第3話:愛と相談

「なあ、どうすべきだと思う?」


 下になっているオスカルの豪奢な金髪が、ベット一杯に広がっている。

 オスカルの胸に唇を這わしていたフェルディナンドは、愛に集中したかったが、互いに忙しい身で、この件を二人きりで話し合える機会は限られていた。

 だから口での繋がりは諦めて、早々に深くつながることにした。

 フェルディナンドはオスカルの腰を両手を使って上に向け、一気のその想いを押し入れて行った。


「おい、おい、おい、ちょっと性急だぞ」


 オスカルはわずかな痛みを感じて文句を口にしたが、別に嫌なわけではなかった。

 そもそも最初に大切な愛の時間に、余計な事を口にしたのはオスカルだ。

 王女との結婚話以上に、愛し合うための時間と場所は限られている。

 オスカルも久しぶりに作った時間を、満足せずに終わらせる気などなかった。

 最初から互いに痛みを伴うほど激しく愛し合う心算だった。

 それが少々早くなったからと言って、本気で気を悪くする仲でもない。


「う、う、う、断れないのかよ」


 深く深く愛を送り込み、あまりの快楽に果てそうになりながらも、もっとこの時間を長引かせたいフェルディナンドは、うめき声をあげながら耐えていた。

 耐えるための方法として、表の結婚問題を口にする事も利用していた。

 フェルディナンドの愛を深く受け入れたオスカルは、比較的余裕で返事をした。


「断るのは難しいが、条件を付ける事くらいはできそうだ。

 普通なら王女を正室にもらったら愛人を作るのは難しいが、今回はろくな化粧領も持参出来ないというのだから、目一杯焦らしてやればいい。

 焦らせば焦らすほど条件はよくなるさ。

 なんと言っても時間をかけるほど王女は歳を喰うのだからな」


 普段は比較的フェルディナンドよりも優しいオスカルが、今回は随分と意地悪な事を考え口にしていた。

 オスカルは人生設計を根底から覆した王家、いや、国王に苛立っていたのだ。

 オスカルの計画では、一族一門が正室について文句が言えないくらいの武芸を身に付け、名声も手に入れ、それでも口だしする者は、情け容赦なく潰す。

 領地経営でも実績を上げ、戦地に出て傭兵料や身代金を手に入れなくて、家を栄えさせられるようにする。


 その計画はほぼ達成されていた。

 後は言いなりのできる、身分の低い貴族家から正室を迎えるだけだった。

 少々時間がかかっていたのは、言いなりにできる大人しい性格の令嬢を探していたからなのだが、その時間が思わぬモノを押し付けられることになってしまった。

 そう思うとつい苦笑いをしてしまった。


「おい、何を笑っているのだ?」

 


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