第4話 妹の夢と特訓
気絶をした愛理が次に目を覚ますと、そこはベットに寝てカーテンがかけられている部屋であった。愛理はここはどこだと周囲を見渡すと、愛理の動きに気が付いたのか、黒い髪をポニーテールに結んでいる愛理より少し身長が高いやせ型の女性が現れた。
「やっと気が付いたかな? 君は地下一階で気絶していたんだよ?」
そのことを言われた愛理は、魔力と精神力が限界だったんだと察した。そして、女性はここは図書館の医務室だと教えてくれた。
「あなたは魔法の使い過ぎで、魔力の枯渇によって倒れていたのよ。 魔力は使いすぎると身体に付加がかかりすぎるから」
そう言い愛理の心拍音を聞いたり目に光を当てると、もう大丈夫ねと愛理に言う。
「ありがとうございました。 魔力の使い過ぎに気を付けます……」
その言葉と共に医務室を出ていくと、そこは図書館の一階の奥にある部屋であった。愛理はそのまま図書館の入り口まで歩いて出ていくと、突然魔法書を見なければいけないと思った。なぜだかは分からないが、魔法書の一ページ目を開いて見なければいけないと感覚的に感じていた。
愛理は魔法書を鞄から取り出して一ページ目を開くと、その隣の二ページ目にライトスピードという魔法名と解説が浮かんでいた。ライトスピードは初級の身体強化魔法で簡易的な身体強化魔法だと書かれ、筋力や脚力が上昇し多少の恩恵を得ると内容が書かれていた。
魔法書を読みながら歩いていると、知らないうちに駅に到着してしまっていたので、愛理はそのまま帰宅することに決めた。愛理は魔力を使いすぎて気絶までしていたので身体が怠く、案山子に殴られた腹部の痛みが今頃になって痛み始めていた。
「お腹が痛い……あの案山子容赦ないわね……」
鈍く痛む腹部を摩りながら、電車に乗って家路を急いだ。早くベットに入って横になろうと思ったために、最寄り駅に到着をしたら走って家を目指した。愛理は家に到着をすると、すぐさま自室に入ってベットに飛び乗った。疲れたわと呟きながら、魔法書を取り出してライトスピードの欄を読み始める。
「ライトスピードって初級と書いてあるけど、絶対難しい魔法よね……」
魔法書を腹部に置いて、ライトスピードを発動するシミュレーションをし始める。どのように発動をしたり、強化されたときのイメージをしていた。
「筋肉モリモリとかにならないわよね……腕や足が今の五倍とかになったら泣くわ……」
枕に顔をうずめながらそんなことを考えていると、自然と眠ってしまった。精神的な疲れや、魔力の枯渇による気絶の影響もあり、愛理は知らず知らずのうちに体力的に精神的に限界を迎えていた。
愛理が寝ている最中、部屋の扉がノックされても気づくことはなかった。愛理の側に近寄ってくる人影は、うつ伏せに寝ている愛理の背中に飛び乗った。
「ぐぇ! 一体何なの!?」
愛理は力を入れて身体を起こすと、そこには奏がいた。奏は、舌を出して愛理にごめんねと手を合わせながら謝る。謝ったと同時に奏は、お母さんがご飯作ったっていってたよと言う。奏は早く下に降りようと言うが、愛理は奏が背中に乗ってきた衝撃で背中が痛いと摩っている最中であった。
奏は背中ごめんねと言いながら、氷魔法で小さな氷を作り出して愛理の背中に当てた。奏のその魔法を見て、愛理は便利だよねその属性と話しかけていた。
「うん! 凄い便利! 私の芸能活動ともマッチするし、凄い助かってる!」
良い笑顔で言う奏を見て愛理は私も氷属性がよかったなと思うが、氷は私に似合わないとすぐにやめた。
「さて、下に降りますか」
そう言い、奏と共に下の階に降りる。晩御飯は愛理の好きなカレーであったようで愛理はやったと喜びながら一気に食べ進めていた。
「ちょっと! お行儀が悪いわよ!」
