1歳「【ふっかつのじゅもん】で赤ちゃん期MP養殖」
……おぎゃあっ、おぎゃあっ……
声がする。
体はうまく動かせない。
ノドが痛い……って、泣き叫んでいるのは私自身か。
視界はぼやけていてよく見えない。生まれてすぐは目が見えないっていうものね。
「……よくやった! お前によく似て……」
「……さぁ、抱っこしてあげて……」
周りから聞こえる声は……今世の両親か?
ではでは、空気を読まずにさっそく――【ステータス・オープン】!
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【名前】 (未定)
【年齢】 1歳
【職業】 無職 アフレガルド王国ロンダキルア辺境伯領・従士長の長女
【称号】 勇者 能天気 不屈
【契約】 全知全能神ゼニスの使徒
【LV】 1
【HP】 3/3
【MP】 4/5
【力】 11
【魔法力】 9
【体力】 8
【精神力】 6
【素早さ】 15
【勇者固有スキル】
無制限瞬間移動LV1 無制限アイテムボックスLV1
極大落雷LV1 おもいだすLV1
ふっかつのじゅもん・セーブLV1 ふっかつのじゅもん・ロードLV1
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おおぉ……目は見えないのにステータスウィンドウははっきり見えるのか。
MPが1減ってる。ステータスウィンドウ出すだけでも減るってことは、ステータスウィンドウ自体も魔法なんだね。
ふむふむ、1歳ってことは、女神様も言ってた通り数え年の世界ね。
ロン○ルキアって、最前線っていうよりもはや魔王国領!? ……なんてね、女神様から人族最前線の領地だって聞いてる。
それにしても、この領地の名前を決めた人は絶対勇者だな。きっとゲーム脳の勇者が私の今世の祖先に、『お前がこの地を治めろ。お前の苗字、今日からロンダキルアな』みたいなノリで命名したんだろうなぁ……。楽しそうでなにより。
で、従士長ってことは……パパンは辺境伯様の弟か、もしくは次男以降かな?
MPと魔法力が別だな……多分、魔法力は魔法の威力にかかわるステータスだろう。
昔のドラ○エの仕様にあった『じゅもんの威力は変わらない』ってのは好きじゃなかったから、これはうれしいうれしい。『今のはメ○ゾーマでは無い…メ○だ』って言ってみたいじゃない?
ステータスの意味はたぶん、
【力】…………物理攻撃力
【魔法力】……魔法の威力
【体力】………物理防御力
【精神力】……魔法防御力
【素早さ】……そのまんま素早さとか身のこなしとか
で、スキル欄には……あったあった、【ふっかつのじゅもん・セーブ】LV1と【ふっかつのじゅもん・ロード】LV1!
たった1枠しかないセーブ枠。最初に置くのは誕生直後と決めていた。よほど何もかもが上手くいく人生にならない限り、このセーブポイントを上書きすることはないだろう。
勇者特典の魔法は、詠唱やら魔法陣やら儀式なんかは不要で、ただ念じれば良いと女神様から教えて頂いた。
ではさっそく、【ふっかつのじゅもん・セーブ】!
「おぎゃあっ、おぎゃ……っ!?」
強烈な頭痛、吐き気、眠気。いかん、意識が――
◇ ◆ ◇ ◆
……おぎゃあっ、おぎゃあっ……
……ん? あれ? ロードされてる? もしかして私、死んだ!?
す、すすす、【ステータス・オープン】!
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【名前】 (未定)
【年齢】 1歳
【職業】 無職 アフレガルド王国ロンダキルア辺境伯領・従士長の長女
【称号】 勇者 能天気 不屈
【契約】 全知全能神ゼニスの使徒
【LV】 1
【HP】 3/3
【MP】 3,083/13,462 ←UP!
【力】 11
【魔法力】 1,236 ←UP!
【体力】 8
【精神力】 6
【素早さ】 15
【勇者固有スキル】
無制限瞬間移動LV1 無制限アイテムボックスLV1
極大落雷LV1 おもいだすLV1
ふっかつのじゅもん・セーブLV1 ふっかつのじゅもん・ロードLV1
【魔法系スキル】
魔力感知LV1 魔力操作LV1 時空魔法LV4
【耐性系スキル】
苦痛耐性LV1 睡眠耐性LV1
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――ぎゃぁああああああああっ!
