ネタ帳
星埜銀杏
その一、卒業と告白
<ボケ>
いやぁぁ、卒業式シーズンですね。
<ツッコミ>
そうですね。
そういえば俺も漫才のコンビを卒業したら言いたい事があるんだ。
<ボケ>
なんでしょう?
<ツッコミ>
まあ、気にするな。
まだ俺らは卒業しないからさ。
<ボケ>
まあ、いいや。
でね。卒業式と言えば告白ですよね。
<ツッコミ>
いや、別に告白とも限らんけどな。
まあ、聞いてやるわ。
続きをほれ。
<ボケ>
俺もね。
卒業式が終わった後に告白されたわけですよ。
付き合って下さいってね。
いい思い出ですわ。
<ツッコミ>
ほう。
告白されたと。
でも男のお前に男からってオチじゃないだろうな?
<ボケ>
男から男って。
そんな事あったら絶対に死にますわ。
正真正銘の女の子からです。
ただし80歳オーバーの。
しかも誕生日がうるう年で4年に一回しか歳を取らない80歳オーバー。
<ツッコミ>
そうきたか。もはや女の子じゃねぇだろ。
妖怪だろう。
80×4で320だしな。
<ボケ>
妖怪じゃないですよ。
腰が曲がってシワが少しだけ多いフガフガ言ってるだけの女の子ですよ。
<ツッコミ>
それを妖怪っていうんだよ。
てか、少なくとも子は違うと思うぞ。
<ボケ>
でも本人は子のつもりですよ。
永遠のとか言って……。
<ツッコミ>
まあ、本人が自分は女の子って言ってるなら、それでいいけどさ。
世間は子を許さんぞ。
というか、そんな歳だったら、すでに生徒じゃないだろう?
<ボケ>
いえいえ、留年でダブルスコアなもので。
<ツッコミ>
いやいや、80歳オーバーで、しかも誕生日うるう年って……。
ダブルスコアでも足りんだろうが。
むしろトリプルでも足りん。
<ボケ>
いえね。
俺が通ってた学校、夜は墓場で運動会、楽しいななもんで。
<ツッコミ>
ゲゲゲのゲか。
あれ、学校も試験もないだから。
てか、彼女、正真正銘の妖怪だったんかいッ!!
まさか本物がくるとは思わなかった。
<ボケ>
だから妖怪じゃないですよ。
女の子。
<ツッコミ>
やけに女の子にこだわるな。
<ボケ>
当たり前でしょ。
卒業式後の告白で女子以外に告白されたら自殺しますって言ってあるからね。
<ツッコミ>
じゃ、死になさい。今すぐ。
その子、間違いなく本物の妖怪ですから。
<ボケ>
だから妖怪じゃないですって。女子。女の子。
<ツッコミ>
てかさ。こうも、女子、女子、言われると無性に腹たってくるわ。
だから妖怪なんだって。現実を見ろ。
<ボケ>
いくら腹を立てられようと女子は譲れません。
僕の青春が妖怪と共に在るはずがないじゃないですか。
女子、女子、女子。女子に違いない。
よし、女子。
<ツッコミ>
よし、女子じゃない。上手くないぞ。
もう言い聞かせてるじゃない。
諦めろ。
その子、妖怪。
てか、お前とは、もう金輪際、漫才をやっていけない。
今日、この場で、お前とのコンビを解消してさせてもらうわ。
俺らも卒業だ。
<ボケ>
ちょっと待て。
ちょっと待って。
まさかッ!
<ツッコミ>
そのまさかだ。
<ボケ>
嫌だ。それだけは嫌だ。
<ツッコミ>
ずっとお前が好きでした。
<ボケ>
やられたぁぁ。
女の子以外から告白されちまった。むしろおっさんから告白された。
女の子以外から告白されたら死ぬって言ってあるのに。
自殺に追い込まれたぁぁぁッ!!
<ツッコミ>
もう良いわ。ありがとうございました。
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