171 そんなことよりゴブリンだ。


 工場見学は終了。

 謎の取引には応じたが準備がいるとかでホテルに戻された。


「無駄に外をうろつくな」


 なんてラインに釘を刺されたがそんなことを守る織羽ちゃんではないのだ。


「いざ行かん。未知の生態系調査へと」


 そんなわけでこそこそと部屋を出る。

 姿を見せていると一々反応されるので【隠密】で姿を隠して移動する。


「さて……最大の謎を調べに行きますか」


 いまのところそれは……トイレしかないだろう。


「まさか本当にオ〇ニーしにいってんのか?」


 女に反応して行列を為してでもトイレに行くってなるとそれしか理由が思いつかないんだが。


「TENG〇まであるしな」


 持て余しているが理性は鬼強い。

 そんな連中がトイレに並ぶのはその行動が恥ずべきことではないから。


「ゴーレムの本能そのものを制御するためにも、貯めさせずに吐き出させた方が効率がいいのは事実。はてさてどうなってるのかなぁ?」


 完全野次馬根性でホテルの共用トイレに突入する。

 だが……。


「むっ、なにもなし」


 男女の区別がないのがきになったが、全個室というだけで他に見るべきものはなにもなかった。

 だが、まだあきらめない。

 ここはあの行列を目撃したトイレじゃないからな。

 というわけで街に出る。

 天空都市はその名の通り空中にあるが、なかなか挑戦的なバランスを取っている。

 二十階越えの建築物が密集するように作られており、見た目は空飛ぶ柱といった感じだ。


「こいつの飛行能力がどうなってるのかもわかればいいんだけどな」


 白魔法が使えれば一発なんだが、封じられているからどうにもならない。

 なんとかこれを解除する方法も見つけないとな。


「さてでは、公衆便所にゴー」


 というわけで街中に設置された公衆便所を見つけて入る。

 やっぱりここも男女の別はない。

 あの持て余しゴブリンからしてトイレなんか一緒にしたら即座にパーリータイッに突入のはずだから、やはりここには男しかいないってことなんだろう。

 ここも全部個室だ。

 個室を一つ覗く。

 うん、やっぱり普通……いや……。

 この壁の……これはなんだ?

 便座を拭く消毒液が入ってるのかと思ったけど、なんか違うな。パイプみたいなのが床に繋がってる。

 箱を開けてみる。

 ぼろんとそれが出てきた。


「うわーお」


 TE〇GA再び。

 正確には違うんだけどそれ用のアレだって、見れば一発でわかる。


「うわっ、しかもセンサー付きの電動。おお、自動ローション補充機能まであるのか」


 こわごわと指を入れたら当たってもないのに振動を始めてしかもローションが補充された。

 なにこれ?

 男しかいないとはいえ、性処理にここまで予算を割くって凄くない?


「ただの処理ではないぞ」

「うわーお」


 背後からのラインの声にびっくりして振り返る。


「じっとはできんのか?」

「白魔法さえ解禁してくれたら部屋に居座ったまま全部解決できるが?」

「それをできない自分の実力のなさを恨め」

「恨んでいるから、こうして行動を」

「……はぁ」


 美男子は眉間にこれでもかとしわを寄せてため息を吐いた。


「まぁいい。そんなに見たいのなら見せてやる」

「なにを?」

「そのパイプの向かう先だ」

「……イカ臭くない?」

「鼻でもつまんでおけ」


 そんなわけで再び工場見学に行くことになった。


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