終わりのない粧いと承認欲求

水上 瓜 (胡瓜)

粧う私のあなたの愛す対象と

粧う私は美の骨頂にいたり、

地下の水溜まりにもいた。


過去、大人を粧ったつもりの私は

希望に満ち満ち溢れていた

今、駅のトイレの鏡で私の希望は

ぼかしたアイシャドウの中に

飛んで入って消えてしまった


その色似合わないよって

たかが一本の線とか

そうじゃない。


あなたが化粧の筆を向ける相手は私じゃないでしょう。

私があなたに化粧をしないように。

あなたが私に化粧を頼まないように。

私が化粧の筆を向ける相手は私だ。


私が私を創るときに、探るときに、

目を見て向き合いたいと思えるように、

粧う練習を重ねている。





時に、他人ひとが粧う美しさと纏うオーラを

奪いたくなる時がある。


なぜ私にないのか、

なぜ私に作ってくれないのか。

羨ましい、妬ましい。

あぁ、私、私を愛してくれ。


この渦巻く気持ちをそのまま筆にのせて、

渦のグラデーションを瞼にのせる。

そのまま沈んで、

私のものになってもいいのよ と言いながら。


粧う気持ちが消える夜、

いつか私に会いたいと言ってくれた

あの人を思い出す。

あの人のために粧うのもいいかもしれない。

半分、夢を患いながら考える


あぁ、あの人、あなたこそ私を愛してくれ。

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終わりのない粧いと承認欲求 水上 瓜 (胡瓜) @minami-riu

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