4スラ 図解 スライムさんの秘密! スライムさん

シーンとなる食卓。

スライムさんが喋ることはそんなに不思議だろうか。

否!全国68名のスライムさん研究家の内、4人と無関係の1人は「スライムさんだから当然」と答えるであろう。

それがスライム。

それがスライムさん。

オレのスライムさんは天を創るスライムさんだーっ!


…うん、ちょっと冷めた。ごめんな。


「いやはや、スライムが喋るとは…。」

「おい、『スライムさん』だ。」

「や、すまない。余りの驚きについね。」

「そうね、私も初めて見るもの。喋るなんて。」

「んふー♪ いちごおいしー!」

「すごーい! どこから声がでてるの?」


約一名、全く関係ないことを喋っているが。


「オレは名乗ったんだ。名前くらい教えてくれてもいいだろ?」

「ああ、そうだね。僕は家長のクレイトス・フォークスだ。よろしく頼むよ、スライムさん。」

「私はクレイトスの妻、マルガレーテよ。」

「わたしはローズ! ローゼリアよ!」

「べるはまりあべる・ふぉーくす! べるなの! 5さい!」

「おう、知ってる知ってる。取り敢えず口の周り拭こうな? ベル。」


ベルの顔面はイチゴに侵略されつつあった。

後少し遅れれば、自軍の消滅も起こりえることだった。

全滅ではない。消滅なのだ。

しかし、劣勢を覆す事態が発生した。

服の袖でナイナイされたのだ。フキフキと。

その袖、鼻汁含有してなかったか?

そしてベルの命運をかけた戦いの最中、話は進んでいるのだった。

うん、幼児にムツカシイ話はNGなのだ。


意外とすんなり受け入れてるフォークス家。

さすが爆発は芸術だー!的、家名ではない。


フォークス家の面々はいろいろと聞きたいことだらけだ。

普通、スライムは喋らない。

と、言うより、知能がある個体は存在が確認されていない。

彼らはどこにでも存在する粘菌なのだ。

どの器官で思考しているのか、どうやって喋っているのか。

視覚は?聴覚は?

その精神の在り方は?

バナナはおやつに入りますか?


「そうだな、スライムさんはどこにでもいる。そう思えばいい。」


何とも抽象的な回答を貰ったフォークス家の面々。

どういう意味なのか、ヒントプリーズ。


「解かり易く見せてやるよ。よーく見てろよ。」


何かしてくれるらしいことを覚りベルも食いつくように見ている。

と、その瞬間。

プチョン

丸い球体は表面張力を失ったかの様にパシャンと水分になった。

そして、その跡も消えていった。

みな目が点。


「あー! すらいむさーん! すらいむさんがとけたー!」


ベルもビックリ仰天でアタフタしている。


「落ち着け、落ち着け。言ったろ、どこにでもいるって。」


その声はスライムさん。

声はすれども姿は見えず。

みな、キョロキョロと声の主を探す。


「ここだ、ここ。」


食卓の上でスライムさんがパシャンした位置の反対側でモリモリとスライムさんが生えてくる。

そう。生えてくると言う表現しかできなかった。

何もないところからニョッキリと小さな球体が現れたと思ったら、ズンズン大きくなって元の大きさになったのである。

ナニそれ怖い。

目が点パート2。


「おー! すらいむさんだー。」


ベルは喜びの余り、両手のひらを合わせ頭上へ掲げるように天を突く、タケノコ族の踊りをピョンコピョンコと披露した。

屈伸から右上に伸び、左上に伸びと交互にピョンコする様は、聖アカンタレウスの再来のようだ。

ん?誰かって?知らん。


「いったい何が起こったんだい? 僕の理解では追い付かないよ。」

「確かに水みたいになって、消えて…、どういうことなの?」

「スライムさん、手品みたい!すごい!」

「ぴょーん! ぴょーん! たけのこーぴょーん!」


ダンスマスターは放っておこう。


「ああ、つまりだな。このスペシャルなボディはオレがナニかしたいときに都度、創ってるんだよ。」

「つまり、分体を創ってる? ということは本体が別にあると言うことかい?」

「いや、違う。オレは菌類そのものなんだよ。全ての菌類がオレだ。だからどこにでもいるし、菌類が生息している限り何度でもボディが創れる。言うなれば不滅だ。」

「だからこそ、一個体のスライムじゃなく、種全体を称して『スライムさん』なんだよ。」

「なんか、とんでもないお話を聞いているようだわ…。」

「そうだね、生命の神秘では言い表せないよ。いいのかい? スライムさん。そんな秘密を喋ってしまって。」

「全く問題ないぜ。見たろ? オレが消えるとこ。誰にも捕まえられないし滅ぼせない。どこでも現れる。世界の裏側でもな。そんな相手どうこうできると思うか?」

「うん、全く思わないね。でも軍事的に確保したい人材だと思われるかな。お偉いさんが懐柔してきそうだよ。」

「それこそバカな話だぜ。いいか? オレはスライムさんだぜ? 人間の常識なぞ知ったことじゃないさ。」


そう言うスライムさんだが、人間味溢れる会話だと思うのは気のせいですか?

