第2話 【カルテ】 科学進化バットン・ジャン ※タスク管理前稿
「うなれ俺の釘バット!」
全力でフルスイングしたこいつが!
鉄メットの最強甲子園球児ことバットン・ジャンその人だ!
「うべしぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」
なんとなく文章書いてるお前らとは格が違う!
とりあえず相手を撲殺してから読ませるタイプの私設武装小説家軍団!
バットン戦車楽団だ!
今日も一日10万字執筆にむけて釘バットがうなる!
こうやって編集者をしばけば自然とページ数が稼げて!
キャッチャーミットみたいにできる分厚いタウンページみたいな辞書っぽい物理書籍を出せるんだぜ!
「ふー! 今日も聞こえるぜ! 俺の! ファンファーレがな! 」
パボパボパボブブブービブブブーブーバブブービーブービーショー!!!!!!!
「バットン将軍どの! 今日もアル―チャのファンファーレは最高潮でございますですよほほ! 」
「これで進捗を聞いてくる阿呆の編集者も押し黙って我々に誌面を割譲し、自然自然と我々の戦線が持続されるという、いよっ! このバルーチャどこまでもバットン将軍についていきまっしょい!」
アル―チャ女史とバルーチャ女子はバットン・ジャンの太鼓持ちだ、何せこの世界を生き残るのには物理書籍のページ数で相手を殴るのが一番だ、分厚い文章を書ければどんどん強くなれるってこの絶対正義はいつの時代も揺るがないジャンよ!
「さーてと、俺たちは戦車でさっそうと去るぜ! 今度は出版社めぐりとしゃれこもうぜい!」
「ヒーハー! このブルッサム馬頭操縦士! どこまでも戦車の履帯で乗り越えて見せましょうとも! 目指せ! 稀代の大文豪!」
>>>>>>>>>>>我らの将軍!バットン・ジャン!<<<<<<<<<<
「だーっはっはっはっはっはっは!!!!!!」
「よーほっほほおっほほっほっほっほっほ!!」
「まーっしょいっしょいしょいしょいしょい!!」
「ひーはっはっはっはっはっはっはっはっははーーーーーーーーーーーー!!!!」
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリィ!
戦車は進む! 出版社が掘った塹壕掘りを越えて! 防衛部隊の批評の嵐を駆け抜けて! 全くノーダメージで装甲は揺るがず! どのような熾烈な批判と講評にも絶対揺るがぬ文壇正義がこの戦車にはある! 君にはわかるまい! 正義とは勇気! 勇気とは心意気! 心とはエンジン! エンジンとは排気量! 排気量とはガソリン! ガソリンとは燃料! 燃料とは燃やす物! つまり燃える心だあー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「うわー!!!!」 「爆進社の新人は化け物か!?」
「俺たちの分断工作もステマもネガティブキャンペーンも工作員も全員社会的に死んだ! もう人件費欠けられない―! 降参だ! こうだんしゃだ! いや戦車だあああああああああああああ!」
第一線を放棄し無様に撤退を繰り返す相手をしめしめと蹂躙する最強戦車の勇ましさを見よ、考えても見ろ、作家が戦車に乗れば大体の問題は解決する! 鋼のメンタル! 毎分400字の機銃掃射! そして出版社の紙装甲を貫く暴虐無尽の戦車砲! 誰が! 誰が勝てるというのか!?
バットン・ジャンに敵はいない!
たとえ出版社が潰れようとも! 作家がいる限り執筆業は続く!
ならば出版社をつぶす心で一気呵成に書くのが作家の本懐というもの!
その力が! 君にもある!
「「「「「「戦車に乗って小説家になろう!」」」」」」」
ギャルギャル(以下略
さて、そろそろ出版社大本営が見えてくるころかな?
あれ、なんだろう? まるで戦隊ヒーローの悪役が巨大化するための、
工事現場用ヤードみたいな広がった風景だ。
「ん? 妙だな」
突如、にわかに暗雲立ち込めたがごとく影が戦車隊を覆った!
「ガーピー! 第一楽隊、第二楽隊! スピーカーガナリ轟音車は無事か?!」
「ガーガーピー! バットン戦車隊バットン戦車隊、第一楽隊は無事、いつでもファンファーレオーケーですよほ!」
「ピーガーガー! バットン戦車隊バットン戦車隊、第二楽隊は無事、いや、なんでっしょいあれは! 空に巨大なシルエット!? 」
ギャピィィィンシュゴオオオォオォォギッギャッギュギギギギギャガギンバギンチルドゴー!!!!ギンギンギンギンギンギンギンギンギンギギギ! ドピカーン!
