自分が見た夢

夢野ばく

1日目 「窓の外①」

窓の外にあいつがいる。

すぐに気がついた。あいつはこっちに気づいているのかな。

家族は気づいてない。

見ちゃダメ絶対見ちゃダメ。

早くカーテンを閉めて、でも目を合わせてはいけないよ。

もしあいつが家の中に入ってきたら?

今の自分に追い返せる自信はないよ。

とにかく家中のカーテンを閉めよう。

テレビからはゆかいなタレントの声がしていた。こっちはそれどころではないというのに。





最後のカーテンを閉めようとした時。

油断していたのだろう。あいつが不意に現れて、目が合ってしまった。吸い込まれそうな真っ黒な目。ぱっと目を逸らした。間に合わなかった。あいつの勝ち誇ったような鳴き声が近づいてくる。きっと幸せそうに目を細めているのだろう。のどを鳴らしながら窓に顔を、体をスり寄せているのだろう。見ちゃダメ絶対見ちゃダメ。絶対…見ちゃ…。





END猫




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