第12話 裾野、小さい、工場
富士樹海。
ここに我々取材班は噂の真相を求めて探索に出ている。
「えっ!? 富士山中に謎の軍事施設が!?」
そう、富士山を取り囲むように、秘密裏に軍事施設があると言われているのだ!
それを裏付けるかのように、百人いた取材班のうち八十二人が謎の失踪を遂げた。
さらに残ったクルーも過半数が死亡もしくは行方不明となり、今や三人が残るだけである。
なんたる秘密隠蔽能力の高さか!
「富士山中の悪の軍事施設……死んだ仲間たちのため、絶対に取材してみせる!!」
リーダーは言った。
しかし、彼もまた謎めいた罠にかかったのだ。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
おお、見よ!
銀に輝く蟻めいた未確認生命体……いや、構造体が、彼の体を覆い尽くしていく!
私はカメラを持って彼の最期を撮った。
「助けてえええええええええええええええええええええええええええええええええ」
悲しいかな、リーダーは死んだ。
「助けてえええええええええええええええええええええええええええええええええ」
これはこだまである。
決して眼前の銀色のうごめく何かの中より発せられる声ではない!
そう、リーダーが生きている証拠ではないのだ。
「助けてえええええええええええええええええええええええええええええええええ」
――!!
私が銀色のうごめく何かへと発泡すると、こだまは消えた。
何という恐るべき罠か!
私は逃げることにした。
これ以上仲間が減れば、取材の意味も無くなる。
後日、逃亡に成功した私は、こういった怪しげなるものを研究する専門家、実部木教授にコンタクトを取り、映像を見てもらった。
「……これが撮影記録です、教授。これを見てどう思われますか?」
「うん。ここにはナノマシンプラントがあるね」
「本当ですか!? しかし、どうして……」
「うん。私が責任者だからね」
「えっ!?」
「そういうわけで君には死んでもらう!」
言うと実部木教授は拳銃を突き出して、
――!!
私は死んだ。
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