土と生命

 かつてアダムとイヴは善悪の知識の実(禁断の果実)を神の言いつけに背いて食べたことから、神の逆鱗に触れ楽園を追放されたとされているが、実際のところ彼らは神に追放されたわけではない。

 ただ、、本当の楽園を探すために逃げ出したのだ。

 神の庇護ひごの外に出た二人には苦労と死がもたらされたが、同時に苦労(労働、努力)を超えたときに得られる満足感と充足感に意味を見出し、それを幸福と呼んだ。

 そうして幸福ではない瞬間を不幸と呼ぶようになり、結果的に人は神に背き不幸になったように見えているだけだ。

 そして現代、それを悲観的に捉え、楽園を探すために旅立った二人にいわれのない「原罪」と言う濡れ衣を被せた。


 重要なのは不幸であることをそのまま不幸と捉えるか、それとも、そもそも不幸は幸福ではないときにあてがうために創られたと捉えるかである。

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