9スラ スピリチュアル! スライムさん

ちんまいくまかぞく(仮)やらぴよこやら。

今までは出会えなかったナンかよくワカランチンならトッチメチンな未知との遭遇。

うん、十中八九スライムさんが来てからだよね。

スライムさんのこと存在自体がオカルティックな不思議遊戯とか言ってはいけない。

スライムさんは言わばこの世界そのものと言えるのだ!(だー!だー!←エコー)


いや、冗談じゃなく。

この地上には菌類は数えきれないほど蔓延している。

深海や一部の砂漠にまで生息する種類も存在している。

中には真空で存在が可能な種までいる。

それら全てでスライムさんなのだ。

どのようなギミックかは神秘のベールに包まれているが、その菌類全てから見ることも聞くことも操ることさえできる存在。

どこで思考してるのか、どこで記憶しているのかわからない。霊的な何かなのだろうか。

ただ、生命体としてはありえない存在。

存在、と言うより概念なのだろうか。

それがスライムさんなのだ。


いやー、ちょっと脳みそ使い過ぎで知恵熱でちゃったよ。脳細胞死にそう。

あ、そうそう、脳細胞で思い出したけど。

何か思い出そうとして、あとチョットで思い出せないことってあるよね?

アレね。その流れでちゃんと思い出さないと脳細胞がいっこ死ぬんだって。

だから脳汁振り絞って思い出そうね。その行為の方が脳死にそうだけど。


えーと、なんの話だっけ?

ま、いーや。


いつの間にやらぴよこはスライムさんの上に鎮座しておりまするがな。

神をも恐れぬ所業。

しかしスライムさんはその天平の甍的大平の精神からにじみ出るおおらかさをもって全てを許容する。正に聖者の行進を体現するかのよう。

行進の後からオコボレ求めて付いて回るちょっとザンネンなバッドGUYがいますよ?ちょっと、係りのヒトー!

ぴよこの上にはちんまいくまかぞく(仮)がもっさりこん。

なに、このトーテム。どこの守り神よ。おま、どこ神出身よ。


「おー! ぜんぶのったー!」


ベルさん、あなたが犯人ね。


「やー! すごいすごい! なんかカワイイ塔みたい。ヒヨコさんプルプルしてるー!」

「おい、ホントに可愛いか? コレ。ちょっ、頂上! もぞもぞすんな! バランス悪りぃだろが!」

「あはは! ぐらぐらー!」


ああ、ベルさんぐらぐらし始めたら戦術刺突小枝装備し始めちゃった!


 あっそれ つんつん つーん


 ぐらぐら ぐらーん


「んふー♪ んふー♪」


幼児ご満悦である。


「うおいっ! つんつんすな! ちょっ揺れる揺れる!」

「んふー♪ ぐーらぐらー♪」

「ひゃー、ぐにゃんぐにゃんしてるー! よく倒れないわよね。」

「倒れる倒れる! オレに負担かかってるじゃねーか!」

「ちっ、しゃーねぇな! アサルトアンカー!」


びゅるるんるん!


ナンかスライムさんから触手っぽいのいっぱい出た!必殺技っぽい名前なのに!

ぴよこからちんまいくまかぞく(仮)まで支えてるぞ!触手っぽいのが。

キャー!イソギン・チャックよー!

よし、謎の犯罪者っぽい呼び方になった。

あれ?むしろ怪獣系?


「すごーい! すらいむさん、すごーい!」

「うわー…、気味悪いわよ、それ。」

「ふぅ。取り敢えず落ち着いたぜ。」


ナンか、縦長の鳥かごにみっちり詰まっとるカンジになっていますよ。

頂上の先っぽが輪になって吊り下げるようになってる芸の細かさ。

お部屋にぶら下げて鳴き声を楽しもう!

くくくっ、よい声で鳴きやがるぜ。ピヨ!クマー!


今、正にトーテムポールそのものと化したスライムさん一行は、玄関前に飾れば厄除け大師のお守りくらいの効力を発揮しそうだ。

ピラミッドパワー!ん?三角くないな。マヤのピラミッドパワー!これでヨシ。

不思議なよくわからないパワーが染み出しています。それ、うつらないよね?!


「お楽しみのところ失礼します。ローゼリア様、マリアベル様、スライムさん、ご昼食の支度が整いました。食堂へお越しください。」


音もなく忍び寄るメイド。発言するまで気配なし。君、いったいどこの組織のヒト?


