば、この国一番の騎士を指南役としてつけさせていただきます。」


「え?この世界に来るだけで力をもらえるんじゃないの?」


「いえ、あくまで上位世界の魂を持つ者以外、魔王の魂を滅せないということでそれ以外は・・・」


「もしかして、この召喚では力はもらえない?」


「はい、この仮召喚でも、本召喚でも特に特別な力が宿ったという話はないですね、そのため鍛えていただくしかないです。」


「それって特別な力はもらえないってことだよね?もしかして本召喚前に向こうの世界で死んだら召喚できない?」


「はい、そうなりますのでもしご納得いただきご契約していただける場合、元の世界に戻った後、できれば召喚まで危険な行動は控えていただけると助かります。」


「今すぐ本召喚ってできないの?」


「流石に世界を超えて勇者様の魂を体ごと運ぶ必要があり、星辰が揃っていない今は無理です。」


「えっと、俺ちょうど車に轢かれて死にそうな状態だったんだけど、元の世界に戻ったらすごいパワーとかで助かるとかある?」


「車と言うのは何かわかりませんが、残念ながらこの世界から上位世界への干渉はできませんので…」


「え…俺死ぬの?せっかく召喚されたのに?」


「少し整理させてください。剛田武殿は、元の世界では死にかけた状態であったのですか?」


「まあ100人いれば99人が即死する状況ですね」


「えっと…申し訳ないのですが、それでは非常に申し訳ないのですが契約は結べません。本当に申し訳ないです。」


「いやだよ、俺死ぬのはいやだ!!」


「そうはいってもこれはどうしようもないのです。落ち着いて対策を考えましょう!」


「転生トラックにはねられたんだから、チートもらってチーレムが当たり前だろ、どうにかしろよ!!」


彼は男に掴みかかろうとして床にあった魔法陣を越え、そして超えた瞬間消えた。


男は後ろに控えた男に言った。

「アトラス王、すいません私が召喚対象を間違えたばかりに、国の宝である魔晶石を無駄に…」


「爺、済んだことはしょうがない。魔王については俺にも責任がある。だから気にするな。まだ仮召喚なら可能な星辰が揃っているのだから、次の候補を呼び契約を結べばいい。」


「ありがとうございます。王よ、次の仮召喚に入らせていただきます。」


「いい候補を頼むぞ!!」


「大いなる神の名において、世界の壁を超え今こそ勇者を呼び出さん 『プレサモン』」


床に書かれた魔法陣が光り、そしてそこには透き通った女性の姿があった。

「あれ?アトラス様、いま勇者召喚の儀式の最中だったのでは?ってなんで私は、召喚陣の間に?」


それはアトラス王の妃メリダであった。


「「え?」」


「爺、これは一体どうしたことか?星辰がずれたのか?なにかトラブルか?」




「アトラス王、このような事態は初めてで、なんとも。この召喚陣は上位世界の魂を持つ者のみ召喚する者で、星辰がずれたなら世界を超えた召喚もできないはずなのです。」


「爺、そうはいってもメリダがここにいるではないか!!」


ちょっと困った顔でメリダが言った。

「えっとアトラス様、いままで隠していたんですが、実は私前世の記憶があって…」


そしてここに勇者王妃メリダが爆誕した。

行けメリダ、悪の異世界魔王ビアンカを魂ごと木っ端微塵に倒すのだ!!

君の双肩に、この国の財務省の役人の胃の健康がかかっている。


さあ頑張って倒して、本召喚にかかるコストと、異世界勇者に払うための

予算を減らして国の財政危機も救うのだ!!




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まあ普通に考えたら勇者を敵に回すと厄介なので、

いきなり一方通行の召喚やらないし、条件闘争をやって

契約を結んだ上で召喚しますよね。


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