実話ホラー集。

94EL

第1話 マンション


これは13年ほど前に体験した話です。


その頃の私はまだ学生で、よくマンションのエントランスで友達と集まっていました。


エントランスは右側に椅子が3つ、

左側には2つという作りで私たちはよく右側にいたのですが


なぜかそのマンションではみんな左側の椅子には座らなかったのです。


とくに怖い話を聞いたこともなかったのですが一度も座ってる人を見たこともなく



ただなんでだろう、くらいにしか思っていなかったのですが



ある日の夜20時頃


その日は私の家にA子が泊まりに来るというので家で待ってたのですが、


19時に来る約束をしたA子が何故か連絡もなしに来ないのです。


何度電話しても繋がらず・・


心配になった私はマンションのエントランスでA子を待つことにしました。




待つこと15分ほど


入り口からA子ではなく別の女性が入ってきました。


(初めて見る人だな~)



そう思っているとその女性はエレベーターに乗ることなく左側の椅子に座り始めたのです



そしてただ何かするわけでもなくうつむいたまま。



ちょっと不気味で怖くなった私が家に戻ろうとすると入り口からA子が入って来ました。




私「A子!!遅いよ!」



私がそう言っても何故かA子は答えることなく私の手を引っ張りそのままエレベーターに乗ったのです。




私「え!?どうしたの?A子?」



私がそう聞くとA子は焦った様子で話してきました




A子「さっきの女の人、あの人やばいよ」



私「え?なんで?」



A子「私18時に家を出たんだよ。


ちゃんと19時に着くように。

でも来る途中、女の人がずっと私の後ろをついてきてるのに気づいて・・

どれだけ時間が経ってもここに着かなかったの。

歩いても歩いても同じ場所に戻ってきちゃって・・


異次元に来ちゃったかもって怖くて・・


女の人も時間が経つほど私に近づいてきて・・


やっと着いたと思ったらエントランスにその女が座ってたの


すごい笑顔で・・」



私はA子の表情からこの話はウソじゃないと思いました。



私「え・・何それ・・でも女の人私にも見えたよ


うつむいてたのに..笑顔ってわかったの?」



私がそう言うとA子の顔がどんどん曇っていくのがわかった。



A子「え..何言ってんの!?あの人あんたを見てすごい笑顔だったんだよ?」



その言葉を聞いた私は鳥肌と寒気が止まらず

私たちは逃げるように家に入りました



あの女性はなんだったのか


なんで友達についてきたのか


なぜ私のことを笑顔で見てたのか



理由は今となっては分かりません。



それから月日が経った頃に聞いた話ですが


そのマンションのエントランスで昔女性が誰かに殺害されるという事件があったそうです。


女性は即死ではなくエントランス左側に横たわった状態で発見され病院先で死亡が確認されたとのことでした。



この体験がその事件と関係しているかはわかりません。


ですが私にとって無関係とは思えない恐怖体験でした。





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