太陽光を浴びて輝く鋼鉄の巨体! 鋼の城は五千トン! あらゆる脅威を押しのけて! 大地震撼、立つ巨人!
「ろ、ロボットだと!? じ、時代遅れな!?」
『ハーッハッハッハ!!! 誰が時代遅れだ!? おばあちゃん家の漬物石め!』
えっとこの先の流れのプロット
「アクティバス・トロッコだ!」
「オナニズム・シロッポイだと!?」
「この私が?! ザーメンだというのか!?」
「え、あなた残念なの! よほほなのほ!!」
「き、貴様らぁぁぁぁ!!
そろいもそろって言質を取るとは!!!
それでも作家の端くれかああ!!!!」
「進捗、どうですか?」
「ぬわああああああああああ!!!」
圧倒的! このアクティバス・トロッコ
「ま、まさか小説家になろうというのか!?」
「おろかもの! カクヨムだ!
小説家になろうなど時代錯誤も
はなはだしい!!!!」
「え、小説家じゃないの?」
「いや小説家にはなりたい」
「じゃあ! 小説家になろうジャン!」
「ちがう!
私は!
このアクティバス・トロッコは!
カクヨムだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「バットン将軍バットン将軍!
弾切れでございますですかよほほ!?」
「バットン将軍バットン将軍!
燃料切れでございまっしょい!?」
「この戦い! 圧倒的不利!
いや!? 勝算はある!
皆! 作戦たーいむ!」
円陣を組む戦車隊
「え、なになに、どうしたの?
もう降参なの!?
ちょっと話聞いてよ!
進捗ぅ! 進捗どうですかっはっは!
進捗全然ですかっはっはっは!!
わっはっはっは困るなあ!!!!
これだから新人作家は!」
「スプラトゥキャノンだあああ!!!」
「き、汚いぞ!
こんなイカ臭い塗料で!
この私の黒き鋼の機体を
塗りつぶすなどと!
ええい! 視界がクリーンにならん!」
「な、なんだこの恥ずかしさは!?
このアクティバス・トロッコが!
プレッシャーを感じたたというのか!
くっ離脱するゥゥゥゥゥゥ!!!」
「戦車でどうやって宇宙まで
いくんだよよおおおおおおおおお!!」
絶望がバットン戦車楽隊を覆った、
あるものは諦め、あるものはくたばり
あるものはネットサーフィンを始めた、が?
「いけるんじゃよ!」
そ、その声は!?
「戦車でもいけるんじゃよ!」
サムズアップの白髭つるピカ白衣!
「「「「ブレイキンダブル博士!?」」」」
「待っておったよ!
君らのような若者を!
さあゆくがよい!
あのマスドライバーに!」
マスドライバー! それは!(以下略
※地球の重力では使いづらいらしい!
「いくぜ!
いってやるぜ!
浮かぶ宇宙の輪転機!
出版社コロニーに!
そしてやめさせてやる!
電子出版なんて!
レトロフューチャー!
古臭いぜ!」
※あくまで物理書籍にこだわる
お前らはなんなんだ
「ただいま帰りました
出版社王デスゾーン様」
「アクティバス・トロッコ
地球査察ごくろうデスゾーン
で、問題は解決したデスゾーン?」
「ふっ所詮たいしたことのない
新人作家でした
少しいたぶってやれば
黙って時流にのまれることでしょう」
「それはそれは良かったですゾーン
この科学技術の進化した
宇宙大出版時代に
物理書籍の重みに囚われた人類は
不要デスゾーン」
~長い歴史の説明の地の文の後
「最近は電子書籍主導ですゾーン
SNSでの評判から小説投稿サイトでの
人気まですべて小説データがタグで
関連付けされ管理され
すべてのユーザーの興味関心度に
合わせ作家が最小限の労力で
作品を発表する時代
もう売れないとか在庫を抱えて
苦しむ時代とはおさらばなの
デスゾーン」
「さすがデスゾーン様
このアクティバス・トロッコ
電書化の先鋒として見事
太陽系を支配して見せましょう!」
「アクティバス・トロッコ様!」
「ミナス!
出版社王デスゾーン様の前であるぞ」
「よいデスゾーン
それで何か事件デスゾーン?」
「戦車が! 宇宙をとんでいます!