愛理のその食べ方に楓が起こるも、愛理は美味しいのが悪いんだもんと言ってさらに食べ進める。愛理がカレーを食べ終わると、奏と共にリビングでテレビを見始める。奏は、突然ドラマの撮影をしているんだと愛理に言った。
「ドラマ!? やったじゃない! 念願だったドラマ出演ね!」
「うん……そうだけど……」
愛理は奏に抱き着いて奏以上に喜ぶも、奏の顔は少し悲しそうであった。
「念願のドラマ出演なのに、どうして悲しそうなの?」
「決まったのは嬉しいけど、だけどね……」
そう言う愛理に、奏は主演じゃなくて端役なのよねと言う。 愛理はそれでも出れるのは嬉しいことじゃないと言うが、主演がよかったと奏は言った。
「これから人気が出れば、主演に近い立場になれる! 奏なら必ずなれるよ!」
「お姉ちゃん……ありがとう!」
その言葉を聞いた奏は、そうよねと言って端役だけど頑張って演じるわと言った。その言葉に続けて、ちなみにと愛理はどんなドラマなのと聞いてみた。すると奏は、神話の物語を映画以上にお金をかけてドラマ化するんだってと言った。
「そんなに大掛かりなんだ! 絶対見るわ!」
愛理のその言葉を聞いて嬉しいと返す奏。撮影はもう始まってるからと言いながら台本が置かれているリビングの奥に置かれている窓際側にある机から持ってきて、愛理に見せる。愛理が見せられた台本の表紙には天魔戦争と書かれている。空に亀裂が入り、そこから異形の怪物が出現した。その怪物に人々は平和を脅かされてしまっていた。
その異形の怪物と光の柱から現れた救世主との戦いを天魔戦争と呼んでいるだけであり、奏の出るドラマはその天魔戦争をモチーフにしてオリジナル要素を加えているらしい。ちなみに、奏は役名はなく友人Aという役名で出演をするらしい奏はそれでもオーラを出して演じてやると意気込んでいた。
「奏ならできるよ! なんたって私の妹だから!」
その言葉を聞いた奏は、お姉ちゃんありがとうと言って愛理に抱き着いた。
「奏は抱き着くの好きだよね。 可愛いからいいけど」
そう言い愛理は微笑していた。それから愛理は自室に行くねと言って部屋に歩いていく。自室に戻った愛理は、もうすぐ休みが終わると嘆きながらベットにダイブをした。学校に行けるとはいいけど、まだライトスピードをマスターしていないから練習する時間が無くなるのが悲しかったからである。
「さて、明日は図書館じゃなくて近所の公園でやろうかなー」
愛理は明日が来ることに胸を躍らせながら、風呂に入って寝ることにした。
翌朝目が覚めた愛理は朝食を食べると、近所の公園に行ってくるねと家族に言う。何をしに行くのと聞かれた愛理は、魔法の練習と返した。
「もう練習してるのね。 根を詰めすぎて倒れないようにね」
そう言われた愛理は、楓に昨日倒れたことは言わないでおこうと決めた。奏は撮影があるからもう行くねと愛理より先に家を出て行き、愛理が 待ってと奏を追いかけようとするも奏の姿は既に玄関口になかった。愛理は楓に行ってきますと言うと、奏に続いて家を出ていく。
愛理が行こうとしていた公園は、家から徒歩五分程度の距離にある桜並木公園という名前の公園である。春になると公園の側に植えてある桜が大量に咲き、近所の人達や遠方から見に来る人がいる程に人気な公園である。
「この公園昔よく来てたなー。 最近忙しくて来れてないけどまた家族みんなで来たいな」
そんなことを考えながら、広い公園内を歩いて行く。公園内の中心部にある湖側に到着をすると、周囲に草花が咲いているその中心部にある神秘的な湖が愛理は好きであったことを思い出した。
「ここで練習したら捗りそう!」
そう決めると、愛理は魔法書を取り出して改めてライトスピードの欄を読み始める。
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