あるある! うっかり子さん

渋谷かな

第1話 私の名前はうっかり子

「ふわあ~! よく寝た!」

 朝がきてベットで目覚める少女。

「よし! もう一度寝るぞ!」

 そして少女は二度寝する。

「リコ! 学校に遅刻するわよ!」

 母親の娘を起こす大きな声が聞こえてくる。 

「いけない!? 朝なのに寝てしまった!?」

 少女は悪気はなく、真剣に寝ようとしていたのだった。

「私のうっかりさん。アハッ!」

 物心ついた頃にはうっかりが身に沁みついていた少女を人は「うっかり子さん」と呼ぶ。


「こんばんわ。」

 うっかり子は家族のいる食卓にやってきた。

「まだ朝よ。」

 ツッコミを入れる母親。

「あ、そっか!? 私のうっかりさん。アハッ!」

 微動だに揺るがないうっかり子。

「我が宇塚家の娘は大丈夫かね?」

 うっかり子さんを心配する父親。うっかり子さんの苗字は宇塚リコ。まさにうっかりのために生まれた様な名前である。

「大丈夫ですって、私は。」

「どこから、そんな自信がやって来るのよ?」

 娘を疑うお父さんとお母さん。

「だって今日は日曜日だから、学校はお休みです。」

「え!?」

 なんと今日は日曜日だった。

「しまった!? 私としたことがうっかりしていた!?」

「私もですよ!? いつもの様に二度寝して起きてこないから、つい。」

 自分たちがうっかりしていたことに気がついた両親たち。

「私のうっかりは親の遺伝だね。アハッ!」

 明るい笑顔のうっかり子さんだった。

 つづく。

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