こちらに接近している模様!」
「なんだと!? そんな馬鹿な!?」
「なんデスゾーン?
アクティバス・トロッコ
しくじったデスゾーン?」
(くっまだ私の機体が
クリーンになっていない間に!)
「アクティバス・トロッコさまは
査察でお疲れと見えます
ここはアクティバス様に
育てられた我々ミナス隊が
目標を排除いたしますゆえ!」
「ゆくデスゾーン!
作家が宇宙遊泳するなど
言語道断デスゾーン!」
「御意!」
「ミナス、カーラ、ゲッタ、
ニチリ、ドリラ、キンシュ、
モクア
ミナス隊! 出撃します!」
「おお、なんと麗しいミナス隊!
そうそうたる女性陣に敬礼!
いってらっしゃーい!」
「バットン将軍バットン将軍
伝令、でんれーいですよほほ
敵からの通信入りましたよほほ」
「なんだめんどくさいな!
俺はのんびり星を眺めながら
執筆をしていたいんだ」
タイプライターカタカタ
「我が主君、アクティバス・トロッコ様
によくも!」
「戦車が宇宙で戦えるものか!」
「なっなんだと!?」
「リアクションホイール合体!!
バットン宇宙戦車楽団爆誕!」
「くっこのスピードパワー!
戦車を単純にワイヤーでつなぎ
とめただけというのに
我々が押されている!?」
「ミナスお姉様! 砲撃に気をつけて!
奴ら、普通の火砲ではない模様!」
「カーラ! 奴らの連携を解除する
私が敵の主砲をひきつけてる間に
全員で合体を解除しろ!」
「駄目です! こちらの砲では
敵装甲を撃ち抜けません!」
(こちらは宇宙での機動戦闘が
基本となる宇宙仕様の機体
軽量化が求められる昨今
装甲はさほど厚くない
まさか戦車装甲との力の差が
こんな形で現れるとは!!)
「ミナスお姉様!
ゲッタ、敵に自爆特攻をかけますわ!」
「ならん! 私の指揮下で
ゲッタ、お前を死なせたとあっては
アクティバス・トロッコ様に
申し訳が立たん!」
(アクティバス・トロッコ様の
鋼のロボットなら奴らと
互角に戦えるはずだというに!)
「待たせたな!」
「アクティバス・トロッコ様!」
「はっはっは!
おろかな戦車よ!
宇宙の藻屑と消えるがいい!」
「バットン将軍バットン将軍
射程距離に来ましたよほほ!」
「ばかめお前らの砲撃が
高い機動性を持つ我が
ハガネロボットに
あたるわけがあるまい!
シュッシュッシュッシュ!
どうだこの動きは!」
「きゃーアクティバス・トロッコ様あ!」
「くらえ! スプラトゥキャノン!」
「だからそんなもの余裕でかわせると
いっているだろうが!
むっ!? 馬鹿なもともと私に
当てる気が無いだと!?
ま、まさか!?」
「ご明察!
はじめっから
ビッグヒットを
狙ってるジャンよぉぉぉぉぉぉぉ!」
『スペースコロニー外装に被弾!!
防衛部隊なにやってんのおぉぉ!』
「そ、そんなアクティバス様!
コロニーが攻撃されてる!?
私たちが盾に!」
「ま、待て!
よすんだミナス隊!
女子が泥をかぶるのは
読者の性癖的に良くない!」
「ではアクティバス様が盾にと!?
そんなことさせられません!」
「い、いや!
私が盾になると
奴らの誌面になってしまう!
かといって私がかわしてしまうと
コロニーが誌面にされてしまう!?
だと!?
そんな貴様らこれが目的かあああ!!」
「その通りだぜ!
狙った誌面は落とさない!
作家の心得ここに示したり!
さあ執筆と行こうか!」
「スプラトゥキャノン!」
「毎分400字連射機銃掃射!」
「タイプライター活字弾幕!」
カタカタカタカタカタカタカカタカタ
「天の川大賞開催
アマチュア作家来たれ
スペースコロニー外装に誌面あり
参加者全員に百億部物理出版を約束
だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?」
「よ、よせ!
宇宙の輪転機たる
出版社コロニーでも
その量の本の重荷には耐えきれん!」
「や、やめるデスゾーン!
コロニーに紙の束を運び込むのは!
ここは出版社コロニーであっても
物理書籍はやってませんデスゾーン!」
「物理書籍の重さで!
コロニーが落ちるですゾーン!
