第3章 「私が魔王国内で大暴れする話」

100(2,974歳)「魔王国への潜入。からのぉ奴隷落ち!?」

 魔の森を抜けるのに数十回かかった。

 聖級時空・光混合魔法【光学迷彩】で視界を欺瞞しつつ『【瞬間移動】移動』で突破しようとしたんだけど、魔の森の魔王国領近くに魔力を検知するセンサー? みたいのがたくさん設置されてて、バレちゃうんだよね。


 とはいえそこは得意の試行回数でクリア。

 魔の森を抜けると国境警備隊っぽい兵士たちの詰め所――3階建てで、前世のコンクリートラーメン構造の建物を彷彿とさせる――とずーっと続くフェンス。

 フェンスはそんなに丈夫そうではないものの、電気っぽい何かでバチバチ言ってた。

 幸い、兵士たちの兵装は銃ではなかった。服装はいかにも野戦服って感じで、王国軍人みたいに革鎧とか鉄鎧を着込んでいる魔族はひとりもいなかった。


 ってことで、【ロード】前提でいっぺん『対よろ』してみよっか。



    ◇  ◆  ◇  ◆



「異常なし」


 フェンス沿いに歩きながらフェンスの状態や不審人物有無を確認していた兵士ふたりの背後で【光学迷彩】を解除し、


「あるんだなぁコレが」


「「!?」」


 慌てて振り向いた魔族2名は腰から剣の柄っぽいものを取り出し、


「何者だ――人族!?」


 私に角がないことに気づいた模様。とたん、目が真っ赤に輝きだす!

 やっぱこいつらも魔王の従魔となって『人間殺さなきゃ』病にかかってんのか!!


 1名が柄を振り上げると、そこから電気っぽい棒が伸びる! うぉ、フォ○スの力(意味重複)か!? ライ○セイバーか!?

 もう1名は私の背後を取ろうと、【飛翔】して動き始める。


 1名がライ○セイバーを振り下ろすも、手のひらを【魔法防護結界】で覆った私にライ○セイバーが掴まれる。質量を持った雷……? どういう原理? まぁライ○セイバーだと思えばいいか。

 そのまま相手の手からライ○セイバーを引っこ抜き、私の背後を取ろうとしていたもう1名にライ○セイバーをそっと当ててみる。


「ぎゃっ!?」


 気絶した。うーむ、スタンロッド的な?

 で、振り向くと、うぉっ、剣を取られた方の魔族が無詠唱で3本の鋭利なアースニードルをこちらへ撃ち込むところだった。それも【魔法防護結界】でラクラク弾くものの、同時に魔族が胸元の魔道具? か何かに触れ、


 ゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ……


 警報発令!


 とりま目の前の魔族は【アイテムボックス】へ収納し、詰め所の窓という窓からから【飛翔】で飛び出してきた最初の十数名が私を視認して驚愕し、からのぉ目を真っ赤に輝かせて有無を言わさぬアロー系魔法攻撃!!


「【フルエリアぁ・アイテムぅボックス】!」


 ま、詰め所ごと全員収納してやったよ。


 ……ふむ。

【アイテムボックス】内を【鑑定】するも、レベル70を超える個体なし。アデスさんの軍勢の方が、まだ全体的に高レベルなくらいだ。

 まぁここの目的は王国侵略ではなく魔物の森からあふれ出てきた魔物の駆除なんだろうから、戦力としては妥当?


 この程度なら、レベル600集団になりつつある軍人1万人と従士1,000人使えば、簡単に制圧&実効支配可能だな。その後支配し続けられるかどうかは未知数だけど。

 まぁ今回の目的は実力行使ではないので、『対よろ』前に【ロード】!



    ◇  ◆  ◇  ◆



【光学迷彩】状態で【飛翔】して詰め所を抜けようとして、センサーに捕まって【ロード】すること数回。

 東へ東へと飛びながら左手――北側を見ると、アルプスか! って感じの大山脈が遠目に見える。なるほどなぁ、あれが風竜ウィンド・ドラゴンたちの総本山ってわけね。魔の森の北に広がる山脈は、あれの麓に過ぎないわけだ。


 いやぁ大陸、スケールが違う!


 とか言ってるうちに、城壁に囲まれた城塞都市が見えてきた。

 城壁のサイズはロンダキルア領城塞都市と同じくらい? ってことならたぶん人口は数万人。

 あの都市が、魔王国側にとっての『ラスボス手前の町』ってわけだ。


 地上に降り、【アイテムボックス】から、適当な警備隊員から【アイテムボックス】内で切り取らせてもらった角を、【テレキネシス】で頭に固定する。

 警備隊員にゃ悪いけど、まぁどうせ【ロード】で角は復活するんだから許してほしい。


 これから行う『潜入劇』のために、肉体年齢を15歳に【エイジング】した。

【アイテムボックス】で猟師の娘っぽい服装に早着替えし、全身に少しだけ水を含ませた【土魔法】を浴びて、いかにも『北の大山脈に住んでる狩人の娘が出稼ぎに来ました』風を装う。周りの目がないことを確認して【光学迷彩】を解き、城門に向けてとぼとぼと歩き始める。


 では、いざ吶喊とっかん



    ◇  ◆  ◇  ◆



「え、お嬢さんこの街は初めて? 入城理由は?」


「山で採った物を売るためです」


 さすが魔の森方面ということで、私以外に入城しようとする人はほとんどいなかった。で、ほどなくして私の番が来て、親切そうなお兄さんに聞かれたので答える。


「お嬢さん、年齢は?」


「15です」


「じゃあ国民カードを見せてもらえるかな?」


 マイナ○バーカードか何かか!


「えっ、こくみんかーどって何ですか?」


「えっ」


「えっ」


「「…………」」


「…………とっ」


 お兄さんが真っ青な顔になって、わなわなと震え始める。


「と?」


「とっととと逃亡奴隷だ! ひっ捕らえろぉ!!」


 お兄さんが叫ぶや否や、細マッチョな衛兵が奥から出て来た!

 アデスさんの軍勢もそうだったし国境警備隊もそうだったんだけど、どうもこの国の軍人さんはあまり筋肉モリモリマッチョマンのへんた……げふんげふん、にはならないらしい。

 魔法メインで戦うからかな。まぁアデスさんだけは超例外だったけど。


 で、私はというと、


「あ~~~~~~れ~~~~~~」


 あっという間に拘束され、牢屋に放り込まれた。


 というわけで15歳アリスちゃん、奴隷落ちの巻。






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追記回数:26,042回  通算年数:2,974年  レベル:5,100


次回、アリス、奴隷として奴隷商へ。

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