第6話
あれから四ヶ月。
今日も朝がやってきた。いつもよりも10分くらい早く起きた僕は家の階段を駆け降りた。そして今日も朝ごはんを食べる。「大三島大学附属高等学校の偏差値は現在全国トップクラスとなっております__。」デジャヴのようなニュースが流れる。僕はこの高校に行く、はずだった。今日は大三島東高校の入学式だ。勉強しに行くが50%、そして、犯人の娘に会いに行くが50%。僕は犯人の妹に恨みはない。犯人に恨みがあるんだ。犯人と会うには娘に会うしかない。
入学式には珍しく父さんも来る。おそらく警視庁の仕事として犯人の妹の視察に行くのだろう。父さんの車に揺られ、大三島東高校に到着した。正門を抜けるとそこには新入生たちが盛り上がっている姿があった。僕も父さんと別れ、その輪に入っていった。するとそこにいないはずの人物がいた。南中学校で同級生だった加藤だった。加藤は僕と同じ大三島大学附属高校への進学を希望していた。彼は何故今ここにいるんだ?南中学校を卒業するとき彼は僕に「高校が別れても、ずっと友達だよ。」と別れの挨拶を告げていた。
僕は満を辞して加藤に声をかけた。「加藤...?」すると加藤は僕に「あ、越智くーん!!」と言いながら近寄ってきた。そして僕に1枚の紙切れを渡した。その紙切れには「僕は父さんが警視庁で越智くんのお父さんと同僚なんだ。君のお母さんが亡くなったことを越智くんは調べているらしいね。父さんに手伝うように言われたから僕が越智くんをサポートするよ。」と書いてあった。どうやらこの感じだと、このプロジェクトは誰にも言ってはいけない「極秘プロジェクト」のようだ。しかし僕は加藤に対してとてつもない申し訳なさがあった。大三島大学附属高校に行くという僕と同じ夢を持っていた彼を僕の家庭の事に介入させるのは彼にとって到底許し難い事だろう。彼には事件の話はしていた。最初にその事を話した時から彼はこの事件に絶大な興味を持っていた。おそらく彼はその事件の犯人を見つけたい という一心でこのプロジェクトに参加してくれたのだろう。こんな友達後にも先にも加藤しかいないだろう。加藤は僕の目を見て微笑んだ。
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