「ごはんー!」

「もうそんな時間になったの? ついさっき朝だった気がするわ。」

「よーし、おまえらー。解散だ解散。」


スライムさんはイソギン・チャックでちんまいくまかぞく(仮)とぴよこをポポイポーイと。

うん、ナンか扱い雑だね。


「皆様方、そちらのヒヨコはどこから舞い込んだのでしょう。お飼になられるのですか?」

「かうー?」

「そういえばこの子どこから来たのかしら? あなた、親鳥とはぐれたの?」


ローズはぴよこのほっぺをツンツンしながら聞いてみた。

本体から応答がなかったらサポートセンターに電話しよう。

ちんまいくまかぞく(仮)がぴよこの周りをドンジャラホイって踊ってるぞ。

釣られてベルもMP吸い取りそうな怪しい踊りを踊っている。

釣られクマーではなく釣りクマーだったのか!AA略。ズザザッ


もちろんこの一連でメイドさんからは、ちんまいくまかぞく(仮)が見えていない。

スピリチュアルな存在は、エッチができる大人からは見えないものだ。

幼児の奇行はいつもなのでスルー。

このくらいの幼児は突拍子もないことを始めるのだ。

思ったことは即断即決即実行。管理職も見習ってほしいところである。


「このぴよこ以外いねーみてぇだから、ハグレだと思うぜ。」

「メイドさん、こいつら何でも食うからメシ追加してやってくんねーか?」

「くまかぞくはー? ごはんー?」

「ちんまいのは食べねーんだよ。必要ないからな。」

「その通りでございます。我々は大気から、大地から、溢れ出す魔素に触れれば食事となるのです。」


そうか、そうだったのか。ずっと不思議だった。長老(仮)の台詞で気が付いた。


長老(仮)は、執事とキャラカブッてたんだ!なるほど納得。

あとはキミタチでどちらが生き残るか戦いたまへ。


「? はて? 何のお話でしょうか。」

「あー、わるいわるい。遊びのハナシだ、気にすんな。」


メイドさん、ちんまいくまかぞく(仮)が認識できないから謎会話に小首を傾げ。

ちょっとした機微もさりげなくナチュラルに言葉を返すスライムさん。

ペテン?詐欺?なにを言ってるのかね。スライムさんは真実しか語らないのだよ。


「んふー♪ あそぶー♪」

「いやいや、ベル。お昼ごはんよ。さ、行きましょ。」

「ごはんー♪ あそぶごはんー♪」


食事と遊びが合体した。食べ物で遊んではいけません。

いや、この言い方だとご飯が遊ぶのか…!?なにそれ、見たい。


そして、扉バーン!


「ごはーん!」

「お嬢様、扉はゆっくり静かにお開き下さいませ。」


ほら、メイドさんに叱られた。ルーチン実行完了。


食卓にはゲストパート2。

その名もぴよこ。

片羽あげて元気にあいさつします。


「ピヨッ!」

「あ、ハイ、どーも。よろしく…。」

「あらあら、ずいぶん可愛らしいお客さんね。」


パパンの同様に比べ、ママンは平常運転だな。

女性にはカワイイ系のイレギュラーは効かないのだよ。


「こいつはフジサーン山の樹海に住むぴよこだ。どうも迷い込んできたらしい。」

「大抵のものは食えるはずだから、適当になんか食わせてやってくれ。」

「そ、そうかい。じゃあもう一人前分追加しよう。」

「オブリガード。」


スライムさん、やはりその透明な深い蒼は伊達じゃない。

スライムさんナビは優秀です。定額200円/月。

そして。なぜここでポルトガル語を使う!?


ぴよこの前に取り皿で取られた料理が。

もの凄い勢いで啄んでます。こう、ダダダダダダダダッってカンジ。

あっという間に皿が空に…。


「ぴよこさん、すごいー。」

「よっぽどお腹が空いてたのかしら。ママ、ヒヨコさんにもデザートは?」

「ちゃんと用意してるわよ。」

「ピヨー!」


ぴよこ、デザートうれしいらしい。知能指数高し。


「ぴよこさんはむしさんたべる?」


幼児の素朴な疑問がぶつけられる。

野鳥なんかは、虫とかメメズとか食うやついるしな。

しかし、虫食の習慣がない地域で食事時の話題にされると場合によってはリバース発生案件。


「あったら食うんじゃないか? 食べられるもんは何でも食うぞ、こいつら。」

「ピヨッ!」


当然です、って雰囲気が誰にでもわかるレベル。おんし、役者やのう。

そして、キラーンとぴかる幼児の目。


「むしさん! きのうつかまえた! もってくる!」


昆虫王子たるカブトムシの幼虫が犠牲に…。王子ー逃げて―。


「虫さんなら昨日、お庭に逃がしましたよ? 生き物は箱にいれてはいけませんと言いましたよね?」

「え~。だって~。」

「「「(ナイス、エマ!)」」」


ナイスフォローなメイドさん。エマさんでしたよね?イヤンとか言いそうな。

幼児落胆。

周囲安堵。

危うく虫の解体ショー見ながら食事するとこだったからね。

ところで、集団の台詞の書き方って、他にいい方法ないかなぁ。

100人同時発言だとカッコが100個になってしまいます。


ちなみに。

スライムさんは水とか果物とか摂取しておる。

別になくてもプラーナだけでも十分らしいです。

うん、マジでスピリチュアル。

待つ子でてこなくてヨカッター。


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