女神様からMPの消耗や成長の仕様については教えてもらってたけど……MPの減りとともに精神的疲労と眠気が強くなっていき、ゼロ付近で頭痛、吐き気、強烈な眠気に襲われ、ゼロになると気絶する。
MPは使えば使うほど成長する。同時に魔法力も成長する。あとレベルアップでも増える。
MPに成長限界というものはないそうだが、魔法を使うには才能と訓練が必要であり、また人ひとりが人生をかけて魔法を使い続けるにも限度があるので、魔法に長けた魔族やハイエルフでも寿命で死ぬまでにMPが十万を超える個体は少ないのだと女神様は言っていた。
MPが足りない場合、普通は魔法は成功しないけど、条件が整えば……大規模な儀式を行ったり、星の巡りに合わせたり、
MPの消費が復活後にまでまたぐとは、面白い仕様だが……いやいやそんなことよりも!
さっき見た時、最大MPは5だった。それがこの数字……私、いったい何回死んだんだ!?
……両親には悪いことしたなぁ……。
それにしても、【ふっかつのじゅもん】の消費MP、多すぎィ!!
◇ ◆ ◇ ◆
自分の命を粗末にするのもどうかとは思ったけど、来たる魔王戦に備え、【ふっかつのじゅもん・ロード】を使い続けてMPを伸ばすことにした。
死ぬ間際の頭痛と吐き気は死ぬほどつらいけど……いや死ぬんだけど。
何度か死に返すうちに、頭痛と吐き気と眠気がだいぶましになってきた。
スキル欄を見ると【苦痛耐性】LV9と【睡眠耐性】LV8の文字がががが!
スキルはそれを得るに見合う行動・体験をすれば勝手に身につくと女神様に教えてもらった。
スキルLVはカンストが10。
LV1~2は見習いレベル、3で一人前、4ならベテランで人に教えられるレベル、5にもなると一流扱い。
この王国の近衛騎士や宮廷魔術師は【剣術】LV4~5、各種【魔法】LV4~5の人材を揃えているそうだ。
6以降は達人というかその道の第一人者というか、滅多といないと女神様には聞いた。
8~10ともなれば、剣豪・宮本○蔵とか、羽生○治永世七冠とか、人類史上最速の男・ウサ○ン・ボルトとか……世界最強! ってやつだね。
確か将棋は4段でプロ、最高位が9段だったか。大体同じ感じだ。
つまり私は齢1歳にして、恐らく世界で最も苦痛と睡眠に強い!!
そりゃ、死ぬほどの頭痛と吐き気と睡魔を何度も体験すりゃあねぇ……。
ただ、いくら睡眠耐性があっても魔力切れによる気絶だけは避けられないようだ。……まぁ私も、はっきりとした意識の中で死んでいきたくはない……。
単調な作業だが、昔からレベリング作業は嫌いではなかった。どんどん伸びていくステータス(今はMPと魔法力限定だけど)を眺めるのは、ハクスラの醍醐味というもの。
ふふふ、育てるぞぉ……あ、いや、育つぞぉ……。
そのうち、1回行使しただけでは死ななくなり、【ふっかつのじゅもん・ロード】に必要なMPは約100万と判明した。
多すぎィ……。ま、まぁ、神々がこの世界の命運を賭けて創り上げた究極の魔法だものねぇ……。たぶん、セーブの方も同じようなものだろう。
こうして……生後1分にして、私のMPは1億を超えた。
あと【苦痛耐性】と【睡眠耐性】もカンストした。
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追記回数:4,649回 通算年数:1年 レベル:1
引き続きお読みくださり、ありがとうございます!
第1章最終回まで投稿済ですので、引き続きお付き合い頂けますと幸いです。
m(_ _)m
もしよろしければ、初日から4,000回以上追記した勇者アリスの追記回数が、魔王討伐達成までにどこまで伸びるのか予想してみてください。
また、通算年数は数え年としています。
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