拝啓。親愛なる探偵様へ

Nero

親愛なる探偵様へ

拝啓。親愛なる探偵様へ


お久しぶりです。西野冬です。元気にしていらっしゃいますか?

先日はお世話になりました。弟のことを殺した犯人が見つかり、とても感謝しております。弟も探偵様に感謝していると思います。 


意外な方が犯人でとても驚きました。探偵様はとても優秀でいらしているのですね。凄いです。僕の近況報告といたしましょうか。


まず、父さんは弟がいなくなったことをしっかりと受け止め、元気にやっています。母さんが少し心配なのですが・・・・・・。母さんはまだ、現実を受け止めきれていません。もちろん僕もです。弟がいないのにも関わらず、『陽斗~。お風呂の詮をした?』と、叫んでしまうことがあります。


妹はまだ小さいので、あまり弟の陽斗がいないことを気にしていません。ですが陽斗と有希はよく、おもちゃなどで遊んでいたので、遊んでくれる人がいないということには気がついているみたいです。


母さんはずっと部屋に引きこもってしまっています。だから僕が家事をやっているんですよ。陽斗がいないことは凄く悲しいですが、陽斗の分まで精一杯生きていきたいです。


と、僕の家の報告は終わりです。あとかわったことといえば・・・・・・。

あっそうそう。陽斗の友達に陽斗がいないことを、いっていないので、なぜいないのか疑問に思っているようです。小学三年生なので、今は病気で入院しているといっています。


ですが、もう少ししたらいわないといけないですよね。ずっと嘘をつくということは、陽斗の友達を苦しめるだけだと思いますから。


話をかえてもよろしいでしょうか。


最近、子供が誘拐されたりということが増えてきていますよね?

急に増えましたね。その子達どうなっているんでしょうか。探偵様。お忙しいとは思いますが、誘拐犯をはやく見つけて下さい。


陽斗のように全身を包丁で刺されたり、とかはないようにお願いします。


陽斗のことを殺した犯人はまだ、自首していないらしいですね。正直にいえばいいと思いますがね。僕の弟を殺した罪は重いですよ。


嘘。

そういえば僕も一つの嘘をついていますね。


母さんは知りません。



父さんも知りません。




妹も知りません。





警察さんも知りません。






陽斗も知りません。






近所の方も知りません。









そして・・・・・・。












探偵様。あなたも知りません。















なぜなら。





































僕が陽斗を『殺した』からです。

だから僕が本当の犯人なんですよ。


さようなら。探偵様。また、いつか。



      弟殺しの兄、西野冬より

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