第5話:第1章-2
私が
最初に
辺境領は帝国内でも
王国が帝国に勝てないのはしょうがないと思う。帝都の
私の住んでいた王国には田舎の一都市に空路を開いたり、道路を舗装する、という考え方はない。発展しているのは王都周辺だけだ。
多分、それはこれから先も変わらない。
王国を実質的に支配している大貴族達は、自分達以外の貴族や民衆が力を持つことを、
……ほんと、ろくでもない連中だと思う。
私は気分を無理矢理変え、独白する。
「とにかく、今は美味しい物を食べて、元気を出さないと!」
宿のある小道を
ジゼルから前に聞いた説明を思い出す。
『辺境都市は
確かにそれは分かる。辺境都市には、私も
周囲にいる
とにかく、まずはここで
その後、迷都や西都、帝都へ移動していくのが、多くの冒険者達の辿る道らしい。
それが
とにかく多くのお金を
お金以上に人脈を築きたいならば『西都』へ。
社会的地位を得たいならば──最激戦区『帝都』へ。
冒険者の格付けとしては、帝都にいる人達が最上位。
次いで、西都。
迷都は二都
勿論、帝国には北や南、東にも大都市があるけれど、鉱山都市だったり、商都だったり、軍都だったりして、
なので、私も
ただし、どの都市へ行くのにも、冒険者ギルドのお
私はまだ
──強くならないと、先へは進めない。
ここに流れ着いて約二年、それなりに名前も知られるようになってきた。
美味しい行きつけのお店も出来たし、少ないけど友人がいない訳でもない。
今日は買取り金も手に入ったし、ちょっと高めの定食屋へ行こうと思う。
大通りから路地へ入って
『定食屋カーラ』
内陸にある辺境都市で
輸送費用を考えれば、多少高くなるのも仕方ないというものだ。
夕食にはまだ少し早いせいか、私以外に客はいないようだ。
店先から中の様子を
「いらっしゃいませ! あ、レベッカさん」
「こんばんは。
「はい、
「この通り無事よ」
「良かったぁ」
少し赤みを帯びている三つ編みの
カウンターへ通されておまかせ定食を
「ロイドさん、何時もので」
「──ああ」
その時だった、店内に大声が
「お! レベッカじゃねぇかぁ」
……
「おい! 無視すんじゃねぇよ! 聞こえてんだろ!」
「……うるさいわね。お店の
「やっぱり聞こえてんじゃねぇか」
店先から、ニヤニヤといやらしい笑いを
両腰には
こんな男でも私と同じ第八階位の冒険者だ。……つい先日まで第九階位だったけど。
──同時期に辺境都市へ流れ着いた当初、ダイソンは私を
その
ダイソンはにやつきながら近寄ってくると、私の許可なしに
「ギルドで聞いたぜぇ? そろそろ第七階位かと思えば、まだ上がってないみたいだなぁ、レベッカ。ええ?」
「……あんたには全く関係ないでしょう?」
「はん! 俺は知ってんだぜ?」
「……何をよ?」
「お前は、この半年、
「…………」
どうしてこいつが知ってるんだろうか?
ギルドが
いや、それは考え
ダイソンが気持ち悪い
「
手を
けれど、鎧の赤石が
少しだけ
私は声の震えを
「…………鏡で自分の顔を見て言えば?」
「あぁ? つけあがるんじゃねぇぞ。俺様の階位が上になった時、泣いてパーティ入りを
「
静か。それでいて、絶対的な問いかけ。
お店の主人であり、カーラのお父さんでもあるロイドさんが、料理の手を止め、ダイソンを
手には
頭は
「ちっ……俺は客だぞ?
視線に
対してロイドさんは包丁を
「出て行きやがれっ! 次は当てるぞっ!!!」
ダイソンが少しだけ
「……ちっ。おい、レベッカ覚えておけよ。お前は必ず俺様のモノになる。そいつは決定
そう言い捨ててダイソンは店を出て行った。ほっと、する。
「大丈夫か?」
さっきとはうって変わって、ロイドさんが
私は
「……すいません、ありがとうございました。
「レベッカさん!」
カーラが飛びついてきた。大きく震えている。……私の身体も同じだ。
「ごめんなさい。止めようとしたんですけど、あの人、
「うん、大丈夫よ。ありがとう」
「
ロイドさんの目が
この人からは辺境都市に来て以来、助言を受けたりしているのだ。私も背筋を伸ばす。
「お前さんは
私は両手を
「……はい。そうなのかも、しれません……。ごめん、カーラ。今日はもう帰るわね……」
「レベッカさん……」
ロイドさんに図星を指され、私は
居たたまれず席を立ち、店を出た。
──その夜はまるで
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