と言うか、意思疎通できること自体、人間と似たような精神構造を持ち合わせ、感情を理解する知能と文化があるのでは。

そうでなければ「うぴりうぴり」とか「Pigyoooo! Pugyaaaa!」とか会話にならないっスよ。


ダンスマスターの踊りが佳境に…入ってないな。

先ほどからスライムさんをツンツンしている。

姉も一緒にツンツンしている。ダブルで左右から交互に!

スライムさんは小難しい話をしながら、ポヨンポヨンと右へ左へ揺れていたのだった!

それでいて肝心なことは話していない強かさ!あやふや界ナンバーワン!


「よし、サービスだ。もう少しオレのこと教えてやるよ。フリップとペンはないか?」


ソレを使うと言うことは、テレビ番組の回答者の如く珍回答があるってことですね?

つーか、普通の家にフリップはない。


「セバス、用意できるかい?」

「かしこまりました旦那様。すぐに用意いたしましょう。」


そう言ってセバス・チャンはスライムさんの無茶ぶりに対応するようだ。

そして、彼はやはりセバスチャン型執事だったことも判明した。


しばらくして、年嵩のあるメイドがフリップとペンを持ってきた。


「お待たせいたしました、旦那様。」

「ありがとう、ロッテンマ。スライムさん、これで良いかな。」

「おう、十分だ。」


メイド長のロッテンマ・イヤーはこうべを垂れてから下がっていった。

彼女はロッテンマイヤー型メイド長であるようだ。

アルプス?少女?ああ、知ってる、知ってる。爺が元殺人者で服役後に世捨て人になってたヤツでしょ?


食卓机の上にはスライムさん。フリップ。ペン。

視線がペンに集まる。みな思っているのだろう。ペンどう使うの?


「よしよし。チャララチャッチャッチャー♪ ハンドペタン~!」


スライムさんから手?触手?ナンか生えてきた。

取り敢えずSAN値直葬なカンジではないのでOK。

ナンかはペタンとペンに触れるとくっついた。

それよりネーミングが酷い。

せめてアナグラムにしてくれよぅ。


「んふー! んふー!」


ナンか生えたスライムさんにベルが興奮している。

机に手を付いたまま脚でピョンコピョンコ跳ねている。

途中で電池が切れそうである。

切れるとどこでもグースカピーとなるので要注意だ。


スライムさんが器用にもペンを持ってフリップに書きだした。



******************************

*       図解 スライムさんの秘密         *

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1)スライムさんブレイン ……… そんなのねぇ

2)スライムさんアイ ……… ないけど見えるよ

3)スライムさんイヤー ……… ないけど聞こえるよ

4)スライムさんボイス ……… 犬笛もオッケー

5)スライムさんチョップ ……… パンチ力

6)スライムさんビーム ……… 次回アップデートで実装

7)エターナルフォーススライムさん ……… 鬼強い

8)スライムさんブログ ……… 炎上

9)スライムさんクリーナー ……… お肌のお手入れするよ

10)スライムさん消化液 ……… 服だけ溶かすよ

11)スライムさんローション ……… ぬらぬらえろーり

12)スライムさん触手 ……… チョメチョメ18禁

13)スライムさん脚 ……… お偉いさんには判らんのですよ

14)スライムさんスピリチュアル ……… 待つ子

15)スライムさんソウル ……… 死にゲー

16)スライムSAN ……… おや、誰か来たようだ

******************************



「これがスライムさんの秘密だ。教えてやるのは今コレだけだがな。」

「おー! すごーい?」 パチパチパチパチ ウンヨメナイノネ

「沢山だー! 字がうまーい!」 パチパチパチパチ

「………スライムさん、図は?」


なるほど。スパルタカマスもとい、クレイトスの意見ももっともだ。

図解と銘打ってあるからには図が必要だよね?スライムさん。


「図? 知るかそんなもん。」


……オイ。


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