これ以上はもう無理ですゾーン!」
「こ、コロニーが落ちる!?」
「わーい、みんなで落書き落書き
小説書いて発表して
宇宙出版社コロニーを埋め尽くすの
大好きー」
「くっ!
コロニーは落とさせん!
このアクティバス・トロッコの
意地にかえても!」
鋼鉄の機体が巨大な
スペースコロニーを受け止めて
地球への落下を阻止しようとしてる
「アクティバス・トロッコ様!
私たちも戦列に加わります!」
ミナス隊がアクティバスに続いて
スペースコロニー落下を阻止しようと
コロニーを押し上げるように
推進剤を噴射する。
「みんなー離脱だー
離れてコロニーがどんな風に
なってるか見ようぜー!」
熱心に観察するスプラトゥカノン
の民は、基本的にイカ臭くなった
誌面を遠くから眺めて読むのが好き
天体観測で星々の関係を
ウケとかセメとかカップリングして
勝手な妄想を浮かべてきた具合である
「あのコロニーの先端で
逆噴射してる人たちは百合だったね」
「そうだったねえ」
「あ、あれアクティバス・トロッコだ!
あ、なんか戦車の塊魂がアクティバスの
ハガネロボットに真っ向勝負を
挑んで突っ込んでいくよー!」
「クソヤロークソヤロー!
だれがお前らのシナリオ通りに
なってやるものかよ!
コロニーがあれば地球に落とせば
良いなんて何処のどいつが
教育したんだって話だろうがぁ!」
「物語の結末を書くのは俺だ!」
さっそう登場!
バットン宇宙戦車楽隊!
「来やがったな両手で頑張って
コロニーが落下しないように
噴射してるところに来るということは
お前らはこのコロニーを
落とさないように頑張るはずだ!
そういうシナリオであり
筋書が普通だ!」
「そうです!
普通のまともな教育を受けている
一般的な作家ならば
落ちそうなものは落とさないのが
基本!
それどころか原稿が落ちそうに
なっているならなおさら落とさないのが
全ての作家にとってのルール!
このミナス隊は
決して出版業界を裏切りません!」
「お姉様!」
「お姉様!」
「お姉様!」
「お姉様!」
「お姉様!」
「お姉様!」
女の友情を見ると執筆欲が
湧きあがりますね!
知ってましたか?
人の友情をGLとかBLとか
勝手に解釈する不埒な輩が作家っていうんですって!
ガールズラブとかボーイズラブとか
好き勝手カップリングさせて遊ぶの大好きなのが作家だといいます
「頭に浮かんだ俺だけのストーリー!
描くぞ俺たちバットン宇宙戦車楽隊!」
「ラジャーよほほ!」
「ラジャーっしょい!」
「ラジャーひひひはー!」
「スプラトゥキャノン!」
「グワーッ!!
コロニーが落ちないように支えてる
ロボットにペンキぶちまける悪党め!」
「分間400字機銃掃射!」
「グワーッ!!
コロニーが落ちないように支えてる
ロボットに機銃掃射する大悪党め!」
「超音波振動楽曲グワーン!」
「グワーッ!!
コロニーが落ちないように支えてる
ロボットに小説を書く反逆者め!」
「あ、アクティバス・トロッコ様!」
「そ、その姿は!?」
「その小説は!?」
「ま、まさか!」
「そんなことって!?」
「こんなひどい!」
「きゃああああああああ!!!!!」
「ど、どうしたのだミナス隊!?
今コロニーを支えなければ
この先、出版業界の未来は無いのだぞ!
地球の物理出版の重さで
潰れてしまうような版元であると
後世まで語り継がれて!」
(なぜ、誰も手を貸さん!?)
「くそっ!
ドローンよ、俺のロボットの状態を
確認するんだ!!
くっここまでびっちりと
短時間で書き込むだと?!
なになに
百合の園で暮らしてるお嬢様方
お姉さま方が次々と種付けおじさんに
種付けプレスされて発見される
怪奇事件を暴く連続推理小説、だと!?
クソが!
こんな小説を書く馬鹿が
どこの界隈にいやがるっていうんだ!?」
集まる百合厨の視線を一心に浴びて
鋼鉄の巨体に刻まれた物語が
いますべての文民の前に晒される!
そう歴戦錬磨の期待の文豪が
その体で示す物語とはなんだ!
百合ップル種付けプレスおじさんだ!
バ美肉おじさん百合ップルとかじゃないぞ!
