ようこそ、体育教官室に!
霜花 桔梗
第1話 波乱万丈の学園生活の始まり
わたしの名前は『市川 実星』今は緊急事態である。高校入学から曖昧にしてきたクラブ活動に入らなければいけないらしい。担任の佐藤先生から逃げ出して体育教官室に隠れたいた。
「なんだ、君は?」
話かけてきたのは幼女である。噂に聞いたことがある四人目の体育教師のナタリーである。MITで博士号取った天才先生で幼女である。
普通、天才幼女は理系なのだがここの幼女は体育教師なのであった。ヤバイ、担任に察知された。
「『市川 実星』見つけたぞ」
だから、クラブ活動は嫌だと……。
「佐藤先生、この生徒はわたしの獲物ね」
はい???この幼女は何を言い出す?
「今日から、体育教官室のマネージャーに決めたよ」
「ナタリー?日本語は合っていますか?」
わたしは天才幼女のナタリーに聞いてみる。
「問題ない。体育部にようこそ」
佐藤先生は頭をかかえていた。この学校で体育教官室の影響力は絶大である。公立の進学校なのにやたらと体育に力を入れている。
文武両道がこの高校の方針であった。だから、幼女の助っ人が居るのである。佐藤先生は『所属は体育教官室で良いな』と言って、すごすごと帰っていく。助かった?イヤ違う、天才幼女の面倒をみるのである。
それは波乱万丈の学園生活の始まりであった。
昼休み、ナタリーこと幼女先生はアジフライ定食を食べていた。
近くの和食店から出前を頼んだのである。
それに比べてわたしは菓子パンだけであった。
他の三人の体育教師は自前の弁当である。
ま、結婚しているのだろう。
「自分は幸せであります」
お弁当の出所を聞いただけなのに分かり易い反応である。
うん?
一人だけいかにも不味そうなお弁当を食べている先生がいた。
「三島先生、手作りのお弁当ですか?」
「あ~これね……なかなか上手くできなくて」
ほ、ほー独身の先生もいるのか。
少し、胸がキュンとした。
禁断の恋も有りだな。
筋肉質で日焼けして身長の高い、三島先生はカッコいいのであった。
恋か……最近していないな……。
「おや、実星は三島先生がお気に入りか?」
ヤジを入れるナタリーにウザイと思い、やはり幼女先生には恋の良さが分からないに決まっている。と、わたしは不機嫌になる。
それから、菓子パンを食べ終わると教室に戻るしたくを始める。
「おい!トレーニングウェアの洗濯がまだだぞ」
ナタリーから大量の洗濯物を渡される。
痛い事を言うな、確かに体育教官室のマネージャーだがそこまでするのか?
試しに三島先生のトレーニングウェアをくんくんしてみた。
甘酸っぱい恋の香りである。
おっと、禁断の恋であった。
渋々、トレーニングウェアを洗濯機に入れてみた。
アボアボ、ボ、ボ……洗剤を入れ忘れた。
「実星、何を顔芸している?」
ナタリーがわたしの失敗をニタニタとしていると。
「女優としての訓練です」
『アボアボ、ボ、ボ……』の顔芸がか?
わたしは言い訳につまり……。
「う、う、訴えてやる!」
捨て台詞を吐いて教室に逃げ込むのであった。
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