『天使の名付け親』

横山 睦 (むつみ)

マクラ (前書き)

 えー、ゴホンゴホン。おっと、こりゃいけねぇ。今のはマイクチェックでして、本当に咳が出てるわけじゃあねぇ。それにちゃんと、マスクをしていますから。


 と、まぁこういう時事や風刺を入れていくのが個人的に好きなんですがね、あんまりやっても、こういう話が苦手な人もいるんです。


 実社会で嫌っていうほど見たり聞いたりしているもんで、この創作の世界ではそういうもんを全部取っ払って何も考えずにただただ笑える話だったり、くっだらねぇ話だったりを見たり聞いたりしたい人がいるんでございます。


 そういう時に落語っていうのは最適な娯楽っていうわけでして。


 今回は、古典落語『死神』とグリム童話『死神の名付け親』をアレンジして、まぁ、気分転換に細かいことは気にせずに肩の力を抜いて、ちょちょいのちょいと楽しく書こうじゃありませんか。


 あー、そうそう。これは先に言っておきたいんですが、コンプライアンスや言葉狩りを気にして、タイトルから『死神』を抜いて『天使』にしたわけではないんでございます。


 そんなことを言い出したら、今回はりませんが、落語には『死ぬなら今』という演目がありまして、これからもう出来ないことになってしまうんでねぇ……。


 まぁたしかに、このタイミングでその言葉のタイトルが付いた演目は出来ることならば避けるべきだとは思いますし、かと言って、話の内容やオチを見ずに言葉狩りをするのはどうかと思うわけなんでございます。


 もちろん、言葉には良くも悪くも様々な力が宿っていて、何かしらの影響を与えてしまうことを知っている者として、必要な言葉を選んだ上での話ですが。


 まぁ難しいことなんですが、たとえ私がどれだけ丁寧な言葉を選んだとしても、読む側や聞く側がそれをどう受け取るかはわからないのでございます。


 誤解しないでいただきたいのですが、見てくれるお客さんのことを信頼していないっていうわけではないんです。でも、この世の中には様々なお客さんが居るでしょう。はっきり言って、何かの話をすることはリスクしかありません。




 それでも、私は話をしたい!




 今回、『天使の名付け親 』という話を発表したいと思ったのでございます。




 おっと、前書きが長くなるといけねぇ。


 まぁ何が言いたいかと言うと、あなたの元に“死神”が訪れるのではなく、“天使”が訪れますようにってことで。

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