「ま、待て!
このアクティバス・トロッコが
こんな低能な小説を描くはずが
ないではないか!?
待つんだ!
私は百合を深く理解している
たぶん私たちは再び友達になれるはずだ」
「失望しました」
百合厨とミナス隊に
突き付けられる
合同巨大機銃
ユリベアリングストームランチャーである
「ああぁあぁぁあああ!!???
やめてくれえええ!
やめろおぉぉぉ!
俺は悪くない!
百合厨怖い百合厨怖い
百合厨いやああああああああああ!!」
ビシャアアアアアアンビシャ!
シュビラビッビームビビムビーム!
ユルユルユルユリユリユリ!
ドジャッジャーンアラシ!
黒き鋼のロボットは
消し炭となって吹き飛んだ!
「な、仲間割れするなデスゾーン!?
く、イカども!
コロニー外壁に書くだけ書いて
原稿一杯詰め込んで
コロニー中の印刷所がフル稼働なのは
いかがなものかデスゾーン!」
「えーっだって
描き放題刷り放題出版オーケー
誌面大解放だっていうから
期間限定イベントだからとかで
ついつい筆が乗っちゃって
イカ墨フル充填で描いちゃったZO!
と!」
スペース出版社コロニーは
物理書籍とインクの重みに耐えかねて
大量の原稿を抱えて!
今まさに周回軌道から完全に外れた!
「落ちるわ!」
「お姉様、退避しましょう!」
「地球突入軌道!」
「お姉様、我らの機体も一旦地球に!」
「私たちなら何度でもやり直せますわ!」
「もう邪魔者はいないのですから!」
「正義のために生きましょう!」
「うううぐぐぐうううう!!???
駄目デスゾーン!?
物理書籍の重さから解放された
無重力宇宙植字たちがこんな古典的な展開で
終わるのデスゾーン!?!?!?」
まわる宇宙の輪転機!
物語のすべてを印刷する
出版するという意気込みで
シェア獲得を狙った一つのコロニーが!
今昔日の終わりを迎えようとしている!
「デェェェェェスゥゥゥゥゥゾオォォォン」
まさにコロニー落下のデスゾーン!
大気圏の熱圧縮にやられて
大量の誌面が燃えていくが
コロニー外壁も黒焦げになるが
コロニーの質量はそのまま
地球に突っ込んだ!
ドカーン!
悪は滅んだ!
「やったぜ! また一つ出版社を
落としてやった!
これで俺たちの執筆の自由が!」
ガガガガガガガガガガガガガガ!
「バットン将軍!バットン将軍!
よほほ! 落ちちゃいます!
私たち地球に落ちちゃいますよほほー!」
「バットン将軍!バットン将軍!
オチっしょい!オチを考えて!
無かったっしょいですっしょい!」
「ヒヒヒハハハーヒーハー!
どうやって乗り切るんだヒーハー!?」
「おまえたち!
大気圏突入ミッションだ!
全員戦車外活動で熱圧縮干渉幕を展開!
みせてやろうぜ!
これが! おれの! 俺たちの!」
「「「「ハッピーエンドだ」」」」
全員で宇宙合体戦車を括り付けて
緊急無事に熱圧縮干渉幕を結わえ付け
戦車に宇宙服で戻れば
すぐさま大気圏突入軌道に入る!
「俺たちバットン宇宙戦車楽隊!」
陽気な奴らのお帰りだ!
地球ごしの日の出を宇宙から見て
さわやかなコロニーの爆風が
世界をオーロラで包み込む!
見るんだ!
地球に衝突したコロニーからあふれ出る
大量の誌面を!
俺たちは無事に大量の誌面を
獲得したんだ!
地球を覆っていく誌面の幕が
人類を滅ぼさんという驚異の
太陽風から地球を未来永劫
護ってくれる!
ここに新たなる層が開拓された!
購買層と読者層が拡充された!
コロニーから出てきた大量の文化資本は
まわる地球の輪転機となってリサイクル
かくて地球の自転軸とともに
出版される毎日の流れは偉大そのもの
小説日報が毎日のようにで並び
小説新聞が至る所で日刊で飛ぶように
売れに売れて我々は!
紙になったのだ!
この同人誌あふれる新たなるお花畑銀河
を生き残るのは!
「バットン戦車楽隊!」
戦車に咲いた巨大なパラシュートは
天高く舞い降りる天使の白い花!
その時歴史は大きく百合動いたのである
めでたし!
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