第15夜・決断

「オレは知らねーけど、オールの頼みだから仕方なく。

貸しっぱなしは嫌だからな。」

「“奪おうとした”だけだろ?

俺はお前に“奪われた”んじゃねーしさ。」

二人はそう言い、神楽に微笑みかける。

「んで?結構大変なコトになってた…んだよな?よくわからねー状態で連れ出したけど…。」

「や、やっぱりわかってなかったのね………。あなたが理解してくださると考えたわたくしが馬鹿だったのね。

…まぁ、別にわからなくても問題はないわよ。わたくしが、…ぱっと決断すれば済む話だもの…。」

少し前の出来事や昔の事を思い出して静かに震えだす神楽に気付き、リヒトは神楽の手を握る。

自分よりも小さな手に握られ、自分は何をしているんだ、と神楽は心を強く持とうと努力する。

「……決断は難しい…。

その先がどうなっているのか、わからないから…。

選択肢が全て見えているのか、わからないから…。


でも…、

選択肢は

その結果は


選ぶまで、誰にもわからない。

選ばなければ、わからない。

選ばなければ、進めない。」

「選ばなければ…進めない…………」

神楽はオールの言葉を復唱し、胸に両手を当てる。

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