第34夜・景色

「…ここが………白の国…?」

神楽がそう呟き、オールを見る。相当な衝撃を受けているらしい。

「ねぇ、オール。わたくし、前にこの国へ訪れた事がありますのよ。でも…これは本当に白の国なのかと疑ってしまう程、変わり果てているわ…。」

三人が辿り着いた白の国は、三つに分かれていた。見るからに裕福な生活を送る人々が住まう地域と、商人が住まう地域。そしてもう一つが、恐らく総合した際の面積が一番大きい、貧民街スラム

「…どういうことだ、?」

「街にこんな格差、なかった。前も多少は貧民街スラムは存在していたけれど、今は…」

_________殆ど全てが貧民街スラム

神楽は力が抜けたようにそう言った。

そしてオールは、自身の後ろに立ち尽くす少年、リヒトに声を掛けた。

「リヒト?具合でも悪いのか?」

「……っあ、いや。悪くない。大丈夫。」

そうして何かを察したのか、オールはリヒトの頭を撫でた。

「ちょッッ!やめろって!」

「まぁまぁ、落ち着けよ。大丈夫だぞ〜〜。」

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