エピローグ
『ちょっとーー!! 何してるの!?
人族の信仰厚い
「ちゃんと、魔王の尖兵の侵攻は止めただろう。何が不満なんだ」
以前の夢の空間のような場所で、サテラの詰問を受けている。
『ソレは大丈夫なんだけど! その後の運命が滅茶苦茶なの! この戦いの目立った被害は
「
シルバの生前に確認は取れなかったが、あのままアレクが亡くなった事実に罪悪感を感じつつ、サテラに注意する。
『このままだと度重なる当主の討伐中の死亡で、武門の名家ヴォルフ家の名声は地に落ち、爵位は下げられ、アレクの娘のイザベラは、世間から注目されずに何処かの貴族か豪商の側室か妾になるしか無いのだ! 哀れなイザベラ! よよよ……』
俺の注意を意に介さず、芝居がかった身振りでサテラが語る。
「側室、妾が不幸せと断じるのは早計じゃないか? 不自由ない暮らしが出来て、何が問題なんだ?」
『イザベラはね。魔王を倒す
アレクの奥方のグレタ様は、イザベラ嬢に戦場に出て欲しくなかったのだから、願ったり叶ったりだと思った。
『そんなこと思っていいの? 次の当主に母親ごと虐げられて、酷い扱いを受けて、借金の形に変態性癖の男にでも売られそうだけど?』
「それを早く言え!! 何とかしなくては駄目だろう!--!?」
そこまで言って、ようやく気づいた。
『アレクが
俺に、また転生する機会が巡ってきたのだと。
『君には、イザベラを助けて名声を取り戻し、魔王を倒す手助けをしてもらうことにしたよ。拒否権は無いんだよ』
『サテラ姉様。いささか、横暴が過ぎるのではないですか?』
『そーそー。横暴だー』
突如、現れた銀色の長髪で品の良い暖かそうな服装の女性と、緑色の短髪で中性的な格好の少年か少女か判断しかねる子供が、口を挟んでくる。
『げっ!? アスラにサンタナ!!? 何の用だい? 今、忙しいんだけど』
氷の女神アスラと風の神のサンタナの二人は、町の教会などで像を見たことが有ったので、風体は知っていた。
『前途多難な私の信者に、私の加護を与えようと思いまして』
『前途多難な
アスラ様は村でも信仰していたので分かるが、サンタナ様に接点は無かったように思っていると
『私と同じ名前の妻を持ったでしょう? その最期を不憫に思いまして、サンタナに頼んだのです』
『彼女は風属性だからね。保護は、風の神の僕が引き受けたって訳』
二人の神の周りを、一つの光る球体が回り始める。
我が妻、アスラの魂だと、一目で分かった。
『パールが亡くなった時に共に転生させ、辺境で幸せに暮らさせようと思っていたのですが』
『サテラ姉様の杜撰な計画のせいでタイミングは変わるし、この先、いつになったら落ち着くのかも分からないんだよね』
二人から責められ、ぐぬぬ と歯ぎしりするサテラ。
『アスラ本人も、もう待てないって、言ってるからね。この際、一緒に転生させようって訳』
『使命が早く終わるように、私から貴方には加護を与えようと』
「アスラ様もサンタナ様も、大変ありがたいのですが、氷の加護は頂いていると思いますが」
『
神は各属性毎に男女で存在し、基本的に魔に多く加護を与える神を邪神、それ以外に多く加護を与える神を男神・女神と呼称する。
あくまでも
サンタナ様に至っては風の自由を体現しているのか、一人で男であり女であり、子供であり老人である上に、魔物だろうが人族だろうと加護を授ける神だ。
『良かったじゃないか。僕だけじゃなく、アスラとサンタナからも支援を受けられて。これで魔王なんて、ちょちょいだろうさ。けっ!』
少し放置されて、サテラが不貞腐れていた。
今度こそ失敗するわけには、いかない。
今度こそ、俺は
そのためにも
別に、
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